就職氷河期世代支援プログラムが打ち出されて、政府や地方自治体も就職氷河期世代を公務員として採用を進めています。
就職氷河期世代にとってラストチャンス! かもしれません。
就職氷河期世代の公務員への応募数が多く、応募倍率がひどいことになっているとの報道がありました。
実態を総務省の資料から明らかにします。
結論から言えば概算で平均応募倍率は数十倍。大企業の平均倍率が2.4倍であることを考えると、非常に狭き門です。
就職氷河期の公務員応募資格
2019年末に急遽打ち出された就職氷河期世代支援プログラム。その一環として地方自治体や政府の公務員採用が行われています。
就職氷河期世代限定の応募・受験資格とはどのようなものか見ていきましょう。
年齢は?
厚労省や内閣府への受験資格は35歳から49歳となっています。地方自治体の募集も基本的にはこれに倣っています。中には年齢上限を45歳としている自治体も。
応募資格については募集の詳細を確認してくださいね。
受験資格は?
就職氷河期世代支援プログラムは就職氷河期かつ、非正規雇用や引きこもりへの支援を目的としています。
よって年齢以外にも「過去1年間に正規雇用の実績がなく、かつ過去5年間に正規雇用の期間が通算1年以下」などが受験資格の条件となります。
条件も各自治体によって異なる場合があります。応募する前に確認しておきましょう。
確認は「総務省|地方公務員制度等|地方公共団体における就職氷河期世代支援を目的とした職員採用試験の実施状況」からどうぞ。
就職氷河期世代支援の公務員応募倍率
就職氷河期世代の公務員応募倍率を高いもの、低いものに分けることで見えてくる傾向があります。
就職氷河期公務員応募倍率の高低と傾向
以下の一覧表から見えてくる傾向を箇条書きにしてまとめます。
- 一般事務職は倍率が高く数百倍も
- 都道府県や政令指定都市は倍率が高めであり、市町村など規模が小さくなるほど倍率が低め
- 土木や保育、技術職は倍率が低い
- 土木などでまれに1倍を切るものもあるが、低い倍率でも数倍以上。
土木の倍率が低いのは、すでに就職氷河期世代が40代に差し掛かっており、体力に自信がないからではないかと思われます。
体力のある就職氷河期世代はワンチャンあり?!
応募倍率の高い募集
団体名 | 職種 | 募集人数 | 応募人数 |
北海道 | 一般行政 | 10人 | 657人 |
秋田県 | 一般事務 | 2人 | 109人 |
埼玉県 | 一般事務 | 5人程度 | 945人 |
神奈川県 | 事務 | 10人 | 1,035人 |
岐阜県 | 事務 | 5人程度 | 400人 |
愛知県 | 事務 | 5人程度 | 402人 |
兵庫県 | 一般事務職 | 5人程度 | 1,114人 |
大阪府 | 行政 | 5人程度 | 1,422人 |
山口県 | 事務 | 3人程度 | 316人 |
熊本県 | 一般事務 | 3人 | 380人 |
新潟市 | 一般事務 | 5人程度 | 192人 |
静岡市 | 事務 | 3人程度 | 86人 |
京都市 | 一般事務職(行政) | 約5人 | 894人 |
北九州市 | 行政 | 若干名 | 550人 |
福岡市 | 行政事務 | 3人 | 454人 |
応募倍率の低い募集
団体名 | 職種 | 募集人数 | 応募人数 |
秋田県 | 警察事務 | 1人 | 9人 |
長野県 | 総合土木 | 若干名 | 17人 |
静岡県 | 土木 | 3人 | 3人 |
鳥取県 | 土木 | 1人程度 | 12人 |
徳島県 | 建築 | 1人程度 | 4人 |
新潟市 | 土木(水道) | 1人程度 | 0人 |
堺市 | 土木 | 若干名 | 15人 |
神戸市 | 土木 | 10名程度 | 21人 |
島牧村(北海道) | 一般事務職 | 若干名 | 20人 |
矢巾町(岩手県) | 土木技術職 | 2人 | 5人 |
小山市(栃木県) | 土木技師 | 若干名 | 2人 |
安中市(群馬県) | 事務職・技師職(初級) | 若干名 | 5人 |
府中市(東京都) | 技術職(土木) | 若干名 | 3人 |
可児市(岐阜県) | 一般事務職 | 若干名 | 10人 |
江南市(愛知県) | 保育職 | 4人 | 3人 |
泉南市(大阪府) | 建築職 | 1人程度 | 1人 |
鳥栖市(佐賀県) | 土木 | 若干名 | 2人 |
対馬市(長崎県) | 保育士 | 若干名 | 5人 |
阿蘇市(熊本県) | 土木職 | 1人程度 | 4人 |
参照
総務省公務員倍率の一覧表
総務省|地方公務員制度等|地方公共団体における就職氷河期世代支援を目的とした職員採用試験の実施状況
企業規模別の平均応募倍率
就職氷河期世代を募集する公務員の応募倍率は低くても数倍以上、高いと数百倍でした。一般的な企業の応募倍率はどの程度のものなのか、比較してみます。
社員数5000人以上の大企業の場合、応募倍率は平均して2.4倍です。1000人以上、5000人未満の企業では0.93倍。300人以上、1000人未満の企業で0.82倍。
300人未満の企業になると0.12倍だそうです。
大企業と比較しても、就職氷河期世代公務員の応募倍率が高いことがわかります。
総務省の資料を眺めていた概算ですが、おそらく平均応募倍率は数十倍程度になると思われます。中央値でも同じくらいになるでしょう。
公務員の平均応募倍率とかつての就職氷河期
公務員の平均的な応募倍率は4倍前後だそうです。平成に入ってから公務員は人気職種となり、今では大企業より人気。
就職氷河期の公務員の応募倍率はどれくらいだったのか? 2000年は11.7倍にも上りました。
この数字だけでも、いかに就職氷河期世代が厳しかったのか理解できます。
就職氷河期支援の「公務員募集」狙い目は?
就職氷河期世代公務員募集の狙い目、ポイントはズバリ以下です。
- 市町村、特に都市部から離れた場所は倍率が低い傾向にある
- 保育、土木、建築などの職種なら政令指定都市でも十分チャンスがある
募集情報に関しては総務省や各自治体を確認してください。「地方公共団体における就職氷河期世代支援を目的とした職員採用試験の実施状況」で一括して情報を確認することができます。
週1程度で小まめにチェックすることをおすすめします。
就職氷河期世代支援・救済とコロナの影響
コロナ禍で就職氷河期世代支援がぽしゃる危険性があります。
すでに第二の就職氷河期世代の発生が危ぶまれており、雇い止めや内定取りやめなどの悪影響も。有効求人倍率も1を切りそうで、厳しい雇用情勢が予測されてます。
雇用が減れば当然、安定した公務員に応募が殺到します。したがって就職氷河期世代枠を自治体や政府が維持できるかどうか、非常に微妙な情勢です。
就職氷河期世代支援プログラムもコロナ禍に紛れて、どのような活動が進んでいるのか聞こえてきません。
今後も情勢が悪くなる可能性があります。就職氷河期世代が公務員に応募するなら早めがおすすめ。
まとめ
2000年当時に公務員になりたかった就職氷河期世代は、約12倍の内定倍率を突破できませんでした。その救済措置が数十倍の応募倍率とか嫌がらせでしょうか? と、皮肉の一つも言いたくなります。
- 応募資格で多いのは非正規雇用の35歳~49歳ないし45歳
- 応募倍率は平均すると概算で数十倍。ただし土木や保育など職種によっては1倍~数倍も
- 都市部より地方が狙い目
- 正直ほとんどの場合、大学生の大企業への就活より厳しい
- コロナ禍で就職氷河期世代枠を、政府や地方自治体が維持してくれるかどうかは不透明
就職氷河期世代支援プログラムとして差し伸べられた手は、あまりに短く小さいものです。
しかし1人で多くの就職氷河期世代が救われんことを、同じ就職氷河期世代として祈念します。
就職氷河期世代を知るための本として、以下の書籍がおすすめです。
著者の藤田 孝典氏は格差や生活保護などの記事でよく見かけます。非常にバランス感覚のある、わかりやすい記事を書く人ですよ。
まだまだこの先いろいろあるかとは思いますが、とりあえずそれでも今は一言言わせてください。
大阪市存続、おめでとう、と!
びっくりですね~。否決されました。何だかありがとうございます(?)
本日、進撃の庶民に「なぜ否決されたのか」の分析を寄稿しておきました。