メジャーではないものの、隠れ名作と言われるアニメ「灰と幻想のグリムガル」。本当に知る人ぞ知るといったアニメ。
放送当時は筆者の知り合いですら「え? 何それ? 面白いの?」状態でした。しかし透明な世界観、水彩画のような背景、登場人物が少ないからこそできる緻密な心理描写など秀逸な部分がたくさんあるアニメです。
あと単純に「面白い!」。
召喚される前の記憶なし、チートなし、金なしという超ハードな設定。チートな異世界転生ものに飽きたあなたにぴったりアニメですよ。
灰と幻想のグリムガルとは
灰と幻想のグリムガルはもともと、小説家になろうに連載されていました。原作者は十文字青氏。
小説として書籍化されてからアニメ化、漫画化されました。
灰と幻想のグリムガルと同じ世界観と原作者の、大英雄が無職で何が悪いが小説家になろうに残っています。未完ですが灰と幻想のグリムガルの世界観が知りたいなら、読んで損はないですよ。
基礎情報
原作イラストは白井鋭利氏です。白井氏は透明感のあるキャラクターデザインを得意としています。監督は中村亮介氏で、多くのアニメ作品を手がけているベテラン。
アニメ「灰と幻想のグリムガル」は2016年に12話+閑話が放送されました。サブタイトルが独特なのも灰と幻想のグリムガルの特徴です。
- ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ
- 見習い義勇兵の長い一日
- ゴブリン袋には、俺たちの夢がつまっているか
- 灰の舞う空へ
etc……。
当時は正直なところ、あまり話題になりませんでした。なぜなのか――。名作なのに! 名作なのに!
ネタバレあらすじ
「生きるって、簡単じゃない。記憶も、お金も、特別な力も―――、何もない僕たちが手に入れた現実」が公式サイトに載っている、灰と幻想のグリムガルのキャッチコピーです。
主人公のハルヒロたちは異世界に召喚されますが、召喚される前の世界の記憶は一切なし。内政チートなし、チートスキルなし、とにかくチートは全くなし。
剣と魔法の世界ですがレベルもステータスもありません。異世界召喚や転生ものとして非常にシビアな設定です。
そんな中で主人公たちは余り者でパーティーを組みます。パーティーメンバーは神官マナト、盗賊ハルヒロ、暗黒(笑)騎士ランタ、戦士モクゾウ、狩人ユメ、魔法使いシホルの6人。マナトがリーダーとしてパーティーをまとめますが……。
これが弱い。ゴブリン1匹にすら6人がかりで苦戦するほど弱い。
ある意味で夢も希望もなく、超リアルな異世界召喚です。
日々成長していくパーティーですが、ある日ちょっとした油断からリーダーであるマナトを失いパーティーの危機に。
超ハードモードの異世界召喚で、ちょっとずつ成長していくハルヒロたちを見守りながら共感したり、ハラハラしたりするアニメが「灰と幻想のグリムガル」です。
アニメ「灰と幻想のグリムガル」の感想と評価
最初に出てくるのは感想は「アニメズレしてないアニメ」です。
水彩画のような柔らかい背景と透明感のある登場人物は、独特の世界観を作り出しています。加えて登場人物が少ないから、一人ひとりの緻密な心理描写が印象的。
チート一切なし、記憶もなしという現実味のある(?)異世界召喚ものですが、登場人物も現実にいそう! と思えるキャラクターです。
少なくとも「こんな人間、アニメにしか存在しねーよ」という感じではありません。
1話からゴブリンにすら苦戦してヤキモキさせられますが、4話ではまさかのリーダー「マナト」が死亡。
パーティーメンバーの苦悩やショックといった心理描写が緻密なため、見ていて思わず泣きそうになるシーンばかり。
アニメ「灰と幻想のグリムガル」で印象に残る話と言えば「マナト死亡」が第1位でしょう。
神官でありリーダーだったマナトが死亡し、新しい神官メリイが加入します。しかしメリイも過去に傷を持つ少女であり、最初はまさかのギスギス展開。
過去に仲間を失ったメリイと、マナトを失ったハルヒロたちは次第に打ち解けます……が、メリイが仲間を失った原因であるダンジョンにハルヒロたちは足を踏み入れ、バッチリと直接原因であるデットスポットと巡り会います。
運が良いのか悪いのかで言えば、確実に悪い。
危機的な状況の中で生き残りをかけた戦いが始まります。
ストーリーを文字起こししてみると「あれ? 意外と単純だな」と拍子抜けします。
しかしモクゾウとランタの何気ないツッコミとボケ、ハルヒロのリーダーとしての悩み、シホルのマナトへの憧憬と傷心などがしっかりと描かれており、どのキャラクターにも入れ込める構成です。
「灰と幻想のグリムガル」の心象風景の描写はホント好き。
ありきたりの異世界転生もの、異世界召喚ものに飽きた人におすすめです。個人的にはオーバーロードや盾勇者の成り上がりに匹敵する神アニメ。
灰と幻想のグリムガル2期はあるか?
アニメ「灰と幻想のグリムガル」2期はあるのかないのか? ほぼ絶望的と考えられます。
なぜならすでに1期放映から4年が経過しています。さすがにこれだけ経過していて「2期やります」とはならないでしょう。
1期が放映直後にも「2期はあるのかないのか?」が話題になりました。しかしDVDの売り上げは2期放映に必要と言われる5000枚に届かず。
当時から「2期はないのでは?」との予測が大半でした。
加えて「この素晴らしい世界に祝福を!」「Re:ゼロから始める異世界生活」という同期の影に隠れたとの評価も。
上記2つのアニメも面白いですが、灰と幻想のグリムガルはそれ以上とすら筆者は思います。ぶっちゃけ超隠れ名作。
2期はおそらくありませんが、小説は現時点で18巻(level 16)まで出版されています。小説で楽しむのもありですよ。
まとめ
灰と幻想のグリムガルは異世界召喚もののアニメの中で、筆者的にはトップクラスです。「オーバーロード」や「盾勇者の成り上がり」、「転生したらスライムだった件」に匹敵すると思います。
しかし放送当時、灰と幻想のグリムガルを知る人はとても少数でした。アニメ好きですら「え? 何それ? 面白いの?」という認識(怒)
筆者が灰と幻想のグリムガルをおすすめした人たちはみんな、視聴後は「あれ、名作! 何で知らなかったんだろう!」と口を揃えて言っていました。
異世界チートものに飽きたあなたに、アニメ「灰と幻想のグリムガル」はマジおすすめです。
高ボーナス無しのキャラで始めるウィザードリィって感じですね。
残念ながら私はゲームをほとんどしないので、ウィザードリィがわからないのです(汗)