なぜまた大阪都構想の住民投票なのか?大阪都構想2020の素朴な疑問

大阪の町十三の明け方の風景

 大阪都構想は再度、2020年の11月に住民投票の予定です。前回の住民投票は2015年の5月17日でした。わずか1万票ちょっとの差で否決され、胸をなで下ろしたものです。

 なぜまた大阪都構想の住民投票なのか? 前回はラストチャンスではなかったのか? 不可解な大阪都構想の住民投票2020が、なぜ実施されるのかを解説します。

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なぜ大阪都構想の住民投票はまた行われるのか

ラストチャンスという嘘 2015年大阪都構想住民投票

 大阪都構想2015の住民投票で、大阪維新の会や橋下徹は「これがラストチャンス! 二度目はない!」と吹聴していました。しかしそれは真っ赤な嘘だったのです。

 一事不再議という原則があります。会議中に1度議決した案件を、再び取り上げないというものです。すでに大阪都構想は大阪市議会で否決され、2015年には住民投票で否決されました。たった5年後に再度住民投票というのは、節操がないというものです。

 大阪維新の会がここまでなりふり構わないのは、大阪都構想が「大阪維新の会の政治パフォーマンスとアイデンティティだから」です。

2019年の大阪クロス選と地方統一選

 大阪都構想の住民投票が2020年、にわかに現実味を帯びたのは2019年の大阪クロス選と地方統一選での、大阪維新の会の勝利が原因でした。選挙に勝利したことで、大阪維新の会は「世論は我々にある」と大阪都構想2020の住民投票を推し進めたのです。

 大阪都構想を否決しながら、大阪都構想を掲げる大阪維新の会を選択する。大阪人の行動が、再度大阪都構想の住民投票の大きな原因です。

公明党が大阪都構想へ賛成へと転換

 2019年の選挙を受けて、公明党は姿勢を転換します。大阪都構想に反対な医師消極的だった姿勢は、賛成へと転じたのです。姿勢の変化には、大阪維新の会からの圧力もありました。

 2015年の大阪都構想住民投票でも、公明党は大阪維新の会の選挙圧力、つまり「公明党が候補を立てる地域で大阪維新も候補を立てるぞ」という圧力に屈して「大阪都構想には反対、住民投票には賛成」という立場をとりました。

 公明党ではなくコウモリ党の間違いでは……と、思わず嫌みの1つも言いたくなります。

しらけきっている大阪都構想2020の住民投票と大阪

 大阪都構想2020の住民投票は、11月に予定されています。では大阪の空気はどうなのでしょうか? 盛り上がっていないのが、実際のところではないかと思います。むしろしらけていると言っても、過言ではないでしょう。

 それを示すように、大阪都構想の世論調査は2019年6月を最後に行われていません。

時事ドットコム

 ちなみに上記の調査では賛成が38.9%、反対が23.6%です。いま世論調査をしても、結果はほぼ同じになるのではないでしょうか。

なぜ2015年の大阪都構想住民投票は否決されたのか

大阪維新の会の嘘が多かったから

 2015年の大阪都構想は、住民投票でなぜ否決されたのでしょうか? 1つは大阪維新の会の進め方が、あまりに強引だったからです。

 大阪維新の会および橋下徹がついた嘘は、枚挙にいとまがありません。大阪都構想の反対派は、その嘘を幾度も指摘することで運動を拡大しました。
 また住民説明会も、催眠商法と揶揄されるものでした。

 このような強引な進め方が、大阪市民から反発を買ったのではないでしょうか。

奇跡としか言い様がない反対運動の盛り上がり

 反対派としてこの表現は微妙ですが、大阪都構想2015の反対運動は「奇跡のような盛り上がり」でした。再度大阪都構想への反対運動を展開しても、現在のしらけきった空気ではあのような盛り上がりは無理でしょう。

 そして大阪都構想2015が、住民投票で否決できたのも奇跡のようなものです。大阪都構想2020では、住民投票で可決される恐れが強いでしょう。

大阪維新の会のアイデンティティと化した大阪都構想

 大阪都構想は大阪市を解体し、4つの特別区にするというものです。このことによって二重行政が解消され、財政効果が得られると説明されます。
 しかし肝心の財政効果は、かなり怪しいものです。

大阪都構想の財政効果試算に異論 「1兆円も減らない」:朝日新聞デジタル
大阪都構想が実現すれば、10年間で「1・1兆円の財政効率化効果がある」とする大阪府と大阪市の試算に対して、一部識者から異論が出ている。自治体の人口規模と歳出に関する一つの学説をめぐり「解釈が誤ってい…

 例えばいままでAという部署でしていた仕事を、4等分して進めるようにしました。4等分された仕事は、どれも同じ内容です。これで仕事が効率化するでしょうか? コストカットになるでしょうか? あり得ません。
 大阪市がしていた仕事を、4つの特別区に分散したところで行政の効率化にはなりません。むしろ非効率になるだけです。

 従って大阪都構想で、財政効果が乏しいのは原理的に自明です。

 財政効果も見込めない、二重行政の解消どころか行政の非効率化になってしまう。ではなぜ大阪都構想を、これほどまでに大阪維新の会は推し進めるのでしょうか。
 大阪維新の会にとって、大阪都構想は目玉政策でありアイデンティティです。すなわち政治パフォーマンスとして、欠くべからざるものなのです。

 だからこそ大阪維新の会は、何のメリットもない大阪都構想を推し進めているのです。そして大阪人も、この大阪維新に2019年の選挙で大義を与えてしまったのです。

なぜ大阪都構想に反対するのか?

 なぜ筆者がこれほどまでに、大阪都構想に反対するのかについては以下の記事をご覧ください。また関連記事もご覧いただけると幸いです。

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2 Comments
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Muse
4 年 前

>そして大阪人も、この大阪維新に2019年の選挙で大義を与えてしまったのです。

題名は「~大阪都構想2020の素朴な疑問」とありますが、自分から見れば、「何故、大阪市民は、前回の住民投票否決の意義はもちろんのこと、これまでの維新政治がもたらしてきた災禍から全くなーんも学ぶことなく、自滅の道を選ぶほど大〇鹿揃いなのか?」そっちのほうがはるかに素朴な疑問です。