都構想で大阪市の運命やいかに?都構想のメリット・デメリットと今後の行方

 大阪都構想は大阪市にとって、メリットになると語られるのが一般的です。二重行政が解消し、財政効果1.1兆円が10年間で出てくる。大阪都構想は大阪市に、バラ色の未来を運んでくるかのように語られます。

 それって本当?

 大阪都構想が大阪市と大阪市民にとって「ほぼデメリットしかない」ということを解説します。また最近の世論調査や、都構想と大阪市の動向なども紹介します。

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都構想で大阪市のメリット・デメリットは?

大阪都構想のメリットといわれる二重行政と財政効果は幻想

 都構想で大阪市と大阪府の二重行政が解消し、10年間で1.1兆円の財源が出てくる。まことしやかにこのようなことが、大阪都構想では語られます。しかしこれは、論理的に考えればほとんど嘘に近い幻想です。

二重行政が解消していいことだらけなら、どうしてほかの都道府県は追随しない?

 大阪市と同じ政令指定都市は、全国に20あります。例えば京都府は、京都市と京都府の二重行政の解消など掲げていません。名古屋や横浜などの大都市も、二重行政を解消して都構想! などと言い出しません。

 なぜか? 都構想に効果がないからです。

大阪市の業務を4つの区に任せると効率はどうなる?

 都構想は大阪市を4つの区に分割し、大阪市を廃止するものです。では大阪市が担っていた仕事を4つに分ければ、効率化して財政効果があるのでしょうか?

 常識的に考えてみてください。例えばあなたの会社の経理部を、4つに分けて同じ仕事をさせます。つまり経理部1、経理部2……といった感じです。
 どう考えても、非効率的になります。

 どうしてこれで、財政効果があるのでしょう? 財政効果の試算は、大阪維新の会が出したものです。しかしこの試算は、非常に怪しいと指摘されています。

大阪市にとって都構想のデメリットは数知れず

 百歩譲って、仮に大阪の二重行政が解消し、10年間で1.1兆円の財政効果があったとしましょう。それでも大阪市にとって都構想はデメリットだらけです。

予算と権限の多くが大阪府に移る

 政令指定都市とは、都道府県と同じくらいの権限を持っています。逆に特別区は、自治体の形式の中で「一番弱い半人前」です。

 権限が弱いとは、予算も少なくなるということです。具体的にいうと、都構想が実現すると旧大阪市の予算は25%ほど減少します。この減少分は、大阪府に移ります。

 大阪府の府議会で旧大阪市の議員は3割程度ですから、旧大阪市に減少した予算がそのまま割り当てられる可能性は低いでしょう。

 予算も権限も取り上げられて、よくなることを筆者は何一つ思いつきません。

都構想でコストはむしろ増加する

 同じ業務なら4つに分けるより、1つの場所でした方が効率的です。4人の子供に同じお弁当を作るとして、いちいち1つずつ作らないでしょ? 4つまとめて作るはずです。

 お弁当4つを、いちいち1つずつ作っていたら手間がかかります。大阪市を廃止して、4つの区に分割するのはこれと一緒です。
 当然ですが、仕事量が増えるのでコストも増えます。

都構想を一度したら、二度と大阪市には戻れない

 2020年11月に、大阪都構想の住民投票が大阪市で予定されています。「一度やってみたらいい」と賛成するのはやめましょう。なぜなら「一度やれば、二度と戻れない」のが大阪都構想です。

 大阪市を廃止すれば、二度と大阪市に戻れません。なぜなら「都構想をしてから、大阪市に戻す法律がない」ですし、4つに分割してしまうと利害が対立して、1つにまとまることも難しくなるからです。

都構想で大阪は大阪都にならない

 大阪都構想が実現しても、大阪府は大阪都にはなりません。大都市法で「特別区を抱える都道府県は、都と見なす」だけであり、名称は変更されません。

 2020年に仮に大阪都構想が、住民投票で可決されたとしましょう。2023年にまた、大阪府を大阪都にするかどうかの住民投票が必要になります。
 この住民投票で、大阪都に名称変更することを可決したとしましょう。
 しかし大阪都になるにはさらに国会で、大阪府を大阪都に変更する法律を可決させる必要があります。

 大阪都構想が可決されても、大阪都になるかどうかは非常に不透明です。

都構想は2015年の大阪市住民投票で否決

 都構想は大阪市の住民投票で、2015年5月17日に否決されました。それ以前の2014年、大阪市議会でも否決されています。大阪都構想はすでに民主主義的な手続きによって、2回も否決されているのです。

 どうして大阪維新の会は、2回も否決されている大阪都構想を押し通そうとするのでしょうか。1つは政治的パフォーマンス、もう1つは大阪市の予算を大阪府に召し上げて、大阪維新の会が増やした大阪府の負債の返済に充てるつもりではないか? と推測されます。

 「これが最後! ラストチャンス! 二度目はない」といっていたにもかかわらず、また都構想の住民投票を強引に実現したのです。上記のような理由があると思うのが自然ではないでしょうか。

都構想2020で大阪市の運命やいかに?

 大阪都構想の住民投票は、2020年11月に大阪市で行われる予定です。この住民投票の行方はどうなるでしょうか? 筆者は大阪都構想に反対の立場ですが、住民投票は可決の可能性が高まっています。

 大阪都構想の世論調査は、2019年6月のものが最終です。大阪都構想、賛成4割=時事世論調査:時事ドットコムによれば、約4割が都構想に賛成しているとのことです。反対はわずか23%とのこと。

 また最近の大阪の地方統一選や、大阪ダブル選では大阪維新の会が勝利しています。順当に考えるなら、大阪市の都構想の住民投票は可決に傾いています。

このまま都構想で大阪市を解体していいのか?都構想反対運動を展開しよう

 大阪市民の皆さんは、この「大阪市民でなくなること」を望んでいるのでしょうか? 大阪市が解体されるとは、大阪市民でなくなることと同義です。本当に大阪市を解体していいのでしょうか?

 そして大阪市以外の方にも、関係があることです。大阪市という成長エンジンを解体したら、大阪の巡航速度が落ちるのは明白だからです。

 しかしメディアは当てにできない。有識者も当てにできない。となると、大阪都構想反対を盛り上げるには、一人ひとりが活動しないといけません。現在の不利な状況をひっくり返すのは、大阪都構想に反対されている皆さんがどのような活動をするかにかかっているのです。

 SNSでの拡散や、リアルの呼びかけなど、様々な方法が考えられるでしょう。11月までコツコツと、反対運動を盛り上げていかないといけません。

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Muse
4 年 前

>しかしメディアは当てにできない。有識者も当てにできない。となると、大阪都構想反対を盛り上げるには、一人ひとりが活動しないといけません。
>SNSでの拡散や、リアルの呼びかけなど、様々な方法が考えられるでしょう。

大阪市の年代別の人口構成はどうなっていますか?やはり、少子高齢化が進行していますか?それから選挙での投票率は60代以上のシルバー世代(高齢者)が多いとか?

ならば、例えば、都構想に反対あるいは懐疑的な市民各自に、同居別居を問わず自分の家族や親戚、知人、近所にいる高齢者などに「都構想に反対するよう」積極的に働きかけてもらうべきです。あるいは主にシルバー世代が会員になっている趣味やスポーツ関係のクラブに繋がりのある人は、そこで情報拡散するとか、あるいはまた、親族友人知人に老人福祉施設や介護施設の職員がいる人は、彼らを説得し、そこから施設内にいる多くの高齢者に情報拡散してもらうとか(コンプライアンス的に難しいか?)、いろいろ考えられるかと思いますが。

伝え方としては、相手によりますが、当ブログに書かれてあるような理路整然とした内容を伝えてもよいし、難しくて理解できなかったら、「都構想によって大阪市が解体すれば、高齢者向けの福祉予算やサービスがどんどん打ち切られ、それこそ”生き地獄”さながらの悲惨な老後が待ち受けることは絶対確実!」等々の脅しをかけるとか(笑)。

もし、シルバー世代に拡散して彼らの多くに同意してもらえれば、「都構想2020住民投票否決」という奇跡が起きることでしょう。まあ、そこまで情報拡散&周知が進めばの話ですが。。。

小原庄助
4 年 前

大阪都構想に関してとても分かりやすい記事をありがとうございます。一市民として関心を持ちいろんな記事を読みますがとても理解しにくく、メリット、デメリットが未だによく分からないのが現状でした。おそらく多くの市民も同じ状態ではないでしょうか?

維新による大袈裟にメリットと思わせる眉唾物の吹聴に洗脳されている人が多すぎるこの現状下で狡猾な洗脳を解くには単純に分かりやすい説明が必要でした。今回のこの記事にはそれがあります。ありがとうございます。

ところで、稚拙な質問で申し訳ないのですが教えてください。

>都構想は大阪市の住民投票で、2015年5月17日に否決されました。それ以前の20年、大阪市議会でも否決されています。

この記載部分で、『それ以前の20年』という部分が理解できません。平成という事でしょうか? それとも西暦で数字の誤記なのでしょうか? それとも20年間という事なのでしょうか? 他の人に説明する為にも疑問は払拭したいのです。細かい事で申し訳ないのですがよろしくお願いします。