政府支出乗数や乗数効果とは?極限までわかりやすく簡単に解説する

 乗数効果や政府支出乗数という言葉を検索して、この記事にたどり着いたあなたはラッキーです。どうしてって?

 筆者が調べた限りで、乗数効果や政府支出乗数を解説する記事は、全て超難しい言い方、書き方をしてました。そういった記事で「おお! なるほど! 乗数効果とはこういうことか!」と理解できる人は少ないと思います。

 この記事では極限まで簡単に、わかりやすく乗数効果や政府支出乗数について解説します。

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乗数効果とは

乗数効果の概要

 経済学用語における乗数効果とは、例えば1兆円を政府が投資したらいくらの経済効果が生じるか? を試算するための変数です。

 仮に1兆円を政府が投資して、GDPが2兆円増えました。とすると乗数効果は2だったことがわかります。
 ぶっちゃけ、これだけでほぼ話は終わりです(笑)

 以下の乗数効果の求め方は、さらっと読むだけでOKです。ややこしい話を飛ばしたい方は「現実のケースからGDPへの効果を計算してみよう」へどうぞ。

乗数効果を数学的に求めるには限界消費性向の理解が必要

 乗数効果そのものを求めようとすると、限界消費性向がいくらか? がわからないといけません。限界消費性向ってまた、難しそうな言葉が出てきましたが簡単です。

 限界消費性向とは1万円所得が増加したら、そのうちいくらを消費しますか? という話。3千円は貯蓄しておこう、となるなら7千円消費するので、限界消費性向は0.7となります。

乗数効果を求める経済学的計算式

 1から限界消費性向を引いた数は、限界貯蓄性向と呼ばれます。1万円のうち7千円を消費したら、3千円は貯蓄という話と一緒です。

乗数効果=1/(1-限界消費性向) ないし 乗数効果=1/(1-β) ないし 乗数効果=1/限界貯蓄性向

 上記が乗数効果を求める基本的な計算式です。政府支出乗数といわれるものです。

 所得移転や減税では、以下の式になります。租税乗数と呼ばれます。

乗数効果=限界消費性向/(1-限界消費性向) ないし 乗数効果=β/(1-β) ないし 乗数効果=限界消費性向/限界貯蓄性向

乗数効果を考えるときの注意点

 「最初の消費や投資に対して、何倍の経済効果が出るか」が乗数効果です。ここ、何気なく見えて非常に重要です。

 政府が支出しても、所得移転なら消費はまだ生まれていません。国民に一律10万円を配っても、配った時点では何も消費されていませんよね?
 よって乗数効果も、生まれようがありません。

政府支出乗数とは

 政府支出乗数とは、政府が投資や消費した場合の乗数効果のことです。

 乗数効果は支出の仕方によって変化します。乗数効果が高いほど、GDPの増加には効果的な支出方法といえます。

 政府支出は2種類に、分類することが可能です。

  1. 政府の消費や投資
  2. 政府から民間への所得移転

 1.の政府の消費や投資は、行われた時点で乗数効果1以上が確定します。なぜなら1兆円を消費すれば、確実に1兆円のGDPが増加するからです。

 2.の所得移転は、行われた時点ではGDPは増加しません。1兆円の所得移転を民間に行っても、民間が1兆円を貯蓄したらGDPの増加はゼロです。よって乗数効果もゼロになります。

 それぞれ数式にすると、以下のような計算になります。

1.政府の投資や消費ないし政府支出乗数
政府支出額 x 乗数効果 = GDPの増加額
上記の乗数効果には以下の式
乗数効果=1/(1-限界消費性向) ないし 乗数効果=1/(1-β) ないし 乗数効果=1/限界貯蓄性向

2.政府→民間への所得移転ないし租税乗数
政府支出額 x 消費性向 x 乗数効果 = GDPの増加額
もしくは
乗数効果=限界消費性向/(1-限界消費性向) ないし 乗数効果=β/(1-β) ないし 乗数効果=限界消費性向/限界貯蓄性向
上記の乗数効果を使用して
政府支出額 x 乗数効果 = GDPの増加額

租税乗数とは

 租税乗数とは減税ないし増税した場合の、乗数効果のことです。増税の場合は、マイナスの乗数効果と呼ばれることもあります。

 所得移転や減税をしても、貯蓄に回ればGDPの増加はゼロです。よって「所得移転した金額のうち、いくらが消費されるか(消費性向)」が租税乗数では重要になります。

現実のケースからGDPへの効果を計算してみよう 

 政府の投資や消費の乗数効果は、2~4程度といわれています。通常は2くらい、デフレのときには4になるという説もあります。
 ちなみに財務省は1.1としていますが、あり得ません。

 よって乗数効果は2で試算しましょう。

 消費性向は給付の場合、およそ0.4~0.7程度といわれています。ひとまず0.5を消費性向として試算しましょう。

乗数効果2、消費性向0.5のケース 公共事業10兆円の経済効果は?

 乗数効果2、消費性向0.5はかなり現実的な数字です。これで公共事業10兆円を行った場合の、経済効果を試算しましょう。

GDP増加額(経済効果)=10兆円 x 乗数効果2

 上記のようになり、GDPは20兆円増加するだろうと試算できました。

乗数効果2、消費性向0.5のケース 減税10兆円の経済効果は?

 次は減税の場合を試算してみましょう。減税10兆円ですと、例えば消費税を5%に下げる場合などです。

GDP増加額(経済効果)=10兆円 x 消費性向0.5 x 乗数効果2

※ないし租税乗数を使用すると「10兆円 x 乗数効果1」となります。租税乗数には「消費性向0.5」の部分が含まれているため

 上記でGDPは10兆円増加すると試算されます。

乗数効果とは まとめ

 乗数効果は、どれくらいの経済効果が見込めるかを計算するための変数です。乗数効果は政府支出乗数と租税乗数の2種類があり、それぞれ「消費や投資の場合」と「減税や所得移転の場合」に使用する乗数です。

 政府支出乗数はおよそ2といわれています。デフレ時には効果が上がり、4くらいになるともいわれます。
 租税乗数はおよそ1程度ですが、減税や給付の方法や金額、状況で消費性向が異なることがあります。

 筆者は単純に

「乗数効果は2、消費性向0.5。所得移転系の場合は消費性向も使用する」

 とだけ覚えています(笑)

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