ついに来てしまったか。それが最初の感想でした。韓国の1人当りのGDPが日本を追い抜き、逆転しました。労働生産性でも、追い抜かれたようです。
この厳しく目を背けたくなる現実は、一体何を示しているのでしょうか。1人当りのGDPや労働生産性と、日本の精神性について解説。
最後に「日本が中韓に負けず、経済成長する方法」を提示します。
日本と韓国の1人当たりGDP・労働生産性の逆転が示す意味
ツイッターで1つのニュースが、ささやかに話題になっています。
韓国に1人当たりGDPや労働生産性で追い抜かれた日本の行く末 | 野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る | ダイヤモンド・オンライン
上記によればOECDの統計で、韓国が日本の1人当りのGDPを追い抜き、逆転したとのことです。また労働生産性でも、日本は韓国に逆転されたました。
衝撃的なことに労働生産性では、スロベニアやトルコより下です。
1人当りのGDPとは
1人当りのGDPとは「GDPの総額を人口で割ったもの」と説明されます。そもそもGDPとはなんぞや? GDPとは国内で生産された、付加価値の総合計です。
付加価値ってなんやねん!? ってなりますよね。
付加価値は最終的に、粗利で表現されます。「粗利(金額)ベースでどれだけ生産できたか?」の総合計がGDPです。決して「生産したものの量(生産量)」とイコールではありません。
怪しい情報商材でも、高く売れれば「付加価値が高い」と判定されます。
労働生産性とは
生産性とは「生産性=アウトプット/インプット」です。労働生産性とは一般的には、付加価値労働生産性を指します。国の統計としての労働生産性は「GDP/就業者数」で算出されます。
逆転された1人当りのGDPと労働生産性が示すもの
どちらもGDPが基準になっています。GDPさえ増加すれば、1人当りのGDPも労働生産性も上昇します。ではGDPは何によって増加するのか? 需要によって増加します。
例えばいくら美味しいご飯を作っても、お腹がいっぱいだったら食べられませんよね? 食べられないので作ったご飯は、購入されません。したがって付加価値である粗利も発生しません。GDPはゼロです。
スキー場でカレーライスが異常に高い、ホテルのジュースが普通の自販機より高い。こんな経験は誰しもあるでしょう。これは「需要があるので、高く設定できる」わけです。
スキー場の例が示すとおり、需要があれば普通のご飯も高く売れます。つまりGDPが増加します。
1人当りのGDPや労働生産性の低下、逆転されたことは「日本国内の需要が”不当に”少なすぎる」ことを示しています。
中韓経済崩壊説の裏に隠れる衰退途上国という現実
2010年頃からでしょうか。中国経済は崩壊する! とネトウヨや保守界隈で、まことしやかに囁かれていました。また韓国経済崩壊! という説も度々、耳にしました。
日本は2010年に中国にGDPを逆転され、世界第2位の経済大国という地位を失うことになります。そして奇しくもその10年後、韓国に1人当りのGDPと労働生産性で逆転されました。
中韓の経済崩壊説は、ことごとく外れでした。それどころか、中韓は日本を抜き去り逆転してしまったのです。これは中韓が経済成長著しいというより、日本が衰退途上国として停滞していることが大きいでしょう。
外れ続けたネトウヨたちの夢-中韓の経済崩壊説
中韓の経済崩壊説は、ネトウヨや自称保守たちの夢や妄想、夢想といえます。自称愛国者たちの特徴の1つとして、自国の無謬性を信じ込み、他国を非難することが挙げられます。
これは「自分は努力しないで他人を批判する」という精神性にも繋がります。
自分以上にだめな人を見つけて、安心することに似てますね。
だからこそ日本が経済成長しないことに目を背け、中国や韓国の経済が崩壊することを夢見ました。これが中韓の経済崩壊説の実態ではないでしょうか。
中韓の失敗を願い、自国の経済成長を思い描けない精神性
日本は失われた20年と言われ、もはや失われた30年になろうとしています。財政均衡主義やプライマリーバランス、規制緩和や構造改革などの新自由主義に傾倒した結果です。袋小路に追い込まれた、と表現して良いでしょう。
しかし自国の経済成長を思い描けず、他国の経済崩壊を願うという精神性は度し難いものがあります。気概もなければ志もなく、あるのはルサンチマンと妬みだけです。
失われた20年がこのような精神性にさせたのか、このような精神性だから失われた20年になったのか。少なくとも健全ではないし、建設的でもないことは確かでしょう。
日本が中韓に負けず経済成長する唯一の方法
日本が衰退途上国から抜け出し、再び経済成長するにはどうしたら良いのでしょうか。答えは非常に簡単です。積極財政をすれば、すぐにでも経済成長路線にのせられるでしょう。
勘違いしている人が多いのですが、生産性とは需要が増えれば勝手に上昇します。詳しくは以下の記事で解説していますので、ご参照ください。
企業が国際競争に打って出なくても良いように、国内需要を手厚くするのです。ちなみに国内需要が手厚くなれば、イノベーションが起きやすくなります。したがって結果的には、国際競争力が増加することになります。
よって緊縮財政を、積極財政に転換すれば良いとなります。たったこれだけのことを、日本は20年以上に渡ってできませんでした。
中韓に経済指標で逆転され、追い抜かれて「中国が~! 韓国が~!」と言い続けて現実から目を背けるのか、それとも日本を力強く経済成長させるのか?
後者を選択するのなら、積極財政や減税を掲げる政党への投票が欠かせません。どうするのか? 日本国民の選択次第、というわけです。