小さな政府と新自由主義の関係とは-ポイントを絞って5分で解説

 新自由主義と小さな政府という言葉は、ときどき報道で見かけます。なんとなく「新自由主義=小さな政府」とは知っていても、なぜそうなるのか? ぼんやりとしてませんか?

 新自由主義=小さな政府になぜなるのか? 新自由主義とは何か? をポイントを絞って解説します。

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新自由主義とは小さな政府を目指すこと

 新自由主義とは、小さな政府を目指すイデオロギーの一種です。「新自由主義で大きな政府」は、絶対にあり得ません。「共産主義で小さな政府」と言うくらい、あり得ない話です。

 小さな政府を目指すには、政府が設けた規制を緩和したり政府支出を削ったりします。できるだけ政府や政治が、経済に介入しないようにするのが小さな政府であり、新自由主義の概要です。

新自由主義というイデオロギーのポイントとは

 新自由主義の特徴的なポイントを、3つだけあげるとすれば「自由競争至上主義」「政治への不信感」「見えざる手」です。

自由競争至上主義と小さな政府

 新自由主義は自由競争で、経済が発展していくと考えます。従って経済の自由競争を犯すものは、経済の発展を邪魔する敵となります。

 自由競争に介入する政治は、新自由主義にとっては許されない邪魔者です。よって小さな政府が正しいと、新自由主義は考えます。

 けれど現実世界で自由競争を推し進めた結果、市場は弱肉強食になりました。富める者はますます富み、格差は広がっていくばかりになります。考えてみれば当たり前で、資本主義とは「お金がある方が強い」のです。自由競争とは「お金持ちが必ず勝つ競争」でした。

政治が経済を歪めると考えている

 新自由主義は政治が誤ることを、過大に責め立てます。政治が経済に介入して誤ることより、自由競争に任せた方がうまくいくと考えます。

 従って新自由主義では、政府が設ける規制や国境、そして社会保障までもが「市場への余計な介入」と考えられます。つまり小さな政府を目指します。

 けれどもじつは、新自由主義が唱える「真に自由な市場」は、この世のどこにも存在しません。なぜなら「規制を緩める」というのもまた、政治のひとつだからです。

見えざる手と市場競争のフィクション

 なぜ新自由主義は、自由競争で経済がうまくいくと考えるのでしょうか? これにアダム・スミスの「見えざる手」という概念が関係します。一般的には「神の見えざる手」と言われますが、アダム・スミス自身は「神の」とは言っていません。

 経済を自由市場に任せれば、見えざる手が自然に市場を調整してくれると新自由主義は考えます。新自由主義的改革を進めてきた日本が、ずっとデフレだったのは「まだまだ改革が足りないからだ」と考えます。

 本当は単に、新自由主義と自由競争、そして小さな政府では「最終的にデフレになる」のですが……。この構造はまた、別の機会に譲りたいと思います。

小さな政府の政治への弊害

 新自由主義は小さな政府を目指しますが、小さな政府とは何か? 明確に理解している人は少ないともいます。単に「効率的な行政とか?」と考えているのではないでしょうか。

 小さな政府とは帰結として、民主主義すら否定することへとつながります。

弱者を救済する権限が小さくなる

 小さな政府とは、何が小さくなるのでしょうか? よく「効率化してスリム化する」などと言われますが、真っ赤な嘘です。

 本当は予算と権限が小さくなります。予算と権限が小さくなれば、弱者救済やセーフティーネット、社会保障もままならなくなります。

格差拡大を止められなくなる

 権限と予算が小さくなれば、政治家は容易にロビー活動に左右されます。アメリカを見てください。一部の金持ちが政治を動かしています。

 こうなるとドツボで、政府は格差拡大を止められなくなるどころか、むしろ推進しようとすらします。なぜなら金持ちを味方につけた方が、政治家もウハウハだからです。

民主主義的な意思決定が軽んじられる

 金持ちが政治に介入し、小さな政府は金持ちのためだけに機能するようになると、もはや民主主義は葬られたも同然になります。

 仮にそこまでいかなくても、小さな政府とは権限が小さく、よって民主主義で決定したことを履行できない政府になります。

 EUはとてもグローバリズムで新自由主義なシステムです。そのEUから抜け出そうとしたイギリスは、民主的にブレグジットで脱EUを決定したにもかかわらず、なかなか抜け出せませんでした。これもやはり、小さな政府の弊害です。

新自由主義と小さな政府は99%の人々には毒

 オキュパイ・ウォールストリートOccupy Wall Streetは2010年代中盤に、アメリカで起こった運動です。日本語に訳せば「ウォールストリートを占拠せよ!」です。

 これは1%の富裕層がますます富み、99%の人々が豊かにならないから起こりました。アメリカでは過去30年間の間に、ボトム9割の所得は1%程度しか伸びていないのです。

 小さな政府は格差を縮小するために、市場に介入することができません。また予算も小さくまとめるようになり、貧しい人々のために多くの支出をできなくなります。

 新自由主義と小さな政府は、99%とは言いませんが9割の人たちにとって有害です。ほんの少数の「とてもお金儲けがうまい人たち」だけが得をするのが、新自由主義と小さな政府です。

 最後に……「増税は小さな政府? それとも大きな政府?」どちらでしょうか?

 日本のケースでは増税が、国債の償還に使われています。従って富の再分配ではなく、緊縮財政と解釈できます。つまり政府支出が過少になるので、小さな政府と解釈します。

 どうでしょうか。おおよその「新自由主義と小さな政府」のポイントはつかめたでしょうか。以下の記事も、参考になると思いますよ。

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