沈みゆく日本経済-メディアが報じない今後10年の見通しと衰退理由

 2020年の2月、日本経済は消費増税によって奈落の底にたたき落とされようとしています。2019年10-12月期のGDPは、マイナス6.3%の大幅減少でした。

 このGDP下落は一時的なものか? それとも今後の日本経済の見通しを暗示しているのか。今後10年の日本経済は、どのようになっていく見通しか? 解説します。
 決してマスメディアやエコノミストが報じない、日本経済の今後の見通しです。

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不透明性を増した世界経済と今後の日本経済を取り巻く環境

2008年のリーマンショックから世界経済はニューノーマル

 2008年のリーマンショックより、世界経済の姿は様変わりしました。いままでは常識でなかったことが、新しい常識になっていったのです。

 2008年までグローバル化は、希望に満ちた素晴らしいものでした。しかし2008年以降に明らかになったことは、グローバル化で格差が拡大し、ボトム99%の所得が伸び悩むという事実です。実際にアメリカのボトム9割は、ここ30年間で1%しか所得が伸びていません。

富の偏在が世界経済を低成長に導く

 1980年代より拡大したグローバル化は、富の偏在を助長してきました。市場競争の尊重とは、大資本が必ず勝利することに他なりません。
 OECDの発表するところでは、格差の拡大は経済の低成長の大きな原因の1つです。

 多くの人が低所得で消費を拡大できないのですから、経済も低成長化するのは自明です。
 一歳にハジュン・チャンの統計によれば、グローバル化が始まる前と後では、成長率に2倍近い差が見られるようです。

外需に影響を受けやすくなった日本経済の今後

 日本経済もグローバル化を進め、外需の影響を非常に大きく受けるようになりました。世界経済が咳をすれば、日本経済は風邪を引くのです。

 TPPや日米貿易協定、インバウンドなどにより日本の経済構造は、ますます外需依存に作り替えられるでしょう。世界経済と同様かそれ以上に、低成長になることは自明です。

米中の狭間で属国経済化する日本

 パクス・アメリカーナの時代は終焉を迎えました。強大な超大国なきいま、世界の覇権国家は地位金にて台頭すると予想されています。ユーラシア大陸では中国が、覇権国家の地位に就くことでしょう。

 日本はどうするのか? アメリカの属国でありながら、地域的には中国の影響を大きく受けざるを得ません。将来的には米中の二重属国、という珍しい状態になる可能性もあります。
 そうなれば日本経済は、ますます主体性と主権を失い続けるでしょう。

2020年の日本経済5つのマイナス要素

日本経済のマイナスポイント1 2014年と2019年の消費増税の圧倒的マイナス

 2014年、2019年に安倍政権は消費増税を決行しました。1997年から消費増税がされるたび、日本経済はリーマンショック休暇それ以上の悪影響を受けました。
 実際にリーマンショックが起こった翌年の2009年、日本経済はGDPが5.4%減でした。しかし2019年10-12月期のGDPは、6.3%減にもなったのです!

 消費増税は、影響が永続します。消費税が10%になっても、可処分所得が10%増えるわけではないのです。当然、消費を減らさざるを得ないのです。
 GDPの6割を占める個人消費は、消費増税によって拡大余地を大きくなくしました。

日本経済のマイナスポイント2 オリンピック後の景気後退

 オリンピックの後は、高い確率で景気後退に陥るとされています。オリンピックに向けた公共投資が減少し、その分景気が後退するのです。

 ではオリンピック前にすでに、景気後退の兆しを見せている日本はどうでしょうか。さらなる景気後退が、オリンピック終了後の2021年に起こるとみておくべきでしょう。

日本経済のマイナスポイント3 プライマリーバランス目標というくさび

 財政再建やプライマリーバランスは、日本の政治に埋め込まれています。骨太の方針などにも、明記されているところです。

 また日本のメディア、政治家、エコノミストは無知なので、プライマリーバランス目標や財政再建が正しいと信じています。20年以上も信じていたものを、今後10年で間違いと認められるかどうか? ほとんど不可能ではないでしょうか。

日本経済のマイナスポイント4 行き詰まりを打開しようとする成果なき改革主義

 緊縮財政+自由貿易+規制緩和は、グローバル化の際に必ず進められる政策です。そしてまず最初に、緊縮財政が来ます。

  1. 小さな政府とプライマリーバランスを信じ込み、緊縮財政に走る
  2. 投資せずに経済成長しなければならないので、自由貿易と規制緩和で外需ないし外資に果実を求める
  3. グローバル化は世界的現象なので、当然外需がおぼつかなくなる。よって緊縮財政に端を発する自由貿易+規制緩和は成果を出せない
  4. 成果が出ないので「もっと自由貿易と規制緩和が必要だ」として、改革主義が蔓延る
  5. 認知不協和に陥り、改革することが目的となる

 これが改革主義が蔓延する原因です。貧困化するのは改革主義のせいなのに、貧困化しているのは改革が足りないからだ! と強弁する構造です。

日本経済のマイナスポイント5 平和主義と国益なきグローバル化

 日本は「他国と喧嘩するくらいなら、隷従しよう」という、まごうことなき平和主義国家です。これは外交などの政治分野だけでなく、経済にも大きな影響を及ぼします。
 なぜなら「他国と喧嘩して国益を取りに行くくらいなら、他国に利益を譲ろう」となるからです。

 TPPや日米貿易協定、水道事業民営化、入管法改正による移民拡大etc……。例を挙げれば枚挙にいとまがありません。

均衡財政主義にとらわれる見通しの日本経済

なぜ20年以上、財政均衡主義が続いてきたか

 日本経済の政治的構造を最も簡単に表現すれば「他国と衝突する国益より、国益を献上しての平和主義」です。よって積極財政による力強い経済成長は、政治的に非常にハードルが高いのです。

 20年以上にわたり、緊縮財政が施託されてきた理由の1つが平和主義にあります。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した(よって自国民に不利益でも、グローバル化と緊縮財政を推し進める)」

経済を重視できない日本のイデオロギー

 日本の政治イデオロギーは、基本的に経済無知です。左派は貧困や格差を取り上げますが、グローバル化について問題提起しようとしません。右派はナショナリズムを主張しますが、グローバル化について黙認ないし迎合しています。

 経済無知の政治思想なんぞ、なんの役にも立ちません。日本の政治イデオロギーのほとんどは、実践的には役立たずとみてよいでしょう。よって緊縮財政を打破しようとする動きも、イデオロギーから発生しないのです。

経路依存性と自己強化メカニズム

 経路依存性とは「正しいとか合理的とかはおいて、最初にその経路だったから続いていく」という性質のことです。つまり日本の緊縮財政は「正しいから続く」ではなく、「20年以上続いているから続く」という性質を持っているのです。

 そして緊縮財政を支持してきたエコノミストやメディア、政治家たちは「緊縮財政が正しいとする言い訳探し」に終始します。これを自己強化メカニズムと言います。
 よって緊縮財政が続けば続くほど、緊縮財政は継続されやすくなるのです。

 このメカニズムが、今後10年で転換できるかどうか? 非常にハードルが高いことは確かでしょう。

今後10年の日本経済の見通しは悲観的

 様々な分析をしてきた結果、今後の日本経済の見通しは非常に暗いと言わざるを得ません。引き続き日本経済はデフレ、ないしデフレギリギリを飛行するでしょう。

 また日本経済を取り巻く、世界経済の環境が好転する見込みは今のところありません。構造的には世界経済も、袋小路に入っていく可能性が高いでしょう。
 よって日本経済は、世界経済以上の速度で減速していく見込みです。なぜなら世界経済が咳をすれば、日本経済が風邪を引くからです。

 すでに日本は昔のような「高い国」ではなくなりました。インバウンドが好調なのは「日本が安い国だから」というのが大きな理由です。そして日本は今後も、安い国になり続けることでしょう。

 このような悲観的な、今後の日本経済の見通しを覆すためには、積極財政しか方法は存在しません。日本経済がどのようになるか? 国民と世論にかかっているのです。

 少しでも状況をよくしたいと思う方は、SNSなどで日本経済の今後の見通しについての”現実”を拡散いただけたらと思います。

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2 Comments
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Muse
4 月 前

今回の記事は、今後10年の見通しを含む「失われた30年」(あるいはそれ以上続き、いずれ米中両国や外資の奴隷国家として奈落の底に転落するか。。。)の本質を捉えた総括的な内容だといえます。

>このような悲観的な、今後の日本経済の見通しを覆すためには、積極財政しか方法は存在しません。日本経済がどのようになるか? 国民と世論にかかっているのです。

やはり(与野党を問わず)政治家やエコノミスト、メディア、知識人たちがこぞって無知蒙昧の極致(まさしくインテリ愚民)にあって、しかも経路依存性によって、自ら180°の方向転換が期待できないとすれば、あとは国民世論の転換しかないわけですが、それが全然進んでいない。

それから、国民民主党が遅ればせながらようやく「10兆円規模の消費税減税→税率で4~5%」の方針を打ち出しました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200222-00000531-san-pol

れいわ新選組や日本共産党ら他の”減税政党”とある程度連携して支持率が広がれば、多少の望みはあるかもしれませんが、今のままでは2009年のときのような政権交代が実現できるとは考えにくい。

あまりにも”移ろいやすい”国民世論の流れを一気に変えるには、社会全体を揺るがすような何かとてつもなくショッキングな事件が起きないと無理です(自殺や殺人ないし虐待死などの痛ましい犠牲があって、はじめて長時間労働や児童虐待などの問題が社会でクローズアップされるのと同じ。極めて遺憾なことだが、これが世論の実情)。

例えば経済恐慌が引き金となって反政府暴動が各地で起きて死者や負傷者が続出するとか。ただ、奴隷根性が染み込んで主体性が欠如した現代日本人にはそれすら期待できないか。。。