コロナ禍で飲食店がどんどん潰れる!地獄の苦境に立つ飲食店経営者たち

 コロナ禍で多くの飲食店が苦境に立ち、潰れる際に立たされています。報道によれば、飲食店経営者の自殺者も出ています。

 ただでさえ体力のある飲食店は少ない。コロナ禍が数ヶ月続けば、半数の飲食店が潰れるとすらいわれています。報道からその実態を分析し、整理して解説します。

 最初に結論を書いておきましょう。
 政府は早急かつ大規模に、十分な支援を飲食店や中小企業などに実施するべきです。また日本の有識者は「キャッシュレスで飲食店支援©矢野経済研究所」などの寝言をいっていないで、政府に対して有用な提言を強力にしてください。

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コロナ禍で飲食店がどんどん潰れる!

 コロナ禍で多くの企業が、苦境に立たされています。中でもひときわ苦境が目立つのが、飲食業界です。今後、潰れる飲食店が多数出てきます。すでに自殺者も出ている状況。このまま放っておいてよいのでしょうか?

 様々な報道を元に、情報を整理して解説します。

飲食店の売り上げが減少した経緯

 メディアが報じるところから、飲食店の売り上げが減少していった経緯について参照します。

インバウンドの減少

 まずコロナ禍で2月に外国人観光客、インバウンド需要が激減しました。地方の名店などはすでにこの時期に、キャンセルが相次いでいたとのことです。

日本人観光客や仕事の会食も激減

 次いで日本人観光客や、仕事の会食も激減。テレワーク拡大によって、飲食店の現場では「コロナ禍が終息しても、売り上げが戻るイメージがわかない」という悲痛な声も出ています。

 多くの飲食店で2月から影響が出始め、4月で壊滅的な売り上げ減に陥っています。
 世界ランキングに名を連ねる名店ですら、売り上げが8割減も珍しくないのだとか。地方は観光客減で苦境に立たされ、都心や都会ではオフィス街から人が消えて苦境です。

 ミシュラン史上世界最短の1年5ヶ月で三つ星を獲得した名店「HAJIME」の米田肇氏は、「このままでは半年で半分は、飲食店が潰れてしまう」と危機感を感じて署名活動をしています。

休校要請で売り上げが半減

 休校要請から売り上げが激減した、という報道も見られました。休校要請は受けるインパクトが大きく、自主的に外出を自粛した人も多かったのではないでしょうか。

外出自粛要請や緊急事態宣言が決定打に

 3月の外出自粛要請、4月に入っての緊急事態宣言が飲食店にとって、決定打となりました。筆者の知る限りでは、梅田の繁華街の飲食店のほとんどが休業状態、ないし開店休業状態でお弁当を路上で売り出しています。

 金曜日のお昼12時に、梅田の「博多ラーメン げんこつ」に入店したところ、客数はわずか数人でした。いつもなら客席は満席近いというのに!

東京・大阪の自粛要請に補償はなかった

 東京の小池百合子都知事、大阪の吉村洋文府知事が出した外出自粛要請は、補償とセットではありませんでした。飲食店は売り上げが激減する中、なんの補償もなしに営業をするかどうか? の判断を迫られたのです。

名店「HAJIME」の米田シェフを中心に必死の署名活動

 HAJIMEの米田シェフによれば、2月からインバウンド需要の激減により飲食店の売り上げは減少していたとのことです。米田シェフは3月29日から「このままでは多くの飲食店が潰れる」との危機感を抱き、ネットで署名活動を開始しました。

 キャンペーン · 大阪府知事・大阪市市長: 新型コロナウイルスの影響による飲食店倒産防止対策を求めます! · Change.org

 現在、賛同者は12万人に達しています。
 米田シェフらが求めているのは「休業分の家賃+雇用者の給与の補助」です。

 政府は中小企業向けに、200万円の補償を決定しましたが「雀の涙」だそうです。なぜなら東京都内の平均的な飲食店のは25坪、家賃だけで75万円です。人件費は平均して250万円がかかりますので、都内の平均的な飲食店で325万円の経費がかかることになります。

 仮に1ヶ月でコロナ禍が終息するとしても、125万円の赤字です。コロナ禍が1ヶ月で終息する補償はどこにもありません。むしろ続く可能性の方が高い。

 ぜひ皆さんも、全国の飲食店のために署名をお願いします。

政府や自治体がようやく融資、助成金などを打ち出したが……?

 政府や自治体は融資や助成金、補償をようやく打ち出しました。しかしその規模ははっきりいって「雀の涙」です。また様々な問題を抱えており、本気で中小企業や飲食店、自営業者たちを助ける気があるのかどうか? 疑わしく思ってしまいます。

政府や自治体の融資や助成金は手続きが複雑

 政府や自治体の融資や助成金を受けるための手続きは、非常に複雑なものだそうです。なぜ複雑なのか? 後から文句を「自治体や政府がいわれないように」するためです。

融資が下りるまで3ヶ月!先に倒産してしまう

 複雑な手続きをクリアして、なんとか手続きを完了したとします。融資が決定しても、実際に融資を受けられるのは3ヶ月後だそうです。
 3ヶ月で3割、半年で半分は飲食店が潰れるといわれています。3ヶ月後に融資をもらっても、すでに潰れた後かもしれません。

飲食店は薄利多売で、平時ですら綱渡り

 飲食店は平時ですら、かなり綱渡りの経営です。飲食店で10年続く店は、10件に1件程度しかありません。9割は10年以内に潰れます。
 成功した1割の店も、利益率は1割程度です。家賃や人件費、原材料費などで9割が経費として消えていきます。

 余裕のある経営をしている飲食店はほとんどありません。だからこそ早く、政府などによる補償や補助が必要です。

自民党幹部は「持たない会社は潰す」と発言

 自民党の安藤裕衆院議員によれば、自民党幹部が企業の倒産を容認する発言をしていました。
安藤裕議員「補償やらないと企業潰れますよ」
自民党幹部「もたない会社は潰すから」

 自民党の本音って、これですよ。「もたないのは自己責任」という話。だから休業補償や給付、補助などの対策が遅きに失しているのに、政府は慌てたそぶりが一切ないわけです。
「もたない企業は潰すから」

ぼけている日本、キャッスレス決済で飲食店支援?

 本稿を書くために情報を整理し、目を通していて腹が立ちます。政府の対応の遅さと補償の薄さももちろんですが、この期に及んで「自己責任論から抜け出せない有識者」にも腹が立ちます。

矢野経済研究所が飲食店キャッシュレス支援を提案

 矢野経済研究所は苦境に立たされる飲食店支援として、キャッシュレス決済による支援を提案したそうです。中身は「プリペイドカードで未来の消費を前払い」「投げ銭で客やフォロワーが飲食店を支援」です。

 最初に筆者の心の内を書いておきます。「アホか!」としか思いませんでした。

プリペイドカードで未来の消費を前払い?投げ銭で飲食店支援?

 あまりに腹が立つので内容が少々あやふやですが、プリペイドカードで未来の消費を前払いとは、要するにその飲食店のプリペイドカードを売り出す、ということでしょう。
 購入すると将来そのプリペイドカードで食事ができる、ということです。

 投げ銭を飲食店を支援という提案もあります。SNSなりサイトに投げ銭システムを設置し、ファンの客やフォロワーから支援してもらうというものです。

 再度いいますが「アホか!」です。
 プリペイドカードですが、ほとんどの飲食店では売れません。ちょっと考えれば誰でもわかります。なぜなら「3ヶ月後に、倒産してるかもしれない」のですから。
 購入してもらったとしても、倒産すればプリペイドカード分の負債が増えるだけです。

 また投げ銭システムの導入は、一見するとありに思うかもしれません。筆者のようにブログで記事を書き、その記事に対して投げ銭を求めるならありです。

 しかし飲食店の料理人たちは、料理やサービスの対価として金銭を受け取る商売です。彼らにSNSなどで「助けてください! 恵んでください!」と物乞いさせる気ですかと。飲食店経営者や働いている人で、この提案を快く受け入れられる人は少ないでしょう。

 矢野経済研究所の提案は「ふざけんな」という評価が、もっとも適切でしょう。なぜならその提案の裏には「日本の遅れたキャッシュレス推進!」という本音が、見え隠れしているのですから。

ここまで来た!無慈悲な自己責任論と市場競争社会

 矢野経済研究所のような「バカで無教養で最悪の提案」は、これからどんどん出てくるでしょう。
 どこがバカで無教養で最悪の提案なのか? 自分たちの苦境を自分たちでなんとかしなさいという、自己責任論に基づいた提案だから「最悪」なんです。

 要するに「潰れていく飲食業界に、税金なんて使いたくない」「潰れるなら勝手に潰れてどうぞ。自己責任でしょ」が猫をかぶると「プリペイドカードで未来の消費を前払い!」だとか「投げ銭で!」という提案になります。

 まずは「政府がどれだけお金を使っても、日本国内の企業を助ける! 国民を助ける!」ということが必要です。

飲食店はコロナ禍と政府の無策に「潰される」

 飲食店を含めて、中小企業はもはや火急の支援を必要としています。しかし一方で政府の動きは、遅すぎるといわざるを得ません。
 諸外国と比べても、その動きの遅さは段違いです。

飲食店はこのままでは3ヶ月で3割、半年で半分が潰れる

 HAJIMEの米沢シェフによれば、このままでは多くの飲食店が潰れるとのことで、その危機感は完全に的中するでしょう。
 「3ヶ月で75%の飲食店が倒産する」とするシミュレーションもあるようです。

コロナ禍がいつ終わるかわからない恐怖

 現在でさえ早急に、飲食店は補償や支援が必要ですが、一時的な支援ではやはり倒産は免れない可能性が高いでしょう。なぜならコロナ禍は、下手をすれば数年続くとの観測すらあるからです。
参照 新型コロナ1年で収束せず  専門家は厳しい見方、五輪にも影響(時事通信)

 政府の手厚い支援もなく、コロナ禍がいつ終わるかもわからない。これでは飲食店経営者の、心が先に折れてしまいます。

テレワークが激増で、コロナ禍が終わったとしても戻らない?

 さらに心配されるのが、コロナ禍が終息したとしても飲食店に客が戻らないのでは? ということです。
 コロナ禍でテレワークが推奨されていますが、働き方が変われば消費行動が変化します。「せめてコロナ禍が終わるまで頑張ろう」とすらイメージでいないのが、飲食店の現状だそうです。

このままでは飲食店が潰れる!まとめ

 ここまで大量の情報を、できるだけ簡潔にまとめてきました。
 フランスでは休業補償や、給与全額補助まであるそうです。一方で日本は、ようやく10万円を一律給付することが「すったもんだの末に」決まっただけ。

 すでに報道によれば、飲食店経営者の自殺者まで出ています。人が死んでいます。
 筆者も去年の10月まで、自営業をしておりましたので「死にたくなる気持ち」は大変理解できます。自営業者や経営者は、明日の売り上げが立たなければ死にたくなるものです。

 別の報道によれば、閉店するにしても負担が半端ないようです。退去費用等々……たくさんの経費がかかるようです。いくも地獄、戻るも地獄というやつです。

 このまま中小の飲食店が潰れると、日本の飲食業界の未来は「大資本のチェーン店しか残りませんでした」ということになる可能性が非常に高い。
 それでいいんでしょうか? 日本の食文化が壊滅的な打撃を受けるのを、見過ごすのでしょうか?

 政府は一刻も早く、体力のない中小企業や飲食店、自営業への早急かつ十分な規模の補償や支援をするべきです。なぜならすでに、コロナ禍の経済苦で自殺者が出ているのですから!

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4 Comments
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4 年 前

というか、当のHAJIME自身が潰れそうな気がいたします。あそこは三ツ星に返り咲きはしたものの、もともと集客がそれほど強いお店ではありません。大阪なのに客単価が6万円くらい(ワインのペアリングもつけると一人当たり10万円近くになる)でして、お客さんもアジア系の金持ちばかり、店内には日本人の客の方が少ないくらいですね(予約は意外に取りやすい)。

予約が超絶困難な「火の鳥」や「未在」が潰れるイメージは全く湧きませんが、「HAJIME」は呼びかけのニュース映像を見て以来、私もずっと心配していました。

ポチョムキン
4 年 前

すすきのを中心とした飲食店でも食券方式でクラウドファンディングを行い1500万を集めましたが、約450店舗が募っているため正直効果はありません。

すすきのは特に酷い状況で人通りはなく直結した地下歩行空間も現在休業要請を受けシャッター商店街となっており出勤と帰宅のみの通路となっています。

札幌で一番の繁華街であったすすきの周辺は今では人との接触を一番避けられる場所となっています。飲食店もテイクアウト・デリバリーで対応していますが少なくなったペイの奪い合いでこちらも効果はありません。

このままですと飲食店だけではなく関連企業も非常に危うい状態です。