格差と貧困の違いを答えられない人のための、格差と貧困の簡単解説

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貧困と格差の違いとは?

 突然ですが格差と貧困の違いとは? と聞かれて、スラスラあなたは答えられるでしょうか? スラスラと答えられるなら、この先の記事を読む意味はありません。

 意外と格差と貧困について、違いが分かる人は少ないようです。言葉の定義は非常に重要です。特に議論したり何かを認識する際に、言葉の定義が曖昧なままではいけません。

 格差社会や貧困化が問題視される昨今、知っておいて損はありません。

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貧困の2つの定義-相対的貧困と絶対的貧困とは

 本稿は学術的な論文ではありませんから、簡単な定義だけをお話します。

絶対的貧困とは

 絶対的貧困とは、その日の衣食住にすら困る水準の貧困を指します。海外の事例でいればストリートチルドレンや難民です。日本の事例でいればホームレスなどが、絶対的貧困に分類されるでしょう。

相対的貧困とは

 相対的貧困の定義は、国民の年収の中央値の半分以下を指します。日本で言えば年収122万円以下が、相対的貧困に分類されます。年収の平均値ではなく、中央値という部分にも注意してください。
 詳しくは、コトバ解説:「平均値」と「中央値」の違い – 毎日新聞などでどうぞ。

 相対的貧困は「今日や明日、食べ物や衣食住に困るわけではない」という場合が多いです。

格差と貧困の違いとは?

 例えば現在の日本で、5割の所得が1000万円、もう半分が500万円だったとします。これは「格差がある」状態ですが、貧困は存在しません。相対的貧困すら、発生していない状態です。

 一方で仮に現在の日本ですべての国民が、年収100万円ならどうでしょう。格差はありませんが、すべての日本国民が絶対的貧困に陥っています。

 概念的には「格差のない貧困」も存在するし、「格差社会だけど貧困がない」ことだってありうるのです。

 格差が悪い方向に開いているという目安が、相対的貧困率と考えるとスッキリします。

 ちなみに現在、「なんとかする」子どもの貧困(著者:湯浅誠)を読んでいますが、なかなか興味深い著作です。読了したら、レビューを書きたいと思います。

行き過ぎた格差社会の現代日本と市場競争の関係性

 税による富の再分配は、格差の是正や貧困の軽減に役に立ちます。一方で小さな政府や市場原理主義は、格差を拡大させて貧困を増加させます。

 つまり政治的には「大きな政府=格差と貧困の縮小」、「小さな政府=格差と貧困の拡大」という図式が成り立つために、貧困と格差は「違うもの」として認識されにくいのかもしれません。

市場原理主義や小さな政府が格差と貧困を生み出す構造

 主流派経済学では小さな政府を重視します。なぜなら政府が大きくなると、人々の自由を侵害するとされているからです。

 小さな政府は、経済への干渉を最小限にします。したがって市場は、競争原理が非常に色濃く反映されます。競争とは確実に、勝者と敗者を生み出します。
 資本主義社会と市場競争で勝者になるのは、基本的には大資本です。資本の大きさが、勝敗を決めます。

 つまり大資本はますます儲け、弱者はますます貧困化するという格差が生まれます。

 概念的に格差と貧困は異なりますが、政治イデオロギー的には「同じ小さな政府によって生み出されるもの」なのです。

まとめ 格差と貧困の違い

 格差はある程度までであれば、社会に活力を生み出します。「歯を食いしばって追いつけ追い越せ」と頑張るのは「歯を食いしばった程度で、追いつけそうな格差の程度だから」です。
 逆に「過労死しようとも追いつけない格差」があった場合、人は頑張ろうと思うでしょうか? 普通は諦めます。
 こうなると社会は無気力に満ち、活力は失われていきます。

 競争や格差は一定の幅まで出ないと、社会の活力を蝕むのです。

 貧困は「蝕まれた結果」といえるかもしれません。大人が相対的貧困の場合、多くは「自己責任だろ! そうなるまでに何とかしたら良かったんだ!」などと言われます。もっとも椅子取りゲームで「椅子が空いてないのの座れない」のと一緒で、本人にはどうしようもなかったかもしれません。

 閑話休題。格差は状況で、貧困は結果と考えると「相対的貧困率が、格差が開きすぎかどうかの目安になる」というのも頷けます。

絶対的貧困じゃないと、興味を持たない日本人

 相対的貧困で大変だ! と思う人は、少ないのではないでしょうか。日本人の多くが貧困と言ってイメージするのは、食うや食わずの悲惨な状態です。スマートフォンを持っている貧困など、ありえないと思う人が多いのではないですか?

 しかし実際に6人に1人が、日本人は相対的貧困層です。就職氷河期世代の男性に限っていえば、3人に1人が相対的貧困です。しかし街を歩いていて、明らかに貧乏だと分かる人に会うことはありません。
 だからこそみんな、日本の貧困をイメージしにくいのでしょう。

 そして筆者もまた「どうしたら相対的貧困がヤバいことになっているか?」を、効果的に訴えられるか? の術を知りません。今年は貧困や格差、就職氷河期世代をメインテーマに書いていきたいなと思っています。

 みなさまも一緒に、筆者とお勉強していきませんか?

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Muse

確かに「格差と貧困」の区別は曖昧にされがちなので、やはり明確にしておくことは重要だといえます。注目に値するテーマだと思います。

>概念的には「格差のない貧困」も存在するし、「格差社会だけど貧困がない」ことだってありうるのです。

ご指摘の通り、これこそが「格差と貧困」が異なる概念である証拠です。さて、社会を国民国家の単位で考えると、前者は全国民が”みんな平等に貧しい”状態、つまり国民全体が貧乏だという状態を意味します。これに対して、後者は国民全体は(他国民と比べて相対的に)十分豊かであるが、その内訳を見ると、より豊かな超富裕層とその他大勢の一般庶民との間の所得ないし資産の格差が大きい状態であるといえます。

理想的な状態と言えるのは、やはり「国民全体が(他国民と比べて)十分豊かであり、かつ、社会の活力を損なわない程度の(言い換えれば各人の才能と努力次第でそこそこ報われる程度の)競争原理が働く社会」ではないかと。かつての高度成長期からバブル期にかけての日本社会=一億総中流と言われた社会がこの状態に近かったと思います。

>税による富の再分配は、格差の是正や貧困の軽減に役に立ちます。一方で小さな政府や市場原理主義は、格差を拡大させて貧困を増加させます。

現在の日本の政治勢力の政策を見ると、民主党系や共産党などのリベラル左派は、「富の再分配」による経済格差縮小を最重視しながらも、「小さな政府路線」指向のためか、公共インフラや科学技術、それから特に安全保障分野での大規模財政出動には極めて消極的です。その結果、国民の経済格差は縮小するものの国家全体の経済成長は期待できず、そのうちに全国民が平等に貧しくなる「絶対的貧困」状態に陥りかねない。

これに対して、自民党や維新などのネオリベ礼賛派は、「富の再分配」など全く眼中になく、経済格差は拡大する一方。さらに「小さな政府路線」指向で、緊縮財政と(外資を含めた)民営化・規制緩和を推し進め、国民経済は衰退と没落へ向かう。その結果、一握りの超富裕層ないし富裕層だけが良い思いをして、その他多くの一般庶民は「相対的貧困の拡大」から「絶対的貧困」状態に陥ることになる。現代日本社会がこの状態。

以上の事から、上記の理想的な状態を実現するには、「積極財政による景気拡大と適切な富の再分配、(外資や外国人労働者を含めた)適切な規制強化を通じて日本経済の再生・復活を目指す」以外にはあり得ません。一言で言えば、「日本ファースト=日本国民第一主義=ナショナリズム」最重視の国家戦略です。

黄昏のタロ

お邪魔いたしますです。

> しかし実際に6人に1人が、日本人は相対的貧困層です。就職氷河期世代の男性に限っていえば、3人に1人が相対的貧困です。しかし街を歩いていて、明らかに貧乏だと分かる人に会うことはありません。
> だからこそみんな、日本の貧困をイメージしにくいのでしょう。

 ボンビーのサラブレッドとしては、経験してないから想像力の外側になっちゃうのかもって思うです。漠然と何とかなると考えるのかも知れません。

 ホームレス。
 自己責任論の延長なのかもですけど、「仕事さえ選ばなければ今すぐ働けるはず」っ書き込みを見かけたです。
 色々な書類。特にカード類は書留での郵送ですよね。郵便局員によって実在して居住してる人と確認するためです。郵送先を失うと、色々なことが出来なくなります。就職だってそうです。(マイナンバーでいくらか改善ですけど)
 持ち切れないほどの現金を持っていても、住居の失い方でホームレスになれます。賃貸の契約・家を買うなど様々な事で制約を受けて、不自由な生活を送れます。(ゴーンさんが日産所有の居宅に居座るのも、この手の理由かも知れないです)

 食うや食わず。
 我が家は、壱億ちょいの固定資産を持ちながら、食うや食わずの生活が送れました。現金が無くなれば、食い物を買えない生活になります。固定資産を売るにしても手元に現金が来るまでに、そこそこの期間を要します。

 極端な例ですけどね。今は大丈夫でもどーなるかわかんない。

> そして筆者もまた「どうしたら相対的貧困がヤバいことになっているか?」を、効果的に訴えられるか? の術を知りません。今年は貧困や格差、就職氷河期世代をメインテーマに書いていきたいなと思っています。

 想像力を刺激するって辺りかなと。
「あなたは、病気で入院したら、何ヶ月生活出来ますか?同じ給料の同僚はどうですか?解雇されたらどうですか?」って辺りでリアルに想像してもらうしかないかもです。
 その辺から広げて。同世代・同じくらいの賃金・貯蓄はわずかって、似たような境遇ならって辺りで想像を広げてく。
 ただ、あまり読みたくない記事に仕上がるかもですね。

阿吽

>「どうしたら相対的貧困がヤバいことになっているか?」

今の日本国の現状を、正しく理解してもらうしかないですね・・。

ただ、やっぱりスマホを持ってるのに、貧困ってどうなのよって人はいます。(私の近くにもいました)

・・昔は、絶対的貧困におちいっていても、頑張ればある程度なんとかなる社会だった・・というのも、あるかもしれませんね・・。

だからこそ、相対的貧困どころでひいこら言ってんじゃねえと言う感覚が、今の日本社会の全般的には、どちらかと言うとあるのかもしれません・・。

しかして、今は昔と違い努力すればある程度の成功をある程度は見込める社会じゃありません・・。

そこらへんが、昔の成功体験を持つ世代には、ある意味では理解しがたい状況なのかもしれませんね・・。

また若い世代の中でも、一部の成功(ひろゆきさんとかホリエモンさんとかの成功)を全ての人への成功体験として語るような人もいます。そういうのも、若い世代の人々の中でも、個々人の努力不足をこれみよがしに強調する要因の一部となっているのかもしれませんね・・・。

(まあしかして、上記の人がある程度の努力の結果成功したのはもちろん認められるところではあります)(運も幾分かはあったとは思いますが)

今の日本社会に必要なのは、社会全体を正しく見通す目が無ければ、いけないのだとは思いますが・・(-_-;)

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