大阪都構想2015でばらまかれた12の嘘とデマは知っていますか?

 2020年11月に、大阪都構想の住民投票が実施される予定です。大阪都構想が大阪市を解体し、特別区を設置する計画であることを、知らない大阪人はもういないでしょう。

 しかし2015年当初は、大阪都構想は大阪市解体計画と知らない人がたくさんいました。大阪維新の会が嘘をついていたからです。
 2015年にばらまかれた大阪維新の会の、大阪都構想に関する嘘を網羅して解説します。

 なお本稿は筆者が旧ブログで大阪都構想2015直後に書いた、都構想の選挙活動においてデマと嘘はどれだけあったのか。まとめを、わかりやすくリライトしたものです。

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大阪都構想2015の嘘1 詐欺まがいのパネルのメモリ

大阪都構想2015 有効求人倍率詐欺パネル メモリ

 上記は実際に大阪維新の会が、自分たちの功績を説明するために使用したパネルです。下部のメモリが、ものすごく不均等です。なお2010年から失業率は改善トレンドに変化し、有効求人倍率は全国的に改善しました。

大阪都構想の詐欺パネル 大阪市の借金の削減
大阪都構想詐欺パネル 大阪府の借金

 他にも上記のようなパネルを使用し、数字と見せ方の詐欺を堂々としていました。

大阪都構想2015の嘘2 教育費を倍増したという嘘

 大阪維新の会が教育費を倍増したというのも、全くのデタラメでした。

 そもそも、平成二三年度の六七億円という数字が嘘なのだ。
 平松市政が行なわれていた平成二三年度のこども青少年費は一六八七億円、教育費は九八〇億二二〇〇万円である。平成二六年度の橋下市政では、こども青少年費が一七一三億一九〇〇万円、教育費が八四五億五六〇〇万円。つまり、橋下は一〇八億四七〇〇万円も予算を削っているのである。維新のパネルは「塾代助成」などを恣意的に取り出して作成したものにすぎない。
 ちなみに、橋下がクーラーをつけたというのも嘘らしい。前出の辻議員が言う。
「あれは平松市政のときに公明党の漆原良光議員が質疑をして補正予算をつけたんです」

これぞ戦後最大の詐欺である 適菜収(作家、哲学者)+本誌取材班――特集 「大阪都構想」の大嘘から

 上記はすでにURLがなくなっていましたが、下記の画像で事実だと示せます。

大阪都構想詐欺パネル 教育費6倍の嘘

大阪都構想2015の嘘3 大阪市は解体しないという決定的な嘘

 大阪維新の会は2012年、大阪都構想で大阪市は解体しないと嘘をついていました。

 もちろん大阪都構想とは、大阪市を解体して特別区に再編するものです。大阪市は消滅します。しかし大阪維新の会は、大阪都構想当初から嘘を平気でついていました。

 2020年に大阪都構想で、大阪市が解体されることに言及されると、大阪維新の会は「我々はずっと大阪市は解体すると言っていた!」とまた嘘を付きました。

大阪都構想2015の嘘4 大阪都構想は総務省の墨付き?

 大阪都構想2015では、大阪維新の会側から「大阪都構想は総務省のお墨付き」というデマが流れました。

【三橋号外】続・狂気 | 「新」経世済民新聞

 実態は大阪都構想の手続きを、総務省が承認したというだけの話です。形式的な手続きの話であり、大阪都構想の中身について総務省がお墨付きを出したわけではありませんでした。当然財政効果についても、総務省はノータッチです。

 しかし大阪維新の会は「大阪都構想は総務省のお墨付き!」と、デマを喧伝し続けたのです。

大阪都構想2015の嘘5 住民サービスは低下しない?

 大阪都構想は簡単に言えば、大阪市を解体して大阪市の持っていた権限と予算を、大阪府に移すという構想です。なお大阪府議会の議員に、大阪市域の議員は3割しかいません。
 よって大阪府議会で、大阪市から吸い上げた予算を元大阪市に使用する可能性はほとんどありません。

 予算が取り上げられ、使用されないのです。当然ながら行政の住民サービスは低下するはずです。しかし大阪維新の会は、大阪都構想で住民サービスは低下しないと強弁し続けました。

大阪都構想2015の嘘6 財政効果の金額がどんどんしょぼくなる

 2010年に大阪都構想の財政効果は、なんと年間8千億円と言われていました。最低ラインで4千億円はある、と橋下徹は豪語していたのです。
 ところが他党や専門家などが試算していくと、大阪都構想の財政効果は1億円~150億円にまで低下しました。中には「ランニングコストが増加し、赤字になるのでは?」との試算もありました。

 現在、大阪維新の会は大阪都構想の財政効果が、10年間で1.1兆円と主張しています。年間に1100億円ですが、この試算内容は非常に怪しいとの指摘もあります。

大阪都構想2015の嘘7 他党には対案がないという嘘

 大阪維新の会は2015年に、大阪都構想の不備や嘘が指摘されると「他党には対案がない!」と反撃しました。
 そもそも論として対案は、現状維持です。したがって、なにか新しいことをしなければならないものでもありません。

 しかし他党にも、大阪会議という対案が存在しました。

大阪都構想2015の嘘8 報道の自由が大事と言いながら批判言論に圧力をかける

 大阪維新の会や橋下徹は、二枚舌で知られています。自分に都合の良いことを、場当たり的にしゃべるのです。

 2015年5月17日、大阪都構想が住民投票で否決されました。その後の記者会見で橋下徹は「メディアの皆さんにも言いたいが、報道の自由は民主主義にとって本当に大切だ。僕もメディアに対していろいろと言ってきたけれども」と発言。

 しかし大阪都構想へ批判的な勢力に、言論的な圧力をかけていたのは大阪維新の会そのものです。

これが「政治権力・橋下維新からの言論弾圧」の証拠文書です。|藤井 聡
これが「政治権力・橋下維新からの言論弾圧」の証拠文書です。
大阪都構想2015 大阪維新の会が言論弾圧をした文章

 一方で報道の自由を尊重するような言動をしつつ、裏ではこうして言論弾圧まがいのことをする。これが大阪維新の会のやってきたことです。

大阪都構想2015の嘘9 大阪都構想当日の投票用紙

 大阪都構想の投票用紙は、非常にひどいものでした。

大阪都構想 投票用紙

 本来「大阪市廃止と特別区の設置について」と書かれるべきですが、「大阪市に”おける”特別区の設置について」と、あたかも大阪市が存続するような文章で書かれています。

大阪都構想2015の嘘10 大阪都構想が実現しても大阪都にならない

 大阪都構想の住民投票があった2015年から、大阪都構想が実現しても大阪都にはならないと指摘されていました。2020年になってようやく、大阪維新の会はその事実を認めたようです。

「『大阪都』への名称変更目指す」 府知事・市長 2023年住民投票検討 - 日本経済新聞
大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」を巡り、松井一郎市長と大阪府の吉村洋文知事は22日、11月にも実施される住民投票で都構想が可決された場合、大阪府の「大阪都」への名称変更を目指すことを明らかにした。府民に是非を問う住民投票を行いたい考えで、2023年4月の統一地方選と同時の実施を検討しているという。松井市長...

『大阪都』への名称変更目指す 府知事・市長 2023年住民投票検討――と日経新聞に報じられました。裏を返せば「大阪都構想が可決しても、大阪都にならないので2023年にもう1度、住民投票が必要になる」ということです。

大阪都構想2015の嘘11 「これがラストチャンス」は大嘘だった

 大阪維新の会や橋下徹は、2015年の大阪都構想のときに「住民投票は1回限り!」「これがラストチャンス!」と煽り立てていました。しかしどうでしょう。
 大阪都構想の住民投票は、2020年の11月に再び実施される予定です。つまり2015年の大阪維新の会の言動は、全くのデタラメで嘘だったわけです。

大阪都構想2015の嘘12 松井一郎氏は「否決されたら民間人に戻る」と言っていた

 大阪維新の会の松井一郎は、現在の大阪市長です。松井一郎は2015年の住民投票のとき、「否決されたら民間人に戻る」と宣言していました。

大阪都構想2015 松井一郎 民間人に戻る

 しかし今でも、松井一郎は大阪市長をしています。「言ったことは守らない、忘れる、平気で嘘をつく」が大阪維新の会です。

普通はこれだけ嘘をつくと信用を失いますが……

 通常は何度も嘘をつくと、人間は信用を失います。嘘つきを信用する人間は、おめでたいかアホだといわれます。

 ところがなぜか大阪維新の会は、大阪で高い支持を得ています。大阪都構想もこのままでは、11月の住民投票で可決されるでしょう。この奇怪な現象は、どのように説明したらよいのでしょう。

 本稿は2015年5月19日の記事をリライトしたものです。是非とも大阪維新の会の数々の嘘を、SNSやTwitterなどで広めてください。大阪都構想の住民投票は11月です。あまり時間はありません。

 大阪都構想が可決されるのか、それとも否決されるのか。わかりませんが、事実を広めるしか方法はありません。

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