国の借金・国民の借金の嘘を中学生でも5分でわかるように解説する

 いわゆる国の借金問題はしばしば、国民の借金といわれます。実はこれ、真っ赤な嘘です。

 国の借金・国民の借金と言われているものがなんなのか? 問題とされている部分から、問題の何が嘘なのかまでを中学生でもわかるように5分で解説します。

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国の借金は国民の借金なのか

 国の借金が1000兆円! 国民1人あたり871万円! という表現が、しばしば国の借金問題でなされます。しかし言葉は正確に使用するべきです。
 国とは「日本政府、日本企業、日本人全てを含む」ので、国の借金として政府の借金だけを取り上げるのは間違いです。正確には「”政府の借金”が1000兆円!」であり、国の借金ではありません。

 ではその政府の国債残高はいくらか? リアルタイム財政赤字カウンター 15というくだらないサイトがあります。日本全体の行政の債務残高は1500兆円、政府のみであれば現在1200~1300兆円だそうです。
参照 日本の政府債務残高の推移 – 世界経済のネタ帳

 では国の借金といわれる政府の借金は、国民の借金なのでしょうか? 答えは否です。

国の借金・国民の借金問題の嘘

 まず第一に「誰かの債務=誰かの債権」は原理原則です。借りる人がいないのにお金は貸せませんし、貸す人がいないのにお金は借りられません。

 では日本政府は、誰から借りているのでしょう。
 もし国外から借りているのであれば、日本政府の債務はドルで表されるはずです。為替によっても返済額(日本円での表示)が、大きく変動するはずです。
 ところが「為替が円安になったので、いくらドルで返済しなければならない」などという報道は聞きません。

 そりゃそうです。日本の国債は全て、円建てで発行されています。

 では日本円は、誰が発行するのでしょうか。通貨発行権は政府にある、というのは基本中の基本です。政府は日本円を発行でき、その日本円で借金をしている……というわけ。

 「今すぐ国債を返済しなければならない」となれば、円を発行するだけで事足りるのです。理論的に日本政府は、財政破綻のしようがありません。従って国の借金・国民の借金問題は嘘と断言できます。

マスメディアや財務省の虚飾に満ちた表現

 国の借金――正確には政府の借金――が約1000兆円というのは事実です。国民1人あたり871万円! というのも「1000兆円を1億2千万人で割ればその数字になる」という意味では事実です。
 ただしその計算に意味があるかどうか? は別問題ですが。

 国の借金が1000兆円! 国民1人あたり……の表現には、いくつもの問題点があります。

  1. 政府の借金を国民の頭数で割る意味がない
  2. 一般論としても債務残高は、資産とのバランスで考えられるべき
  3. 1000兆円を誰に返したらいいのか明言していない

 1000兆円の借金! というなら当然「貸主は誰だ」となりますが、報道で言及されたことはありません。なにより「国民1人あたり……」という計算は、全く意味がありません。

国債とインフレ制約

 日本政府は日本円を発行できます。実際に500円玉などの硬貨は、日本政府が発行しています。紙幣は日本銀行が発行していますが、本質的な発行権限は日本政府に存在します。

 したがって円建ての国債は、いくらでも理論上は発行可能です。インフレを無視するならば、ですが。

 国債を発行して日本政府がガンガンお金を使うと、インフレになります。現在はデフレですので、インフレにしなければなりません。しかしインフレになってなおガンガンお金を使うと、過剰がインフレが発生します。
 過剰なインフレは、経済に混乱をもたらします。

国の借金・国民の借金問題の嘘を学ぶための現代貨幣理論

 アメリカでオカシオ・コステルが採用したことで有名になった、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory-MMT)という経済学があります。日本でも2018年頃から、盛んに議論されるようになりました。

 驚かれるかもしれませんが、これまでの主流派経済学は「貨幣とは何か? お金とは?」という理論が皆無でした。経済学なのに、お金について知らなかったのです!
 だからこそ現代貨幣理論は、インパクトを持って受け止められ、議論されているのです。

 日本のいわゆる「国の借金・国民の借金問題」は、現代貨幣理論によれば「存在しない問題」です。フィクションや嘘の問題というわけ。
 もし学術的に「国の借金・国民の借金問題の嘘」を考えたいなら、以下の2冊がおすすめの良書です。

中野剛志氏の著作。世界で一番わかりやすい信用創造の解説書
MMTの教科書。専門的に勉強したいならおすすめ

国の借金・国民の借金問題が嘘だというのがなぜ重要か

 なぜ国の借金問題が嘘だと知ることが、重要なのでしょうか。端的に言えば「緊縮財政で日本が貧困化するのを止めるため」です。
 国の借金・国民の借金問題という意識が「お金を使っちゃいけない。だから緊縮財政」となって、デフレを発生させたのです。

 しかしいまいち、上記の言論は広まっていません。ここで1つ、広めるための提言をしておきます。苦言ともいいますが(笑)

 「国の借金という嘘を、知識として国民に知らしめる」という方針は、正しいでしょう。では「どうやって?」という方法はどうでしょう? いままで具体的に言及されたことが、あまりないような気がします。
 せいぜいSNSで拡散するとか、言論を発するのだ! とかその程度です。

 例えばSNSで広めるんだ! と選択した場合、具体的にフォロワー何人を目指すのか? を設定している人を見たことがありません。むしろ「正しいことをいっているのだから、フォローしてくれるはず」と、勘違いしているケース多いでしょう。

 正しいことが広まるはずなら、なぜ国の借金・国民の借金問題という「嘘で正しくないこと」がなぜ広まったのか? というわけ。

 国の借金・国民の借金問題は確実に嘘です。それはこれまでの議論で、全く明白なことです。いい加減いそろそろ「どうやって広めるのか?」という、具体的な話を進めるべきではないかと最後に提言しておきます。

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2 Comments
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4 年 前

記事作成という無給での作業について、経済ブロガーや政治ブロガーは政権や政策への怒り、自己満足といったものがモチベーションとなっています。「それらに固執しない、より多くの人に読んでもらえる有用な記事」となると、「それってもはや仕事やんけ!」と思うところもあったりです。

「アフィリエイトによるマネタイズを意識しない記事作り、SEOによるPV増を無視した記事作りには何の価値もない」と断じてしまうと、それでは自分の記事に日々コメントしてくれている人達へも、「あなた達の行動は当方にとってはありがたいが、あなた達自身にとっては殆ど無意味。ただ時間を消耗しているだけ」となりかねませんし、その辺りのバランスをどう考えればいいか、私にとって難しい問題ではあります。