日本経済が崖っぷちに立たされています。
2020年の日本経済は2019年の消費増税とコロナウイルスの影響で、非常にまずい状態です。消費増税で予想されていた影響ですら、リーマンショック並みでした。そこにコロナウイルスの影響が加わり、日本経済に大激震が走りました。
結論から申し上げれば、日本経済はリーマンショック以上の経済ショックを受けています。この現象を仮に「消費増税・コロナ不況」と呼びます。
消費増税・コロナ不況の影響は、どの程度か? どれほどのインパクトがあるのか? を解説します。
リーマンショック以上の消費増税・コロナ不況という深刻な危機
リーマンショックは一体、どの程度の経済ショックだったのか? をまずは解説します。リーマンショックが起こったのが、2008年の10月でした。リーマンショックの影響は、2009年に日本経済を襲いました。
2009年のGDPは実質で5.4%減、名目で6%減でした。
多くの企業が倒産し、非正規雇用は切り捨てられ、失業率も上がりました。筆者もその頃は自営業をしており、売り上げが4~5割減となった記憶があります。
2019年10月に消費増税が実施され、10-12月期の統計はひどいことになりました。2019年10-12月期のGDPは年率で7.1%減!! です。
参照 19年10~12月期GDP改定値、年率7.1%減に下方修正:日本経済新聞
消費増税の影響だけですでにリーマンショック並み、ないしリーマンショック以上の経済ショックです。ここに年初から始まった、コロナウイルスの影響が加わります。
何をどう考えてもリーマンショック以上の、経済への悪影響があるでしょう。
2020年の名目GDPが前年比で、7~8%減になったとしても驚きません。
コロナウイルスの影響で、日本経済が崖っぷちである3つの理由
理由1 コロナウイルスで経済が失速した米中
世界の消費大国であるアメリカ、中国の経済もコロナウイルスで失速しています。まだ感染者が少ないアメリカは、世界的なコロナウイルスのパンデミックを受けてGDPがマイナスになるとの試算です。
参照 米GDP、4~6月期は年率4%減へ 通年もマイナスに━調査会社
コロナウイルスの発信源となった中国は言わずもがな。中国経済1~2月の主要統計が初のマイナス 新型コロナで:日本経済新聞によれば、中国は初めてGDPでマイナスを記録する公算が大きくなりました。
消費大国である米中経済が、コロナウイルスの影響で失速すれば、世界的にも不況がやってきます。恐慌と言っても過言ではありません。
理由2 外需の影響が大きい日本経済
日本経済は安倍政権において、構造改革と各種規制緩和を進めてきました。2015年以降の日本経済の好調部分は、世界経済の好調、つまり外需によって支えられました。
その証拠に日本の個人消費は、2014年以降ずっと低調です。
では世界経済がコロナウイルスの影響で、失速したらどうなるでしょうか? 日本経済に深刻な影響が出るのは避けられません。
理由3 2019年10月の消費増税
外需がコロナウイルスの影響で失速した場合、経済で頼りになるのは内需しかありません。しかし内需は2019年の消費増税で、深刻なダメージを受けたばかりです。
なにせ消費増税だけで、リーマンショック級のダメージがありました。このダメージは永続しますし、目立たなくなるのにも数年以上かかります。
消費増税・コロナ不況に日本経済が立ち向かう超克的対策の方向性
消費増税・コロナ不況という深刻な危機に立ち向かうためには、どのような対策が必要か? 大まかに議論してみます。消費増税・コロナ不況という深刻な危機に対する対策は、可及的速やかに、かつ大がかりなものが必要です。
方向性1 コントロールできない外需より内需優先
基本的な話ですが、外需はコントロールできません。日本政府の施政が及ばないからです。よってコントロールできない外需を当てにするのではなく、内需を優先して手当てするべきです。
コロナウイルスは現在のところ、ワクチンが作られていません。ワクチンが作られるまで、1年程度は見ておくべきでしょう。
その間、個人や企業の消費行動は減少します。したがって政府が積極的に、消費や給付などで需要を創出するべきです。
消費税の減税ないし廃止や、コロナ対策として大型予算を補正で計上するのもよいでしょう。とにかく内需を盛り上げないと、消費増税・コロナ不況を緩和することはできません。
方向性2 短期的対策と長期的対策の棲み分け
短期的に消費増税・コロナ不況への対策として予算を計上するとともに、長期的には外需の影響を抑えるべきです。内需立国を目指しましょう。
安全保障の観点から、コロナウイルスのような予測不可能な事態が起きた場合、当てになるのは内需です。現在の外需依存構造を改め、内需を盛り上げるための長期的な政策が必要です。
短期では消費増税・コロナ不況の超克を目指しながら、長期では外需依存の脱却を目指すのがよいでしょう。もちろん、デフレ脱却は大前提です。
方向性3 国民国家としての独立性の確保
現在の日本は、アメリカの属国と言って差し支えありません。TPPでの右往左往や、日米FTAを求められたことは記憶に新しいはずです。
欧米はポストグローバリズムを、模索しているように見えます。アメリカは特に、トランプがアメリカファーストを掲げています。
しかしアメリカがグローバリズムから脱却することは、日本がグローバリズムから脱却することを意味しません。むしろアメリカファーストで、日本はさらなるグローバルな姿勢を求められます。
つまり日本が内需立国を目指すのならば、国民国家としての独立性が必要です。
安倍政権の消費増税・コロナ不況への責任
コロナウイルスは突発的で、誰も予測していませんでした。水際対策も難しい性質で、国内に広がったのは仕方のない面もあるかもしれません。
安倍政権になって、外国人労働者や観光客は増加の一途をたどっています。グローバル化が急速に進みました。
グローバル化とは「ヒト・モノ・カネが国境を越えて行き来すること」です。したがってコロナウイルスの感染速度、感染範囲はグローバル化も大いに関係します。
20世紀初頭に大流行したスペイン風邪も、グローバル化していたからこそ世界中に拡大したのです。
グローバル化のリスクを無視して、急速に進めた結果がコロナウイルスの国内感染拡大です。「政治は結果責任」とは安倍総理自身の言葉ですから、コロナウイルス拡大の責任を問われるべきでしょう。少なくとも安全保障を軽視してきた、として責任を問われるべきです。
当然、消費増税は悪手でした。ただでさえ世界経済が不透明と言われた2019年に、消費増税を強行する合理的な理由は1つもありません。
消費増税・コロナ不況という深刻な危機の「半分以上」は、人災によるものです。真剣に「安倍政権のままでよいのか?」と、国民一人ひとりが自身に問うてはいかがでしょうか。
国のかたちに違い認め、交流で地球より豊かに (大妻女子大学教授・田代洋一)
https://www.jacom.or.jp/nousei/tokusyu/2013/10/131028-22595.php
JAcom 農業協同組合新聞
グローバリゼーションの実現については、ようするに「急がば回れ」でやっていくしかないと思います。グローバル資本主義の暴走を放置し続けるのであれば、どこかで大事故を起こして終わります。
大事故を起こしつつ、ニューノーマルとして定着してしまう……という可能性もなきにしもあらずです。
※現状がそうですしね
そうなるのは、とってもいやですけども。