ご飯論法って聞いたことがありますか? 「初めて聞いた」「聞いたことがない」という人は多いでしょう。かくいう筆者も実は「耳にしたことがあるような、ないような」くらいでした。
ご飯論法とは? 言葉が生まれた経緯や由来、実際の使用法まで全て解説します。
ご飯論法の意味と由来
ご飯論法は国会から生まれました。高度プロフェッショナル制度の国会質疑中、加藤厚労大臣の論点ずらしの手法を指します。法政大学キャリアデザイン学部教授の上西充子氏が加藤厚労大臣の国会質疑を聞いて、発信したツイートが元になりました。
そのツイートを漫画評論家の紙屋高雪氏が、ご飯論法と名付けたのです。
ご飯論法は加藤厚労大臣だけではなく、森友学園や加計学園問題、桜を見る会問題などで役人や大臣が正確に答えたくなくて論点ずらしをする様は、ご飯論法の定義に当てはまります。
上西充子氏がツイートしたご飯論法の内容は、要約すると以下のようなものです。
「朝ご飯は食べたか?」という質問に「食べた」と答えると不利になるので、「(パンは食べたが)ご飯(お米)は食べていない」と、故意に質問内容を狭めたり曲解して答えます。質問者が「では食べていないのですね?」と聞けば「どこまでが朝ご飯の範疇か明確ではない」などとはぐらかします。
ご飯論法という単語を使用する文章例
ご飯論法とは詭弁の一種です。したがって、詭弁と同様の使用の仕方でほぼ間違いありません。
- ご飯論法で国会答弁の窮地を乗り切った
- そんな回答はご飯論法だ
- ご飯論法ばかりで説得力に欠けるばかりか、信頼性を損ねている
全てご飯論法を詭弁と言い換えても、文章として通じます。ご飯論法と似た意味を持つ言葉は「論点のすり替え」「詭弁」「言葉巧み」「はぐらかす」「言語明瞭意味不明(誰を指していった言葉でしょう? 即答できたら政治好き)」などになります。
ご飯論法の実際のテクニック
ご飯論法ので実際に使われる、5つにテクニックを紹介します。
- 論点のすり替え
- はぐらかす
- 個別の事案にはお答えできない
- 話を勝手に大きくして、答弁拒否
- 過去の事実の書き換え
参照 「朝ごはんは食べたか」→「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」のような、加藤厚労大臣のかわし方(上西充子)
ご飯論法テクニックその1 論点のすり替え
Q 朝ご飯は食べましたか?
A 朝ご飯は食べませんでした(パンは食べたけど黙っておこう)
上記の質問の意図は「朝に食事をしたかどうか」ですが、食事をしたとは答えたくありません。よって回答者は「朝にお米を食べたかどうか」と意図的に曲解して回答しています。
ご飯論法テクニックその2 はぐらかす
Q 何も食べなかったんですね?
A 何も聞かれましても、どこまでが食事かは必ずしも明確ではありませんので……。
このテクニックは非常に面倒くさいです。例えば「仕事はちゃんと終わったの?」と聞いたら、「仕事の終わりがどこかは、必ずしも明確じゃないので……」などと部下が発言してたと考えてみてください。
筆者ならぶち切れます(笑)
ご飯論法テクニックその3 個別の事案にはお答えできない
Q では何か食べたんですね?
A 質問の趣旨はわかりませんが、一般論で申し上げますと朝食は健康に大切です。
Q では何か食べたんですね?
A 質問の趣旨はわかりませんが、一般論で申し上げますと朝食は健康に大切です。
ここまで来ると「なんでやねん!」です。まず食べたかどうか? 答えろや! とイライラしてきますね(笑)
ご飯論法テクニックその4 話を勝手に大きくして、答弁拒否
Q では聞き方を変えます。ご飯、白米は食べましたか?
A 一つ一つおたずねですと、私の食生活を全て開示しなければならなくなりますので……。そこまでお答えするのは、ほかの業務に差し障りが出てきますので……
「朝ご飯を食べたかどうか?」が、ついに「回答者の全ての食事を開示するかどうか」にまですり替わりました。
ご飯論法テクニックその5 過去の事実の書き換え
Q 鯛は頭から腐るといいますが、このような答弁では内閣全体がご飯論法に陥ると思います。以上で質問を終わります。
A 意味のない質問だよ!
Q いまなんといいましたか? 意味のない質問と誰が言いましたか?
野党 委員長! 発言の撤回と謝罪を!
委員長 私には聞こえませんでしたが……
「聞こえなかった」「そのようには言っていない」「資料は破棄されたのでわからない」「800人がホテルと契約した」etc……。なかったことにする、という一番たちの悪いご飯論法のテクニックが上記です。
ご飯論法という言葉は流行しているわけではないが……
ご飯論法という言葉は、そこまで大流行しているわけではありません。一部報道やSNSなどで使用されているだけです。しかしご飯に例えて詭弁を指摘するというのは、少しユニークなアイディアです。
こういったレトリックやユーモアを、政治議論をする際には忘れないようにしたいものです。
なお本稿の内容は「朝ごはんは食べたか」→「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」のような、加藤厚労大臣のかわし方(上西充子)を参照しています。
実際の国会質疑の例を挙げて解説していますので、上記の記事も興味があればお読みください。
お邪魔いたしますです。
ご飯論法には、応酬話法ですね。二手先三手先を読んで封じる「枝切り」(分岐を塞ぐ)が有効かもです。
>ご飯論法テクニックその1 論点のすり替え
>ご飯論法テクニックその2 はぐらかす
>ご飯論法テクニックその3 個別の事案にはお答えできない
三手先まで読めたら、
「軽食も含めて、何か口にしませんでしたか?」って答えを狭める質問の仕方は可能です。
おいらはどーなの?って聞きたくなるかもですね。出来たらボンビーじゃないはずです。とっさになんて出てこないです。
話法のうまい人は居るですよ。
「残業をお願いしたいのですが、今日と明日のどちらが良いですか?」って上司。残業嫌いの人達が全員残業したです。選ばせることで、断る選択肢を隠したです。
おいらは残業ウェルカムだから、今日も明日もやりますって言ったら断られました。それ以上出世してないから、ねらったんじゃなく天然だったのかもですが。
政治家の方々にはMMTとともに学んで鍛えていただきたいです。
口がうまい人、いますよね。私は口下手の部類なので、うらやましいです(笑)