非正規雇用がつらい・苦しい理由-人生が詰みだと感じる非正規雇用の実態

この記事は約8分で読めます。

 今年のテーマは貧困や格差、就職氷河期世代についてと決めています。というのも、今後の日本では景気が怪しくなるからです。ますます貧困や格差についての議論が、重要になっていくと確信しています。

 本稿では非正規雇用の実態について、解説します。おそらく正規雇用の方、雇用が安定している方には「想像できない実態」だと思います。
 数字やデータを元に解説しますので、イメージしてみてください。

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平成30年の非正規雇用の割合は37.9%

 2018年の被雇用者のうち、非正規雇用の占める割合は37.9%でした。1989年(平成元年)の非正規雇用の割合が19.1%ですので、およそ2倍になっている計算です。

 一方で正規雇用は、どのように推移しているのでしょうか。正規雇用の男性は1989年(平成元年)が2407万人、2018年(平成30年)が2339万人と微減しています。女性の正規雇用は1045万人から1137万人と微増です。
 余談ですが「女性の社会進出」は主に、非正規雇用にて達成されていることになります。
※平成元年→平成30年で、女性の非正規雇用は588万人から1451万人に激増!
参照 平成30年間の労働市場を振り返る。非正規雇用はどう変化したのか | ナレビ

 データからは「正規雇用はほぼ横ばいで、非正規雇用が増えた」と理解できます。こう表現すると「求人が多くなったんだな」と思う人がいるかもしれません。
 しかし実態は「正社員の所得が減少したので、奥さんがパートに出る」「年金が減ったので、高齢者がアルバイトをする」などで、非正規雇用が増加しています。

 また男性の正規雇用は、1998年のデフレ突入から減少に転じています。女性の正規雇用も、ほぼ同じです。

非正規雇用の平均所得は正規雇用の2.8分の1

 では増加している非正規雇用の、所得はどの程度でしょう。正規・非正規 年収・生涯賃金格差を統計データで解説|年収ガイドによれば、非正規雇用の年収は正規雇用の2.8分の1だそうです。
 もちろん非正規雇用なので、正規雇用より労働時間が短いこともあります。

 しかし正規雇用が493万円に対して、非正規雇用はわずか175万円です。

 時給換算すると、非正規雇用はどの程度の所得でしょうか。

 上記で過去に、筆者がまとめています。情報労連の記事によれば、現在の日本は新中産階級、正規労働者、アンダークラスの3つの階級に分かれます。ちなみに新中産階級とは、ホワイトカラー労働者を指す言葉です。

  • 新中産階級の時給   2200円
  • 正規労働者の時給   1600円
  • アンダークラスの時給 980円

 上記記事で筆者がまとめたところ、このようになっています。

非正規雇用の時給980円で一人暮らしは可能か?

 時給980円で一人暮らしは、かなり厳しいのではないでしょうか。

  1. 1ヶ月の労働時間はフルタイムと同じ176時間で計算
  2. 所得税は195~330万円の10%
  3. その他国民健康保険や年金など2万円と仮定

 1ヶ月の月収は上記の条件で17万2000円です。そこから所得税と国民健康保険、年金などでおよそ3万7000円が差し引かれます。手取額は13万5000円となります。

 少なすぎね? しかも非正規雇用は、この手取額が安定しているわけではありません。

非正規雇用の苦しさとつらさのポイント

 非正規雇用がつらい、苦しいと感じるポイントは以下のようです。

  1. 正規雇用との待遇差
  2. 将来への不安
  3. 評価や期待をされない

つらいポイント1 正規雇用との待遇差

 フルタイムで働く正規雇用と異なり、非正規雇用はフルタイムではありません。従って日本では、非正規雇用の待遇は正規雇用と差をつけられてきました。同じ仕事ででも給料が異なったり、教育コストをかけてもらえなかったりです。

 会社は非正規雇用に、教育コストをかけたがりません。非正規雇用は繁忙期や、景気の調整弁だからです。長く続けてもらう気がそもそもないので、教育コストをかけるわけがないのです。よって非正規雇用では、スキルが身につくことは少ないのです。

つらいポイント2 将来への不安

 非正規雇用は、不安定な雇用形態です。正規雇用と異なり、法律に守られていません。また上述したように、スキルアップも難しいです。よって当然ながら、将来への不安は増大する一方になります。

 またスキルアップせずに年齢を重ねると、正規雇用への転職がだんだんと難しくなります。

つらいポイント3 評価や期待をされない

 元々非正規雇用は、繁茂期や景気の調整弁です。よって仕事は「基本的に誰にでもできること」しかさせません。どれだけ仕事を頑張っても、その努力が評価されて大幅に昇給したりすることはまれです。

非正規雇用は人生の詰みなのか?

 日本に中年フリーターが273万人、存在すると言われています。特に就職氷河期世代が、非正規雇用と中年フリーターのメイン層です。

 人によって非正規雇用になるのは、様々なケースが存在します。

  1. 高倍率でなんとか正規雇用につくも、2008年のリーマンショックなどのリストラで非正規雇用へ
  2. 最初から正規雇用につけず、非正規雇用で生活してきた
  3. 正規雇用についていたが、体を壊して正規雇用に復帰できなくなった

 いずれのケースにしても、いったん正規雇用を離れると正規雇用への復帰が難しくなります。上述してきたとおり、非正規雇用ではスキルアップやキャリアアップが望めないからです。
 従って2008年にクビを切られ非正規雇用に転落したケースなどは、景気が回復しても正規雇用への復帰が難しい方がたくさんいます。

 また日雇い派遣は時給1000円に満たないことも多く、日給1万円はなかなか届かない水準です。日給1万円でも所得税や国民健康保険、年金などを差し引くと手取り18万円に届きません。
 雇用が不安定で、手取額も多くないとなれば精神的な余裕もなくなります。
 精神的な余裕がなければ、日常でスキルを磨いたり勉強することも難しいでしょう。

 就職氷河期世代をメインとした中年フリーター、非正規雇用の諦観と絶望は想像を絶するものです。

たらいの底が抜けていて、落ちてみないとわからない

 湯浅誠氏の「なんとかする」子どもの貧困では、貧困に陥ることを「たらいの底に穴が開いている」と例えていました。
 そしてたらいの底の穴から落ちてみないと、どこに穴が開いているかはなかなかわからないのだそうです。

 「普通の人」は「まさか自分が、その穴から落ちることはない」と思っていますし、そんな穴があることすら知らない人が大半です。実際に落ちてみて初めて、慌てることになります。
 ……基本的に落ちたら、どうにもならない感が半端ないそうです。

 中年フリーターや―非正規雇用の貧困では、よく自己責任論が主張されます。「なぜそうなる前に、なんとかしなかったんだ! なんとかできたはずでしょ! 自己責任でしょ!」と。
 この主張は完全に、間違っています。

 なぜなら正規雇用の椅子は、限られているからです。仮に100人の労働者に対して、正規雇用の椅子が50としましょう。どのように頑張っても、何をどうしたって50人は非正規雇用になります。

まとめ 非正規雇用で中年はつらいし苦しいぞ

 非正規雇用のまま中年になると、人生が詰みになると「感じる」のは想像に難くありません。このような「詰み」の感覚が、報道で言われる「日本社会の閉塞感」の源泉ではないでしょうか。

 日本では自己責任論が、至る所に蔓延しています。しかしこの自己責任論の実態は「俺たちの状況を脅かすな! 手を差し伸べたら俺たちが損するじゃないか!」と突き放すための口実ではないか? と感じます。

 現在正規雇用で「普通に生活している人たち」も、ふとした瞬間にたらいの穴から落ちるかもしれません。だからこそ今のうちに、たらいの穴を1つずつ塞いでいくことが重要なのです。

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Muse

今回の記事は、非正規雇用の悲惨さがこれでもかというばかりに書かれています(でもこれが紛れもない真実)。しかも、

>日本では自己責任論が、至る所に蔓延しています。しかしこの自己責任論の実態は「俺たちの状況を脅かすな! 手を差し伸べたら俺たちが損するじゃないか!」と突き放すための口実ではないか?

という有様。また、ネット上の盲目的安倍カルト信者=ネトウヨのクズどもをはじめ、上記のようにひたすら自己責任を振りかざして非正規雇用や貧困者を切り捨てる連中、さらには高齢者や障碍者達を”生産性のない人間”と決めつけ、彼らの生存権すら認めたがらない(つまり、例えば生活保護や障碍者年金のカットなどを当然視するような)連中などが社会にウヨウヨしている。

日本社会がここまで心が荒んだ人間で溢れかえるようになったのは何故か?言うまでもなく、(小渕内閣だけは除く)過去20年以上にわたる歴代政権による緊縮&ネオリベ一辺倒の致命的失策、とりわけその総決算ともいえる安倍政権による極悪政策の数々です。

もし、政府も財界もメディアも、そして一般国民もこの真実に気づかず、今後もこの「国全体を挙げての大バカ一直線」を突き進めば、遠からず日本はフィリピンなどの東南アジア諸国以下に落ちぶれます。

そうなれば、国内の中小企業は倒産続きで激減、大企業は(少子高齢化で最低レベルとなった)国内需要に見切りをつけて、海外に生産販売拠点を続々と移した結果、失業率は高止まり。そして一般庶民は、「やむなく海外に出稼ぎに行き、現地で劣悪な労働条件と低賃金の下でこき使われ、わずかばかりの仕送りで日本国内にいる家族を養っている。中には現地で犯罪に巻き込まれたり、重病のために異国の地で果てる者が続出する。」

現在の非正規雇用社会よりもさらに悲惨なこうした光景が日本の近未来となるかもしれません。

黄昏のタロ

お邪魔いたしますです。

>たらいの底が抜けていて、落ちてみないとわからない

 まず、たらいの上には居ない(お金持ちじゃない)のは自覚するです。おいらはたらいの底に立っているのだと。底だからもうこれ以上落ちないだろうって思ってると穴があるのです。

 毒親が%を致命的に理解しないまま経営をしてたとか、担保な上に差押えされた土地が日本に存在しないかも知れない問題とか。

 おいらは穴に引きずり込まれたです。

ーーー
 嫁に行った毒親。そこに生まれたおいら。ボンビー生活で、たらいの底がホームグラウンドです。おいらは底だと思い込んでたです。ネグレクトや毒親の飲酒。別居と家族崩壊。
 おいらが立っていたのは、底より下の穴の中だったのでしょう。だんだん気が付くです。

 毒親が離婚して実家の財産を相続したです。数億です。おいらはたらいから脱出なのです。
 しばらくして、たらいの底に帰るハメになったです。今度こそ、穴に落ちることは無いだろう。

 前出の通り、毒親と共に穴に引きずり込まれるのです。

ーーー
> ……基本的に落ちたら、どうにもならない感が半端ないそうです。

 はい。おいらの場合は落ち切るスレスレの辺りですね。
 家中の金属をかき集めて売ったり。物置にしてる部屋のカーテンレールとか、システムキッチンの扉とか。
 盗んだりしなかったのは、ボンビーのサラブレッドの誇りかもです。

1997年生まれの私ですが、年齢を誤魔化して佐川急便の深夜労働(荷物の仕分け)をしてた17歳の頃、時給は1250円ありました。皆勤手当てなるものが加算され、月給にして36万円くらい、17歳の少年だった私に人材派遣会社は支払ってくれていました。

同級生が高校生をしている頃にパチンコ店へ正社員として就職しますが、5年後に退職する直前くらい、月給もやはり40万円弱くらいになっていました。毎年1万円以上は昇給があって、同僚らとそれを楽しみにしていたのを覚えています。パチンコ店はその後、新卒の大学生が私と変わらないくらいの初任給を設定されていたことに腹を立て、その他諸々の事情から自己都合で退職します。

23歳の頃、パチプロと「ネットワークビジネス」で食べていけなくなり、これまた人材派遣でパチンコ店へアルバイトに行きますが、土日で時給を2000円貰っていました。当時、パチンコ店舗のデータ分析ソフトをエクセルで作ってネットで販売、業務用のラミネート加工などで店内POPなどを仕事時間外に自作し、ドルガバのスーツを着てポルシェのボクスターでアルバイト先に出勤していた私ですから(笑)、色々な意味でイレギュラーな存在であったことは差し引くとしても、その頃の給与が2020年の今と変わらないか、今より多いくらいの水準であったと、たまに自宅ポストに投函されるフリーペーパーの求人を見ては、「20年前から経済成長しとらんやんけー」と複雑な気持ちになることがあります。

そういえばヤンさん、またヤンさんの「理想の選挙制度」を論考したエントリーが読みたいなぁと思っています^^

訂正
×1997年生まれの私
○1977年生まれの私

ああ、あと20歳若かったら……(笑)。

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