日本文化衰退!伝統工芸品の後継者不足の実際例と現状-伝統は受け継げるか

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 日本文化は好きですか? 和食やアニメ、初詣……。数えればきりがないほど、私達の身の回りは日本文化にあふれています。しかし私達日本人の身の回りから、姿を消そうとしている日本文化があります。古くから受け継がれてきた伝統工芸品がいま、危機に瀕しています。

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伝統工芸品とは

 伝統工芸品とは、長年受け継がれてきた技術で作られる工芸品です。日本ではおよそ1300種類の伝統工芸品とされるものが存在します。
 しかし正式な伝統工芸品の指定は、経産大臣が行います。指定の根拠となるのが「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」、通称「伝産法」です。
参照:法律(伝産法) | 伝統的工芸品産業振興協会

伝統工芸品に指定されるハードル

 伝統工芸品として経産大臣の指定を受けるには、大きなハードルが2つあります。伝産法に規定される「100年以上の伝統」「少なくない工芸品生産従事者」の2点です。

 薩摩切子の事例では、西南戦争で薩摩切子は技術が断絶しています。現在の薩摩切子は昭和60年代に復元されたものです。したがって伝統工芸品の指定を受けることが出来ません。
 また伝統工芸品では、すでに職人が数人しか残っていないこともあります。「少なくない工芸品生産従事者」とはおよそ、30人ほどを指すようです。
 したがって伝統はあれど生産者が少なくなっている伝統工芸品は、指定を受けることが難しいでしょう。

伝統工芸品として指定されるメリット

 経産大臣に伝統工芸品として指定されると、支援や補助を受けることが出来ます。
参照:日用品・伝統的工芸品(METI/経済産業省)

 伝統工芸品として指定されるには、申請が必要です。伝統工芸品としての指定要件を満たしていても、申請をしない地域もあるようです。

伝統工芸品の現状

 伝統工芸品の現状は、決して楽観できるものではありません。

  1. 需要の減少
  2. 後継者不足

 上記2つの問題が、伝統工芸品の存続を揺るがしています。また需要の減少と後継者不足という2つの問題は、つながってもいます。
 需要が減少して売上や利益が減れば、魅力的な産業と思われないので後継者も育たないのです。

 なぜ伝統工芸品への需要が、減少しているのでしょうか。

伝統工芸品や文化が廃れていく時代背景

 伝統工芸品や文化が衰退する背景には、いくつかのポイントがあります。もっとも大きなポイントは「大量資産・大量消費社会の到来」と「日本人の生活様式の西洋化」でしょう。

大量生産・大量消費社会と日本文化の衰退

 戦後、日本は高度成長期を経て急成長しました。一時期はジャパン・アズ・ナンバーワンとまで言われ、世界で代2位の経済大国へと上り詰めます。日本における大量生産・大量消費社会の到来です。

 大量生産・大量消費社会は必然的に、画一化された生産物の羅列になります。コンビニ化、チェーン店化とイメージすれば理解しやすいでしょう。
 よって生産に手間のかかる伝統工芸品への需要は、減少してしまいます。

日本人の生活様式の西洋化

 明治維新を経て日本は、どんどん西洋化してきました。それでも戦前までは、日本には日本独自の生活様式が色濃く残っていました。
 しかし敗戦後、日本は日本独自の生活様式を捨て去っていきます。この事実は米や味噌、醤油の消費量が一貫して減っている事例から明らかでしょう。

 日本独自の生活様式に深く関わっていた伝統工芸品も、またその需要が減少しました。

追い打ちをかけた失われた20年

 失われた20年と均衡財政主義は、伝統工芸品の危機に追い打ちをかけていると言えます。仮に政府の支援が潤沢であれば、伝統工芸品もここまで危機に瀕していなかったかもしれません。

 緊縮財政と失われた20年は、日本人の所得を下落させました。全体的な需要が減少する中で、高額である伝統工芸品の需要が減少するのも必然でした。

伝統工芸品や日本文化を残すための様々な取り組み

 伝統工芸品の生産者や地域は、伝統工芸品を残そうと努力しています。現在でも様々な取り組みの事例があります。一部のいくつかの事例をご紹介します。

伝統工芸品の求人サイト「四季の美」

 四季の美|日本の伝統産業を応援する求人サイトは伝統工芸品の求人を、無料で掲載できます。伝統工芸品業界の、後継者問題の解決のための取り組みだそうです。

 他にも伝統工芸品の職人へのインタビューや、伝統工芸品を取り巻く現状などが記事になっています。

クラウドファンディングで後継者を育てる?

 クラウドファンディングで、資金を集める動きもあります。資金が集まれば事業が展開でき、売上が上がれば後継者育成にも費用をさけます。
 例えば伝統工芸のクラウドファンディングのプロジェクト一覧|A-port 朝日新聞社は、朝日新聞社が主催するクラウドファンディングのサイトです。

 伝統工芸品生産者がクラウドファンディングを利用する動きは、今後も広がっていくかもしれません。

伝統工芸や文化の職業体験

 東京圏限定ですが、伝統工芸品の職場体験ができるサービスもあります。ココロミル | 職場体験の予約サイトでは宮大工、扇子作りなどの職場体験も掲載されています。

 筆者は大阪在住なので、関西にもこのようなサービスがほしいです。

日本は国家として何を守り育むべきか

 伝統工芸品や日本文化が衰退の危機だ、というのは事実です。しかしわずかながら、明るい兆しもあります。
 海外での日本文化の流行、若者が生きがいを求めて地域地場産業へ職を求めるなどの動きです。

 日本は国家として、分野や伝統工芸品とどう向き合うべきでしょうか? そもそも論になりますが、国家とはなにか? から考えねば、どう向き合うかの答えは出ないでしょう。

 国家は企業と異なり、金銭的利益を追い求めるものではありません。では国家とはどのように、国民が「国家の意識」を持っているのでしょう? 様々な説がありますが、文化が国民意識を形作る役割は非常に大きなものです。国家にとって文化とは、自身の体の一部に等しいのです。

 であれば文化や伝統工芸に、どのように向き合うか? の答えは明らかでしょう。育み、保護し、守らなければなりません。

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黄昏のタロ

お邪魔いたしますです。

 おいらは伝統工芸品には興味がわかないのですが職人さんって響きは好きです。

 工具にさしてこだわりは無いのですが、唯一のこだわりはFONTAX社のピンセットです。職人さんが造る職人さんの為の工具です。スイス製。TAXALって謎の金属が使われてるです。
 たかがピンセットではあるのですが、テーブルの上の髪の毛を難なく掴める精度です。半田付けにも耐えてくっ付かない。
 以前の工場勤務でおさがりのボロボロのを使わさせられて作業効率が上がらずに、自費で購入して惚れたです。

 久し振りに検索したら潰れてましたです。創業者が病気になり、負債を負って身売りに失敗したらしいです。

 世界にはもっと大手があって、出会いがあれば惚れちゃうのかな。国産は量産品ばかりで惚れる要素が少ないです。それなりに良いものではあるのですが。

 世界は職人さんに冷たいです。

ヤンさん、「進撃の庶民」の私の最新記事のコメント欄にも書いたのですが、またブロック内「ギャラリー」の画像リンクが勝手に外れ、アマゾンの商品リンクを挿入できない状態に巻き戻っています。何か設定など変わりましたでしょうか?

伝統工芸品の後継者問題については、私は行刑施設(刑務所や拘置所のこと)の被収容者の中で、模範囚から募るのが相性いいのではないかと思っています。彼らも出所してから年下の上司に頭を下げて働くとかしたくないため、経済的事情も重なって5年以内に50%の確率で再収監されるわけですが、マイナーな伝統工芸品作りで所得は多少低くても、プライドを持って打ち込めるような仕事の斡旋が効果的な感じがいたします。

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