日本一わかりやすくアベノミクスとその評価を整理して解説する

 アベノミクスとはなんだったのか? と問われて、すらすらと答えられる人は少ないでしょう。答えるどころか、そもそもアベノミクスの全体像を把握している人が少ないのではないでしょうか。

 全体像を把握しないと、ことの善悪や正否は判断できません。アベノミクスをできる限りかみ砕いて、わかりやすく解説します。

 わかりやすくするためにまず、結論をお伝えしておきます。アベノミクスの筆者の評価は「聞き心地のよいスローガン・グローバル化と戦後レジームの強化・売国と日本経済脆弱化政策」です。

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わかりやすいアベノミクスのイメージ

 アベノミクスは一般的に、第一ステージと第二ステージに分かれます。第一ステージが2012年末から2015年、第二ステージが2015年9月以降とされます。

アベノミクス第一ステージ

  1. 大胆な金融政策
  2. 機動的な財政政策
  3. 成長戦略・規制緩和

 大胆な金融政策は、異次元の金融緩和とも呼ばれます。金融緩和によって市場に資金を供給し、インフレ期待を上げることでデフレ脱却が期待されました。

 機動的な財政政策は2013年までは、財政出動を意味していました。しかし2014年の消費税増税が行われてから、実質的な内容を失うことになります。

 成長戦略・規制緩和はアベノミクスで、継続的に行われている政策の一つです。入管法改正で移民拡大、種子法改正、水道事業民営化などがそうです。

アベノミクス第二ステージ

 アベノミクスの第二ステージは、一億総活躍がスローガンとなりました。

  1. 希望を生み出す強い経済
  2. 夢を紡ぐ子育て支援
  3. 安心につながる社会保障

 しかし上記のように、アベノミクス第一ステージと異なり、具体的な政策について言及されていません。筆者の個人的見解ですが、ポエムに見えます。

アベノミクスの実質的な内容は?

 アベノミクスのイメージは財政政策と金融政策で、盤石で強い経済を作って安心して暮らせるというものです。しかし実質的な内容は、どうだったのでしょうか?

 わかりやすく整理してみました。

二度にわたる消費税増税と緊縮財政

 アベノミクスでは2014年、2019年の二度にわたって消費税増税を実行しました。消費税増税の経済へのダメージは、リーマンショック級かそれ以上です。

 また安倍政権では年々、新規国債発行額が減少しています。
 予算額が多少増えたことで「緊縮財政ではない!」と強弁する人もいます。しかし増税と新規国債発行額の減少等々、どう解釈しても緊縮財政です。

規制緩和・移民拡大による外需依存の増加

 種子法改正や水道事業民営化、入管法改正などアベノミクスで行われた規制緩和はたくさんあります。これらの規制緩和は移民拡大や、外国資本との競争激化につながります。

 またインバウンドなどは、海外からの収入に頼ることにもなります。
 よって構造的に、外需依存を高めることにつながりました

社会保障費の削減

 アベノミクスで2019年に決定した、骨太の方針2019では社会保障費さらなる抑制が打ち出されました。安倍政権は消費税増税、新規国債の発行の抑制のみならず、社会保障費の抑制によってプライマリーバランスを黒字化しようとしています。

 アベノミクス第二ステージのスローガンがポエムのようだったのは、実態が伴っていなかったからとも考えられます。

アベノミクスを評価するための時代背景

 アベノミクスに対する辛口な解説が続いてしまいましたが、これには理由があります。理由を説明するためにも、アベノミクスの時代背景を見ていきましょう。

2008年のリーマンショックからの流れと民間の自立回復

 2008年のリーマンショックは、日本経済にも大きなダメージを与えました。そのダメージから回復し始めたのが2010年です。

 2010年の民主党政権は、大規模な対策は打ち出せませんでした。したがってリーマンショックによるダメージからの回復は、民間の自律的なものです。

 失業率も2010年から、回復に向かっています。そしてこの回復トレンドが「そのまま継続した」のが安倍政権時代です。失業率の低下は、じつはアベノミクスの成果と言いがたいのです。

世界経済の好調

 日本経済が2010年から回復し始めたように、世界経済も回復していきました。2017年、2018年頃まで世界経済は好調を維持します。

 この世界経済の好調によって、アベノミクスの各種数字が演出されてきました。実際に2019年になり世界経済の不透明性が高まると、アベノミクスの数字は不調に陥ります。

世界経済の不透明性

 2019年頃からアメリカと中国が、貿易戦争を開始します。これによって世界経済は不透明性を増し、日本経済も当然ながら低迷します。

 特徴的だったのが、アメリカの景気拡大と日本の景気縮小です。日本経済は中国経済の影響をもろに受け、景気縮小したものとみられます。
 もしアベノミクスが「強い経済」を実現していれば、2019年の日本経済の縮小はなかったはずです

2019年の景気縮小

 一般的にアベノミクスで、日本は戦後最長の景気拡大と言われていました。しかしアベノミクスの景気判断は恣意的で、景気縮小と判断してしかるべきケースでも「景気拡大は続いている」としていました。
 本稿では景気が縮小したという、ごくごく当たり前の解釈を採用しています。

アベノミクスの評価をわかりやすく解説

 アベノミクスの評価は、2010年代半ば頃までは半々でした。むしろ積極的に評価する向きが多かったかもしれません。
 しかしアベノミクスが続くにつれて、その評価は厳しいものへと変化していきます。

 どうしてそうなったのか? も含めて、わかりやすく解説してみましょう。

実感なき景気回復と言われたアベノミクス

 アベノミクスでは戦後最長の景気拡大が続いた、とされています。しかし一方で、実感なき景気回復とも言われました。

 実際に安倍政権下では、以下のようなことが起きています。

  1. 実質賃金の下落
  2. 格差の拡大
  3. 非正規雇用の増加

 特に実質賃金の下落は、庶民にとって景気拡大していると実感できない大きな原因の一つでしょう。では景気拡大の果実はどこに行ったのか? 大企業の利益の拡大が、景気拡大の果実です。この果実は庶民にまで回ってこず、アベノミクスが起こるとしていたトリクルダウンは起こらなかったのです。

未だにデフレ脱却できていない

 一般国民の実質賃金が低下するとは、個人消費の低迷を意味します。個人消費はGDPの6割を占めますので、需要が増加しないとことになります。
 デフレは需要<供給という状態ですから、脱却するには需要を増加させるしかありません。

 個人消費の低迷で需要が増加しないことは、すなわちデフレ脱却ができないことを意味します。
 実際に安倍政権は、デフレ脱却は道半ばと認めています

アベノミクスを評価する声はもっぱら株価や失業率

 アベノミクスを評価する声は、もっぱら株価と失業率に集中していました。株価については年金で買い支えているのが実態だ、という主張もあります。
 そもそも株価が上がっても、一般的な日本国民の生活が向上するわけではありません。

 また失業率の改善も上述したとおり、2010年から民間の自律回復が継続した結果です。むしろ失業率が改善しているのに、実質賃金が下落し続けていることが問題とされるべきでした。

 アベノミクスを評価する声は、2019年以降になってさらに小さくなっています。2020年現在、アベノミクスの評価は地に落ちています。

経済理論でアベノミクスを考えると?

 経済理論でアベノミクスを考えると、どのような結論になるのでしょうか? 難しい理論の説明は脇に置いて、わかりやすくシミュレーションしてみます。

緊縮財政継続でデフレ継続は当たり前

 需要とは「政府+企業+個人の支出の合計」です。消費増税で個人消費は低迷しています。また企業も需要が低迷する中で、大きく支出や投資をしようとしません。

 この状況で政府が支出をケチれば、需要は増加しないどころか減少すらあり得ます。つまりデフレ継続になる、というのが理論的には考えられます。

 経済理論的に、アベノミクスでデフレ脱却ができなかったのは当然の帰結でした。

規制緩和と緊縮財政で実質賃金は低下

 規制緩和は市場競争を激化させます。国内外問わず、市場に競争相手が流れ込んでくるからです。
 市場競争の激化は、価格競争やシェア争いになります。とすれば企業は、効率化とコストカットに邁進します。

 すなわち人件費も、削減や抑制されることになります。
 また緊縮財政はこの傾向に、さらに拍車をかけます。

 アベノミクスで実質賃金が下落したのは、経済理論としては全くの必然でした。
 経済理論でなくても、消費増税すれば可処分所得が減って実質賃金が低下するなんて「誰にでもわかること」ですが……(笑)

全く意味のなかった異次元の金融緩和 

 アベノミクスがこだわり続けた金融緩和ですが、効果は一切ありませんでした。金融緩和を推し進めたリフレ理論は、以下のようなものです。

  1. 金融緩和をしてマネタリーベースを増やす
  2. 日銀が市場に、金融緩和をコミットしてインフレ期待を形成する
  3. すると合理的期待形成によって、実際にインフレになる

 すごくわかりやすく言うと「インフレになるとみんなに思わせれば、インフレになるはず」という精神論です。竹槍でB29が撃墜できると思い込めば、撃墜できるのだ! と一緒です。効果があるわけがありません。

リフレ派の嘘とアベノミクス

 リフレ派は当初、金融緩和一本槍でインフレになると主張していました。よってアベノミクスは、緊縮財政に舵を切ったのです。
 しかし黒田日銀総裁がいくら金融緩和しても、一向にインフレになりません。当たり前です。理論がそもそも間違っているのですから。

 リフレ派は今、「我々は最初から財政政策も併せて主張していた!」と嘘を言ってごまかしています。アベノミクスの中枢を担ったリフレ派は嘘つきでした。ならばアベノミクスが嘘にまみれていないと、誰が言えるでしょうか?

わかりやすいアベノミクスまとめ

 安倍政権はすでに7年間続いています。アベノミクスとは安倍政権の、経済政策です。よってわかりやすくまとめるにしても、やや長文になってしまいました。

 筆者の見解を申し上げれば、アベノミクスとは以下の箇条書きに集約されます。

  1. 小泉政権以来の過激な新自由主義・グローバリズム
  2. 日本経済の弱体化による戦後レジームの完遂
  3. 国益を諸外国に売り渡す売国政策

 安倍総理は「聞き心地のよいスローガン」を掲げるのが、非常にうまい総理です。しかし今回の新型コロナの災禍で、迅速に国民を守ろうとしたでしょうか? 聞き心地のよいスローガンには、実体が伴わないのが常です。

 聞き心地のよい言葉に騙されて、果実なきアベノミクスを信じ、安倍政権を長期政権たらしめたのは国民自身です。

 未来のためにも「アベノミクスとはなんだったのか?」を、しっかりと総括しなければなりません。

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