キャッシュレス社会のメリットとデメリット-キャッシュレスは日本に適するか

 2019年10月の消費税10%増税でも、キャッシュレスポイント還元が実施されました。キャッシュレス・ビジョンでは2025年までに、キャッシュレス決済を4割に増加させることが目標です。

 しかし政策とは裏腹に、一般的な国民はキャッシュレスより現金という意識があります。

 キャッシュレス社会は日本に適しているのか? どのようなメリットとデメリットが、日本社会で発生するか?
 キャッシュレス決済の一般論ではなく、社会科学的、政治的視点から日本のキャッシュレス社会を考察します。

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日本のキャッシュレス化の現状と定義

 日本のキャッシュレス決済の割合は、現状で20%ほどです。

 そもそも論ですが、キャッシュレス決済の定義とは何でしょうか? そもそもキャッシュレス決済とは? |タマルWeb|イオン銀行によれば「キャッシュレス決済は『キャッシュ(現金)』が『レス(不要)』な決済のこと。お札や硬貨といった現金を使うことなく、買い物や料金の支払いができるサービスのことです」です。

 一般社団法人キャッシュレス推進協議会 資料によれば「物理的な現金(紙幣・硬貨等)ではなく、デジタル化された価値の移転を通じて活動できる状態」をキャッシュレスと狭義に定義しています。

 銀行振込も「現金不要」「デジタル化された価値の移転」ですが、キャッシュレスには数えられないようです。どの報道や記事を見ても、キャッシュレス比率に銀行振込は含まれません。
 したがってキャッシュレス決済の定義とは「純粋(単一的)な銀行機能以外の、現金不要な決済手段」と定義できます。

キャッシュレス社会では、どのキャッシュレス決済が主流になる?

 キャッシュレス社会は海外で、すでに訪れています。スウェーデンや中国、韓国です。

 スウェーデンのキャッシュレス比率は85%です。また中国も都市部はキャッシュレス社会になっており、中国全体でもキャッシュレス比率は60%です。韓国は驚異の96%です。国家的にキャッシュレスを推進した結果です。

 スウェーデンや中国、韓国などのキャッシュレス社会では、スマホ決済がメイン、クレジットカードが保険のような役割のようです。なぜならスマホ決済のほうがスピーディーだからです。

キャッシュレス社会を推進する各国の異なる動機

 キャッシュレス社会を目指した目的は、各国によって異なります。例えばインドは、ブラックマネー根絶が目的でした。インドではブラックマネー(不正蓄財)が、GDPの25%に及んでいたのです。

 スウェーデンは現金強奪の犯罪対策として、キャッシュレス社会を推進しました。韓国は1997年のアジア通貨危機から、キャッシュレス化にはずみが付きました。目的は消費の活性化と、税収確保にあったようです。
 日本では生産性を上げるという名目で、キャッシュレス社会が推進されています。

キャッシュレス社会のメリット

  1. 脱税の防止と税収の確保
  2. 現金コストがかからず、効率化が図れる
  3. 消費の活性化

 主に日本政府がキャッシュレス社会を推進するのは、1.が理由です。経産省が発表したキャッシュレス・ビジョンで明確に「キャッシュレス推進は(途中略)不透明な現金流通の抑制による税収向上につながる」と書いてあります。

 有識者などは2.をことさら取り上げます。「現金の支払いは時間がかかる。キャッシュレスなら生産性が上がる」というものです。
 また消費が増える、活性化するといわれています。統計によればキャッシュレス決済の導入で、小売店の客単価が2%増加しました。

キャッシュレス社会のデメリット

  1. 生産性のアップは、人件費削減→デフレ圧力の増加に?
  2. 消費の活性化による民間債務の増加の懸念
  3. ITインフラの寸断による、混乱の発生
  4. IT弱者、高齢者など現金決済に頼っている層への格差

 1.と2.はメリットを深堀りすると、デメリットに転換するということです。キャッシュレス社会で生産性がアップすれば、例えば小売業でレジ打ちの需要が減ります。したがって人件費抑制圧力になり、デフレ圧力となります。
 またキャッシュレス決済を用いても、所得は増えません。したがって消費が増加=個人の貯蓄減少ないし、債務の増加となるはずです。

 民間債務の増加が加熱すれば、バブルとその崩壊が危惧されます。

 ITインフラの寸断やトラブルも、キャッシュレス社会においての弱点です。スマホ決済やクレジットカード決済も、ITインフラなしには成り立ちません。現金決済が、電気や水道が止まっていても可能なのにも関わらず!

 スマホやITに疎い高齢者は、不自由を強いられることになるかもしれません。スウェーデンでも問題化しています。

  1. 主要銀行が、現金を扱う支店を減らしていった
  2. 現金に頼っている高齢者たちが、支払いも満足にできない

 キャッシュレス化が高度に進むと、なんと銀行が現金の扱いを減らすようです。スマホとクレジットカードを持てなければ、支払いすら満足にできなくなるかもしれません。

日本にキャッシュレス社会は必要だろうか?

 日本はキャッシュレス後進国といわれますが、キャッシュレス化が浸透しない理由は災害大国だからではないでしょうか。現金への信頼は極めて大きく、キャッシュレス社会への阻害要因となります。

 日本では現在、スマホが圏外になる地域もあるようです。スマホ「圏外」23年度に解消、過疎地に基地局計画:日本経済新聞によれば、2023年まで解消されません。キャッシュレス社会にスマホは必須です。キャッシュレス社会を目指すにしても、インフラ整備が先でしょう。

 キャッシュレス社会推進のハードルを2つ挙げました。キャッシュレス社会が日本に必要か? と聞かれれば「必要だという強い理由は皆無」でしょう。一方でキャッシュレス社会は、人々に便利さをもたらします。したがって目先の便利さは、キャッシュレス社会の到来を必然とするでしょう。

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2 Comments
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Muse
9 月 前

>スマホやITに疎い高齢者は、不自由を強いられることになるかもしれません。スウェーデンでも問題化しています。
>キャッシュレス社会にスマホは必須です。キャッシュレス社会を目指すにしても、インフラ整備が先でしょう。

とのことですが、当方は現金事前チャージ式によるカード型のキャッシュレス決済(WAON等)のみを使用しています。もちろん、店によって現金払いも。スマートフォンを使ったQRコード決済は一切使用しておらず、今後も使いません。理由はそもそもスマホを持っていないから(ガラホを使用)。その理由は通信料金の高さと入力操作性の悪さ、出力画面の狭さ。

やはり、自分としては、IT機器と言えば、キーボード&マウスと大型ディスプレイ、スピーカーとサヴウーファを備えたミドルタワー型のBTOPCが最低2台、それからNAS一台とWi-Fi対応の複合プリンタ、もちろん、光通信接続のWi-Fi対応のブロードバンドルーターがあれば十分です。