コロナ禍第二波で再び緊急事態宣言か?! と、現在は危惧されています。コロナ禍の影響で派遣切り、雇い止めなどが横行し、コロナ禍で何らかの影響を受けた労働者は半数以上にのぼります。
この混乱した状況の中で、政治的な主張もまた混乱を来しています。「コロナの脅威はそれほどでもない!」「いやいや、脅威は最大限に見積もるべきだ!」「何を言ってるんだ! 失業率が増えたら自殺者も増えるんだぞ!」etc……。
読者としても、何を信じればいいのか混乱しますよね。コロナと経済問題の関係を解説します。どの言説を信じるにしても、まずは「思考するための土台作り」をしてください。
緊急事態宣言や自粛と経済の関係
コロナで起きる問題は2つあります。
- コロナの感染して死者が出ること
- コロナの感染を防ぐために経済を停止すること
上記2つが問題の本質であり、両面です。
死者の原因となる感染者を増やさないために、政府は緊急事態宣言をしました。感染者を増やさない自粛とは、すなわち経済の停止です。
経済とは人の活動に他ならないので、感染症対策との相性は最悪です。経済を優先すれば感染症対策は疎かになり、感染症対策を優先すれば経済が停止します。
テレワークは、その実例です。テレワークの推奨によって、通勤需要が減少しました。すなわち経済の一部が停止したわけです。
経済と感染症対策は基本的に、両立しません。
経済の停止とその影響
ひとまずコロナの脅威度について、脇に置きます。
コロナ対策として経済を停止させると起こる問題は、主に失業率の上昇と倒産の増加です。
失業率が1%増加すると、2300人強の自殺者が増加すると言われています。日本の場合、自殺が変死体に数えられることが多いです。「自殺者が減っている」はウソ? 変死体が増えている (3/3) – ITmedia ビジネスオンラインによれば、変死体のうち1万は、自殺者だそうです。
参照 失業率とシンクロする自殺率の推移 | ニューズウィーク日本版
したがって変死体も含めた自殺者は、おそらく失業率1%につき3000人ほどの増加となるはずです。
コロナ禍と積極財政の矛盾
積極財政は基本的に、経済を活発化します。経済の活発化は、コロナ拡大を意味します。したがってコロナ禍における積極財政は、保障としての性格のものに限られます。
休業補償、雇用保障、生活保障などです。
保障としての積極財政とコロナ対策の経済停止は、一見すると両立するように見えます。しかし期間によっては、大きな弊害も予想されます。
経済活動を停止、すなわち供給が縮小します。一方で政府支出による保障で、需要は維持されます。程度の問題ですが、過度なインフレが起きる可能性があります。
したがって保障+強いコロナ対策は、コロナ禍が長引くと、どこかで供給増加に踏み切らなければなりません。つまり経済活動の再開です。
この期間をどの程度と見積もるのか? コロナの脅威度の程度により異なります。
コロナの危険性の判断
経済をどの程度停止させるか、いつ再開させるか。この判断は、コロナの脅威度によって変化します。
したがって「自粛など必要ない!」「いや必要だ!」のどちらも、コロナの脅威度はどれくらいか判明していないとできない主張です。
ちなみにコロナの脅威度は、依然として専門家や学者の間ですら見解が分かれています。したがって「どの程度の経済停止が必要か?」「どの程度の感染症対策が必要か?」なんて「誰にもわからない」が正解です。
現在、日本におけるコロナの致死率は0.5%程度です。しかし感染者が増え、医療崩壊を起こせばどうなるか? と言われれば、警戒せざるを得ません。
コロナに対して「すでに集団免疫を、先進国は獲得しつつある」との見解もあります。なるほど、先進国では死者数が減少し続けています。
しかし死者数が減少していることの原因が集団免疫だとは、まだ断定できないのが現状です。
要するに「誰もまだ、コロナをわかってない」のです。よって「断定的な政策方針は、非常に危険である」と思われます。
コロナと経済をどうバランスする?
政治とはやっかいで、わからないなりに決断しなければなりません。日本では現在の時点まで、コロナは大きな脅威ではありません。しかし「なぜそうなのか?」が判明していない以上、警戒も必要です。
したがって玉虫色に、適度に自粛しつつ経済は止めないという現在の状況は「悪くない判断」と言えます。もちろん給付金が遅い、財政出動の真水が少ないなど、さまざまな批判は筆者も抱いています。
ぶっちゃけて言えば現在の状況では「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応する」、すなわち行き当たりばったりしか無理だと思います。
コロナへの正しい情報はそろっていません。正しい情報なしに、正しい判断はできません。つまり現時点では「我々は正しい判断ができる状況にない」と知ることこそ重要です。
>したがって玉虫色に、適度に自粛しつつ経済は止めないという現在の状況は「悪くない判断」と言えます。もちろん給付金が遅い、財政出動の真水が少ないなど、さまざまな批判は筆者も抱いています。
「悪くない判断」ですか?それどころか、相変わらずの行き当たりばったりの無為無策&無能&無責任の極致ですね。安倍政権の政策は。とにかく日本国家の安全保障や国民経済の維持・再生、日本国民の日常生活や健康のことなど二の次、三の次。一番の優先事項は現政権の維持、それから現政権を担いで利権を貪るハイエナ(レント・シーカー)どもの安泰です。
その例として挙げられるのは、現在進行中の愚策、つまり、コロナ患者を受け入れた病院の経営悪化や医療従事者の待遇悪化という事態に見向きもせず、全国的な感染拡大の真っ只中にありながら、さらなる感染拡大をもたらす「Go Toキャンペーン」なるものを強行するという基地外沙汰ともいえる所業。その真意は、全国旅行業協会の会長=二階俊博がゴリ押ししたから。
本来、政府が行うべきことは、地域ごと・業種ごとの強力な自粛要請と同時に十分な規模の休業補償。それによって、さらなる経済悪化を食い止めると同時にパンデミックの拡大を抑え込むことです。
うーん、政権維持が目的ならGoToキャンペーンはしないんでは?
>強力な自粛要請
自粛要請が強制力を持つと、それは自粛ではないです。
「休業命令と休業補償」なら理解できます。現行法で実現は無理ではありますが。
いや、「経済活動=人の営み」ですから。日本人が半分くたばったら、経済活動も維持できないでしょうね。