【2つの帝国】今さら聞けない!?米中衝突の構造をわかりやすく解説

 2018年頃から米中は衝突し始めました。現在でも激しく香港、南シナ海、貿易などさまざまな局面で衝突を繰り返しています。

 なぜ米中が衝突するのか? この構造をしっかりと理解している人は、意外なほど少ないです。構造を理解することで、米中衝突のニュースの見方や読み方が変わります。

 今さら聞けない!? という人向けに、わかりやすく解説します。

本稿は2020/09/02にリライトしました。

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グローバリズムと米中の経緯

 グローバリズムと、米中のこれまでの経緯をおさらいしましょう。歴史や出来事は、流れで知ることで理解が深まります。

アメリカのこれまでの対中戦略

 アメリカがグローバリズムに舵を切ったのは、1970年代です。きっかけは、オイルショックに伴うスタグフレーションでした。
 スタグフレーションとは景気悪化+インフレです。

 新自由主義とグローバリズムを採用することで、国内のインフレ抑制を目指しました。

 1945年以降のアメリカは、世界の超大国です。アメリカのパワーがあったので、グローバリズムという「ルールの押しつけ」は可能でした。

 アメリカの対中戦略は、グローバリズム戦略に中国を引き込むことでした。協調路線とも呼ばれます。

 1990年代の中国の市場開放に伴い、2000年代からアメリカは中国との協調路線を採ります。資本主義を採用すれば、民主主義もそのうち採用されるとアメリカは信じました。

中国の強かな富国強兵と国家戦略

 一方で中国は、強かでした。アメリカの協調路線を利用し、安い人件費などのアドバンテージを活かして世界の工場として名をはせます
 グローバリズムの恩恵を最大限取り込み、中国国内を豊かに導きました。

 富国強兵を、1990年代から狙っていたと言えます。

 中国市場は人口の多さも含め、世界から富を取り込む絶好の場所でした。豊かになる中国はその資源を、軍事にも振り向けています。

 急成長した中国の軍事費は、アメリカの3割以上にまで成長。2010年には、世界第2位の経済大国であった日本を追い抜きました。
 現在では日本の3倍近いGDPを誇ります。

変更せざるを得なかったアメリカの対中戦略

 アメリカはグローバリズムに、中国を取り込もうとしました。しかし中国は急成長を遂げ、アメリカの地位までお脅かす大国となりました
 世界の覇権国家たるアメリカは、中国の追随を恐れ始めます。

 アメリカは中国に対して、戦略の変更を余儀なくされます。
 協調路線はオバマで終焉を迎え、トランプは強硬路線に舵を切りました。

 それでも2018年までは、世界経済も順調でした。世界経済が順調な内は、衝突も目立ちません。しかし世界経済に陰りが出始めた2018年以降、米中の衝突は目立つものになり始めたのです。

主立った米中衝突のニュース

 米中の衝突にはどのようなものがあるのか、押さえておきましょう。これからもドンドン、衝突範囲は広がります。ざっと押さえておくだけでOKです。

南シナ海

 南シナ海の南沙諸島に、中国は2015年から基地を建設し始めました。南沙諸島海域を埋め立てて人工島を造成したのです。

 この動きにアメリカや東南アジア、日本は大きく反発。日本の反発は、シーレーンが侵されるというものです。
 アメリカも中国の勢力拡大や、領有権拡大を見過ごすわけにはいきませんでした。

 結局のところアメリカは航行の自由作戦と称して、12海里の境界を空母で航行しただけに終わりました。

香港

 中国は一国二制度だった香港に対して、香港国家安全法を導入しました。この国家安全法第29条が、言論統制になる可能性が高いです。

 中国中央政府や香港当局に対する批判が、取り締まられる可能性として大規模なデモも起きました。

 香港の自由や人権が崩壊するとして、欧米からも強い反発が起こっています。トランプはアメリカが香港に与えてきた、関税や渡航の優遇措置を撤廃するとしています。

貿易

 アメリカの対中貿易は、大きな赤字です。中国の安い人件費に、アメリカの国内産業や雇用が奪われています。少なくともトランプや、アメリカ人の一部はそのように考えています。

 2019年には米中が衝突し、米中貿易戦争が勃発しました。互いに関税で報復し合う、泥沼です。

 2018年の世界経済の低成長化に伴い、アメリカは対中貿易赤字に耐えきれなくなったと言えます。「なぜアメリカ人の雇用が失われて、中国人ばかり得をするんだ!」というわけ。

コロナ禍

 2020年にはコロナ禍で、米中衝突は激化します。欧米が中国に、コロナの賠償金を請求しようという動きまでありました。

 現在はアメリカ、イギリス、イタリア、ドイツなどの8カ国が、計100兆ドル――円ではない、円なら1京円――の訴訟を起こしています。

 中国政府がWHOに速やかに情報提供を行わなかったことが、アメリカなどの訴訟理由です。

アメリカが取り得る対中戦略の比較

  • 1.中国と戦争する
    2.中国と協調する
    3.太平洋を第二列島線で分割統治
    4.アメリカ本土まで後退する

 アメリカが採れる対中戦略は、上記の4つです。それぞれ簡単に、比較して実現可能性を探りましょう。

中国との戦争は可能か

 覇権国家の覇権にチャレンジする新興国家が現れたとき、覇権国家は往々にしてトゥキディデスの罠にはまります。トゥキディデスの罠とは「覇権国家が新興国家を恐れて衝突を繰り返し、最終的に戦争を仕掛けること」です。

 米中戦争は可能か? 可能性はありますが、起これば悲惨な結果を招きます。
 アメリカにはもはや、中国と戦争することはできないという言説もあります。筆者もこれに、同意です。

  1. 海軍の近代化と強化
  2. 一帯一路などによる覇権の確立
  3. 接近阻止・領域拒否戦略
  4. 内債による財政出動での経済成長

 上記が中国軍が進めている、国家戦略です。要約すればアメリカに攻め込むのは無理でも、中国とその周辺にアメリカ軍を近づけさせない戦略です。

 米中の軍事衝突に関しては、ピーター・ナヴァロの「米中もし戦わば 戦争の地政学」が詳しいです。

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 ナヴァロはアメリカ人なので、本書はややアメリカ寄りの見解です。しかし宇宙戦やサイバー戦など、今までにない戦争の形態を知るにもちょうど良い著書です。

米中が協調する

 これだけの衝突を繰り返した後で、米中の協調は可能でしょうか。結論から言えば、不可能です。

 米中衝突の根本的な原因は、グローバリズムそのものです。
 グローバリズムとは「グローバルなルールを、アメリカが作って押しつけること」です。したがって中国は従属したくないので、反発します。

 アメリカにとっては反発される上に、中国に貿易で富が流出します。国内の雇用が失われ、国民が不満を抱きます。よって中国に圧力をかけて、富を収奪しなければなりません。

 グローバリズムは最終的に、国家間の関係を悪化させるのです。

太平洋を第二列島線で分割統治

 中国はかつてアメリカに、太平洋を第二列島線で分割統治しないかと持ちかけました。冗談ではなく、大真面目に。

 アメリカの覇権や国力は、相対的に凋落の一途です。多くの地政学者や国際政治学者は、これから多極化の時代が来ると予測しています。
 アメリカ大陸はアメリカが、ユーラシア大陸は中国やロシアが、ヨーロッパはドイツなどが覇権を確立するかもしれません。

 アメリカと中国の覇権が衝突しないように、第二列島線で分割統治するのは現実的な提案です。……日本はこのケースでは、中国の覇権勢力に飲み込まれますが。

アメリカ本土まで撤退する

 日本や東南アジアなどから、アメリカ本土までアメリカ軍を撤退させるのはどうでしょうか。アメリカ軍の世界展開は、莫大なコストがかかっています。
 世界に展開するアメリカ軍を撤退させれば、本土の防衛はより強固になるでしょう。

 アメリカが今すぐ、この選択をすることはありません。しかし世界の警察を辞めたアメリカが、将来的に孤立主義を採用しても驚くに値しません
 なぜならアメリカはそもそも、第二次世界大戦まで孤立主義だったのですから。

米中衝突のなかで日本はどう振る舞うか

 アメリカが取り得る対中戦略は4つですが、可能性が高そうなのはアメリカの撤退です。すでに在韓米軍撤退という話も、チラホラ出てきています。
 費用対効果が低くなれば、在日米軍の撤退も将来的にはあり得ます。

 米中の衝突と中国の勢力拡張、アメリカの凋落。この国際情勢に日本は、どのように振る舞うべきでしょうか。

パワーポリティクスの国際政治

 国際政治はパワーポリティクスであるという冷徹な現実を、まず踏まえるべきです。パワーポリティクスとは、軍事力や経済力などの力に基づいて国際関係が決まるという考え方です。

 国際政治や国際関係は理解するための、もっとも基本的な考え方です。
 大統領のキャラクターや人権、平和主義などのイデオロギーより、まずはパワーで国際関係は決まります。

日本の立ち位置と軍事力

 日本は建前上、軍事力を持ちません。なぜなら、軍隊を持っていないはずだからです。実際には自衛隊があります。しかし自衛隊は、他国の軍隊と比較して不自由な軍隊です。
 装備や練度といった話ではなく、法制上の不自由さによって弱体化しています。

 日本の外交がいまいち上手く行かない、失敗ばかりなのは軍事力がないという理由も大きいです。

 その軍事力、国家の防衛はもっぱらアメリカに依存しています。「自衛隊が盾で、アメリカ軍が矛」とは、日米同盟と自衛隊を的確に表わしています。
 通常、軍隊は盾と矛の両方の役割が可能です。自衛隊は盾だけに、制限されています。

 このように防衛を他国に依存する体制を、一般的には属国と言います
 アメリカの一部の政治学者は、ストレートに「属国」「保護領」と日本を表現します。

 このように日本の立ち位置は、凋落するアメリカに依存したマズいものです。2000年代にはアジアのリーダーを名乗れましたが、現在は名乗れません。この一事でも、凋落の度合いが理解できます。
 これからもドンドン、国際的な立ち位置は低下していくことでしょう。

自立するか二重属国を許容するか

 米中は衝突を繰り返すでしょう。その行く先は、不透明です。

 日本の選択肢は2つあります。アメリカから自立するか、対米従属とともに中国にも従属するかです。後者は二重属国と言えます。

 中国は間違いなく、日本の属国化を目指します。経済や政治で、日本に影響力を与えるように立ち回るでしょう。

 米中衝突はコロナ禍もあり、さらに激化していきます。日本に残された時間は、あまり多くはありません。どのような選択をするのかは、日本人次第です。

まとめ

 米中衝突の根本的な原因は、グローバリズムそのものです。この仕組みや構造を詳しく知りたいなら、以下の著作がおすすめです。

 国際政治学や地政学を理解したいなら、中野剛志氏の名著である「富国と強兵」も必読です。

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 国際関係を考える上で、大きなフレームワークを上記の著作で持つと理解が進みますよ。

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物には順序あり
1 年 前

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この程度の浅はかな分析(しかも見当違い)しかできないということは、根本的に情弱なのかお花畑なのか工作なのか理解に苦しむ。まあ、おそらく工作であろう。
しかし、もし本気でそう考えているのであれば、トランプ政権の本質を知る意味でも、まずは馬渕大使の本を読んで勉強してもらいたいものですね。

1 年 前

私も、1990年だい初頭ごろ、中国が開放政策で豊かになれば、民主主義国家になるんじゃないかと無邪気に、無邪気に思っていましたねえ・・・・・。
アメリカは、できれば第1列島線で中国を抑え込みたいでしょうね・・・。(太平洋まで中国の潜水艦や軍艦が動き回ったら鬱陶しいでしょうから・・)
現状では、中国を第1列島線で抑え込むか、第2列島線まで進出されるかで、しのぎをけずっている所でしょうか・・・・・。
アメリカとしては、現状としては中国を貿易の商売相手というよりかは・・、貿易のライバル認定したという所でしょうかね・・。
戦争をする可能性は極めて低いでしょうけど・・、今後は、貿易問題でアメリカが有利になるように、各種の手練手管を中国相手に使っていくんでしょうね。
アメリカの方針的には・・、日本からはできるだけ搾り取って、中国に対しては貿易問題を有利に運ぶように対峙していくって所でしょうか。
貿易や外交を利用して、中国のこれ以上の強大国への道を、できるだけ阻止したいというところでしょうか・・。(どの程度、効果があるかは、現状ではかなり、未知数ですが・・)

1 年 前

しかし・・、ダブル属国って、おもしろいですねえ・・。(おもしろくはないですが)
歴史上の事例を見ますと・・、どこが該当しますかねえ・・・?
日本とロシアに影響力を握られていた大韓帝国でしょうか・・?
あああ、それとも、清と日本両方に服属していた琉球王国でしょうか・・?
それとも、分割されたポーランド・リトアニア共和国みたいな感じでしょうか・・?
まあ、どの道・・、ろくでもない結果しか待っていない感じですね・・(吐血)
しかし・・日本もファーウェイとZTEの製品を、アメリカにならって使わないとも言ってますし・・、いちおう、いまんところアメリカの属国路線は継続ですかね・・?
しかし・・、日本人はなんか大陸に夢を持ちたがるからなあ・・・・・。
下手に(中国への)経済依存度をこれ以上強めれば、それこそ、やっぱりダブル属国(アンド破滅)の未来ですかね。
しまいには・・、「日本を守るには、アメリカの属州になるしかないんだよ!」って、利口なことを言いだす人も出てくるしまつなんじゃ・・・・(笑)
・・・・・・・・・・・(-_-;)

1 年 前

>物には順序ありさん
いやはや、申し訳ない。時間が取れなくて30分程度で、今まで書いてきた主張を端的にまとめた記事でございました。
どのあたりが「見当違い」か、ぜひともご教授いただけますと幸いです。
>阿吽さん
私だって2000年代って20代ですから、「きっと中国は民主化していく」と思ってました(笑)
若さとは良いものです・・・・もう、おっさんになっちゃった(笑)
ダブル属国てーのは、なかなか歴史上も見つけるのが多少難しいんじゃないでしょうか?珍しい意味では、面白いかもです(汗)
ダブル属国になったらどうなるんでしょうね・・・そこはあまり分析してません。
日本的なものは壊滅的に喪失はするんじゃないでしょうか?

1 年 前

私も、1990年だい初頭ごろ、中国が開放政策で豊かになれば、民主主義国家になるんじゃないかと無邪気に、無邪気に思っていましたねえ・・・・・。
アメリカは、できれば第1列島線で中国を抑え込みたいでしょうね・・・。(太平洋まで中国の潜水艦や軍艦が動き回ったら鬱陶しいでしょうから・・)
現状では、中国を第1列島線で抑え込むか、第2列島線まで進出されるかで、しのぎをけずっている所でしょうか・・・・・。
アメリカとしては、現状としては中国を貿易の商売相手というよりかは・・、貿易のライバル認定したという所でしょうかね・・。
戦争をする可能性は極めて低いでしょうけど・・、今後は、貿易問題でアメリカが有利になるように、各種の手練手管を中国相手に使っていくんでしょうね。
アメリカの方針的には・・、日本からはできるだけ搾り取って、中国に対しては貿易問題を有利に運ぶように対峙していくって所でしょうか。
貿易や外交を利用して、中国のこれ以上の強大国への道を、できるだけ阻止したいというところでしょうか・・。(どの程度、効果があるかは、現状ではかなり、未知数ですが・・)

物には༳
1 年 前

この程度の浅はかな分析(しかも見当違い)しかできないということは、根本的に情弱なのかお花畑なのか工作なのか理解に苦しむ。まあ、おそらく工作であろう。
しかし、もし本気でそう考えているのであれば、トランプ政権の本質を知る意味でも、まずは馬渕大使の本を読んで勉強してもらいたいものですね。

1 年 前

しかし・・、ダブル属国って、おもしろいですねえ・・。(おもしろくはないですが)
歴史上の事例を見ますと・・、どこが該当しますかねえ・・・?
日本とロシアに影響力を握られていた大韓帝国でしょうか・・?
あああ、それとも、清と日本両方に服属していた琉球王国でしょうか・・?
それとも、分割されたポーランド・リトアニア共和国みたいな感じでしょうか・・?
まあ、どの道・・、ろくでもない結果しか待っていない感じですね・・(吐血)
しかし・・日本もファーウェイとZTEの製品を、アメリカにならって使わないとも言ってますし・・、いちおう、いまんところアメリカの属国路線は継続ですかね・・?
しかし・・、日本人はなんか大陸に夢を持ちたがるからなあ・・・・・。
下手に(中国への)経済依存度をこれ以上強めれば、それこそ、やっぱりダブル属国(アンド破滅)の未来ですかね。
しまいには・・、「日本を守るには、アメリカの属州になるしかないんだよ!」って、利口なことを言いだす人も出てくるしまつなんじゃ・・・・(笑)
・・・・・・・・・・・(-_-&#59)