非正規雇用問題の構造的理由と若者の生きづらさに見る日本社会

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 非正規雇用の増加が社会問題にされはじめ、一体どれくらいたったでしょうか? 少なくとも年越し派遣村から、すでに10年が経過しています。

 問題視され続けながらも、解決のめどが一向に立たない。これには理由があります。非正規雇用が増加した原因を、見誤っているからです。

 非正規雇用が増加した構造的理由と、そして若者たちの問題を解説します。

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非正規雇用とは

 まず非正規雇用とは何か? について、さらっとおさらいしておきましょう。

 非正規雇用とはパート、アルバイト、契約社員、派遣社員、臨時職員などと呼ばれる、正規雇用以外の雇用形態のことです。
 端的に言えば正社員や、正規職員以外のすべてと思っておけばよいでしょう。

 非正規雇用の特徴や問題点として、以下の3つがあげられます。

  1. 正社員と比較して所得が少ない
  2. 雇用が不安定
  3. キャリアやスキル形成の機会が少ない

非正規雇用の増加問題の構造的理由

 非正規雇用の増加と正規雇用の割合について調べると、面白いことがわかります。正社員の割合は一定か微減であり、非正規雇用が一方的に増加しているのです。
 つまり一般的にいわれている「正社員が非正規雇用に置き換わった」のではない、ということをデータが示しています。
参照:団塊世代の犠牲になった若者たち。非正規雇用が増えた本当の理由 – まぐまぐニュース!

 1990年代に比べて、2000年代に非正規雇用が増加して問題視されました。一方で減少したのは正社員ではなく、無職者と自営業です。どういうことか?

 無職者とは、ほぼ専業主婦のことです。自営業はいわゆる家業などが減少した、と見られています。

 まとめると、以下のような構造と問題が見えてきます。

  1. 正社員の数ではなく、所得が減少した(1997年から20年間で50万円ほど減少)
  2. よって専業主婦が減少し、共働きがスタンダードになった
  3. グローバル化と市場競争の激化で、自営業や家業といわれるものが減少し、非正規雇用の労働市場に流入した

 よって非正規雇用の増加問題の主因は2つです。

  1. 日本人の所得が減少した
  2. グローバル化で大資本しか生き残れなくなった

 そして非正規雇用の増加は、以下のようなスパイラルを生み出します。

  1. 正社員の所得が減少し、専業主婦などの無職者が労働市場に流入
  2. 労働市場の競争率が上がり、買い手市場化しやすくる
  3. 労働市場の買い手市場化はさらに、所得減少圧力になる=無職者などの労働市場流入拡大
  4. 以下1.へ戻り、無限ループ

非正規雇用の増加と変化した若者の生き方

 昨今は若者の草食化が、問題視され報じられます。しかし若者が「草食化せざるを得ない、適用しないといけない環境」が、現在の日本社会であり、そちらこそ問題視するべきです。

 若者の変化として、以下のようなものがあげられます。

  1. 若者の草食化、特に男性が草食化した?
  2. 若者の消費離れ。車やバイク、大きなものを買わなくなった
  3. 若者の未婚率の上昇と晩婚化

 これらの現象は「労働市場の過当競争化」で説明が可能です。つまり「所得が下がり、競争が過剰になった労働市場」では、所得が得られないリスクが高まります。
 よって普段から「できるだけ消費をせず、お金のかかることをしない」のが合理的な選択となります。結婚など、子供を産めば数千万円が出て行くのです。当然、贅沢品と見なされます。

 非正規雇用の増加と若者の行動の変化は、実は結びついているのです。

大量の若者の非正規雇用を生み出した就職氷河期

 非正規雇用が増加する転換点は、1990年代にありました。就職氷河期の到来です。

 就職氷河期世代とは1995年~2005年に、社会に出た世代です。

 中高卒者の求人かつ規模500人以上の企業の求人数は、1992年が34万人に対して2004年はわずか3万人でした。製造業の求人数でも同様で、1992年が70万人に対して2004年は8万人に激減しました。

氷河期世代支援プログラムとパソナに僕ら氷河期世代が憤る本当の理由 – 高橋聡オフィシャルブログ バッカス

 上記のように、就職氷河期は正社員の求人が激減したのです。いまでも就職氷河期世代の非正規雇用は最低でも100万人、最大で270万人ほどいるとされます。
 大量の若者が「非正規雇用という生き方を強制された時代」でした。

 ちなみに最近でこそ支援が打ち出され始めましたが、20年ほどこの問題は放置され続けていました。すでに就職氷河期に若者だった面々は、筆者も含めて中年になってしまいました。
 日本の雇用が壊れ始めた、最初の世代が就職氷河期世代といえます。

非正規雇用増加は若者が人材になる機会を奪っている

 厚労省の調査では、働く若者の3割以上が非正規雇用だそうです。非正規雇用の特徴は「所得が低くなる」「雇用が不安定」「スキルやキャリアが磨けない」の3点です。
 とくに「スキルやキャリアが磨けない」が、大きな問題になります。

 スキルやキャリアが磨けないと、以下のようなことが起きるからです。

  1. スキルやキャリアがないので、正社員になりにくい
  2. 若者が人材になる機会を奪っている
  3. 人材の減少は、日本社会の活力を奪う

 非正規雇用の増加は日本人の貧困下だけではなく、日本社会から人材を損ねるという問題をはらんでいるのです。

まとめ 非正規雇用問題と若者

 非正規雇用の増加は、いくつもの問題を日本に起こします。

  1. 労働市場の過当競争と所得の低下
  2. 正規雇用からこぼれ落ちる若者などの、人材になる機会の損失
  3. 人材の減少による日本社会の停滞

 経済的に非正規雇用を拡大した原因は、紛れもなくデフレとグローバル化です。しかし政治的には、経済の要請に負けて非正規雇用を許可したことにあります。

 自身の事情から、非正規雇用を選択する人がいることも確かです。しかし「非正規雇用しか、選択肢がない」ということは、避けるべきでしょう。
 実情として非正規雇用増加が問題されるのは、非正規雇用しか選択肢がないという人が増加しているからに他なりません。

 上述したように、非正規雇用の増加はループ的に日本社会の停滞や凋落原因の1つとなります。貧困や格差の面からも当然ですが、日本社会の活力という側面からも解決しなければならない問題なのです。

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