日本の貧困の定義とは?相対的貧困のポイントをわかりやすく解説

 貧困問題は日本において、大きく話題になることが少ない。大半の人は貧困問題を、自分には関わりのない問題と認識しているのではないでしょうか。
 なぜその様になるのか? には理由があります。日本の品こ問題の見えづらさが、そうさせています。

 貧困の定義から、いまの日本の貧困問題のポイントまでをわかりやすく解説します。

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日本の貧困の定義とは?

 貧困の定義は、団体や組織によって様々です。しかし一般的に、貧困には2つの定義があります。

  1. 絶対的貧困
  2. 相対的貧困

 絶対的貧困は、人間として生活できる最低ラインの衣食住が賄えないことを指します。住む家がない、食料が賄えないなどのケースです。海外ではストリートチルドレンなどです。日本ではホームレスやネカフェ難民が、当てはまるでしょう。

 相対的貧困は、その地域や国の一定の母数より貧しい状態を指します。所得で計算するのが一般的ですが、母集団の平均所得の半額以下が「相対的貧困層」と定義され、相対的貧困率として算出されます。

 上記の図は厚労省がプレスリリースで使用したものです。難しく書いてありますが「平均所得の半分以下の所得がが相対的貧困」と覚えればOKです。

日本の相対的貧困率は世界的に高いのか低いのか?

 日本の相対的貧困率は、世界的に見てどの程度なのでしょう。OECDの2019年の統計によれば、日本はOECDの中で9番目に相対的貧困率が高い。ちなみにOECD加盟国は34カ国です。
 しかし日本より上位にはトルコ、チリ、ラトビア、エストニアなど、先進国といえない国もあります。先進国に限定すると、日本はイスラエル、韓国、アメリカについで4番目に貧困率が高いのです。

 格差を表すジニ係数でも、以下のようになっています。

 日本はOECDの中でも、格差が大きい国に入ります。

相対的貧困率と所得格差の関係性

 相対的貧困率は、格差が拡大していく過程において増加します。所得の中央値が下落せず、低所得者だけが増えていく可能性が高いからです。つまり中間層の脱落です。
 しかし仮に高所得層と低所得層が完全に分断されると、相対的貧困率は一気に縮小します。なぜなら所得の中央値そのものが下落するからです。

 極端ですが「高所得層1億円で1人」「低所得層100万円で100人」というモデルで考えてみてください。平均所得は198万円ですが、所得の中央値は100万円です。よって相対的貧困率はゼロとなります。

 相対的貧困率や貧困の問題は、日本にとってはわりと新しい問題です。筆者の記憶が確かでしたら、2000年代にはあまり話題にならなかったはずです。2008年の年越し派遣村で、一気に貧困への認識が広まったと記憶しています。

日本の貧困問題とは?どのような層が貧困に苦しんでいるか

 日本で貧困問題として取り上げられるのは、主に以下の5つでしょう。

  1. 子どもや母子家庭での貧困
  2. 非正規雇用の貧困
  3. 単身世帯の貧困
  4. 氷河期世代の貧困
  5. 貧困専業主婦

 非正規雇用は拡大しており、2018年のデータでは10人に4人が非正規雇用労働者です。とくに非正規雇用の単身世帯や、氷河期世代の貧困率が問題視されています。
 また母子家庭は、高い貧困率です。子供を抱えつつ正社員が難しく、非正規雇用での労働になることも問題でしょう。

 母子家庭の貧困は、子どもの貧困へと直結します。子どもの貧困は教育格差に結びつきやすく、世代を超えた貧困の固定化が懸念されています。

 貧困専業主婦は最近出てきた認識です。

日本の貧困問題の見えづらさ

 日本の貧困問題は総じて、相対的貧困の問題です。相対的貧困は、見た目からはわからない場合がほとんどです。「ツギハギをしたズボン」「ヨレヨレのシャツ」などの「わかりやすい貧困シグナル」は日本ではほとんど見かけません。
 しかし例えば子どもの貧困は、7人に1人といわれています。35人学級で5人も存在する計算です。全国では280万人の子供が、相対的貧困なのです。

 貧困の見えづらさが、日本の貧困問題に対する認識を甘くしているのかもしれません。

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