今さら聞けない?!グローバリズムとナショナリズムの対立関係

 2008年のリーマンショック以来、グローバリズムの弊害はさまざまな場所で論じられてきました。グローバリズムや新自由主義が主張する均衡財政主義へ反発し、積極財政を求める声もあります。

 ところがいまいち、グローバリズムへの反発が日本では高まりません。

 グローバリズムとナショナリズムの関係を理解し、日本におけるナショナリズムの立ち位置を知ることで現状が理解できます。
 基本的なことだからこそ、知っておくと思考が捗りますよ。

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グローバリズムとは

 グローバリズムとは日本語で、地球主義と訳されます。

 主に経済において、地球規模で市場ルールを統一しようとするイデオロギーです。地球規模で共通の市場が形成されれば、ヒト・モノ・カネが自由に行き来します。経済を通して、地球が一つの共同体になることを目指すのがグローバリズムです。

 したがってグローバリズムでは、各国の政府は障害です。そのため、小さな政府を目指します。新自由主義とも非常に相性が良いです。

 グローバリズムは新自由主義と同じ意味で、使用されることも多いです。厳密には異なるので、混同しないようにしましょう。
 グローバリズムは究極的に、世界政府ができれば達成されます。新自由主義は世界政府ではなく、小さな政府を求めます。最終的な着地点は、やや異なるのです。

ナショナリズムとは

 ナショナリズムの語源はネイションであり、ラテン語では「生まれ」を意味します。ネイションとは共同体、民族、親族などを意味します。

 ナショナリズムは日本語で、さまざまに訳されます。民族主義、国家主義、国粋主義etc……。

 しかしもっとも妥当な翻訳は、共同体主義か国家主義でしょう。

 ナショナリズムは、一定の共通した文化を持つ国家という共同体を重視します。経済においても共同体を優先し、国家ごとの市場ルールを認めます。

 国際関係ではグローバル(地球的)ではなく、インターナショナル(国際的)に振る舞います。インターナショナルは複数の二国間関係が、複雑に絡まり合った国際関係です。

 国内市場独自の事情を重視するので、地球規模で市場を統一しようとするグローバリズムとは反発し合います。

グローバリズムとナショナリズムの関係性

 グローバリズムとナショナリズムは、現在のところは完全な対立概念です。「現在のところは」という注釈は、将来において対立が解消される可能性がわずかにあるからです。

 仮に世界政府が樹立され地球が一つの共同体になると、グローバリズムとナショナリズムは対立概念ではなくなります。

 閑話休題。

 グローバリズムは、21世紀にできたイデオロギーではありません。現代でも、古くは第一次世界大戦まで遡ります。
 1929年の金融危機と世界恐慌は、グローバルに世界がつながっていたからこそ起きました。
 逆に日本のバブル崩壊は、日本がグローバルでなかったために世界に波及しませんでしたよね。

 グローバリズムは格差を拡大させ、金融危機を頻発させます。経済成長を阻害し、国内に不満が鬱積します。各国政府はその不満解消のため、富を近隣国家から収奪しようとします。
 したがってグローバリズムは国際関係を、最終的には悪化させます

 グローバリズムによって悪化した国際関係は、急速なナショナリズムへの回帰を目指します。こうしてブロック経済が形成され、第二次世界大戦も勃発しました。

 グローバリズムとナショナリズムは、テーゼとアンチテーゼの関係です。現在でも行き過ぎたグローバリズムは、ブレグジット、極右政党の台頭、トランプの出現など、ナショナリズムへの回帰を引き起こしています。

日本のグローバリズムとナショナリズム

 日本におけるグローバリズムは、1990年代に輸入されました。この頃から、グローバルスタンダードという言葉が頻繁に使用され始めます。

 1990年代以降の日本では、グローバルスタンダードに合わせて多くの改革が行われました。四半期決算導入、省庁再編、小選挙区制、郵政改革etc……。
 各種の規制緩和や構造改革、自由貿易協定などが活発化しました。

 1991年にバブルが崩壊し、その後の急速なグローバル化で日本は失われた20年を迎えます。グローバル化と失われた20年が重なったのは、偶然ではなく必然です。
 バブル崩壊後の積極財政継続が必要な時期に、グローバル化と小さな政府路線へ舵を切ったのです。デフレになって当たり前です。

 では日本で、グローバル化への反発は起きているでしょうか。
 一般的にグローバル化への反発は、ナショナリズムへの回帰を引き起こします。日本においてナショナリズムへの回帰は、ほとんど起こっていないように見えます。

 ナショナリズムは日本で、危険なものと捉えられています。太平洋戦争を引き起こしたのがナショナリズムだと、固く信じられています。
 戦後日本は、平和主義を掲げてました。裏を返せば、ナショナリズムの否定です。

 したがって右派を代表する自民党は、アメリカへの国防依存+グローバリズム路線を採りました。グローバリズムの格差拡大などに対抗するべき左派は、ナショナリズムの否定から有効な主張ができません。

 日本では右派、左派ともにグローバリズムへの反発が難しいのが現状です。このあたりは佐藤建志氏の、平和主義は貧困への道が詳しいです。

 グローバリズムの作用については、中野剛志氏の以下の著書がおすすめです。

まとめ

 グローバリズム、ナショナリズムの他にもリージョナリズムという言葉があります。リージョナリズムは地域主義、地方主義と訳されるようです。

 イデオロギーや思想はさまざまに分類され、多くの用語や言葉が飛び出します。その一つ一つを理解するのは、大変なことです。

 しかし問題として語られることの多い「グローバリズム」「ナショナリズム」くらいは、しっかりと理解しておくことをおすすめします。
 知ると知らないでは、報道やニュースへの捉え方が大きく変わりますよ。

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