高齢者ネトウヨが目立つ理由と、ネット情報の能動的偏重の正体

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 高齢者のネトウヨ化が昨今、密かに話題になっています。弁護士大量懲戒請求事件で懲戒請求を出した人のほとんどが、50代以上の高齢者中心でした。2017年に朝鮮総連と関係の深い信用金庫に、放火しようとした男性も65歳です。
 高齢者が起こすネトウヨ的事件が後をたたないので、高齢者のネトウヨ化が話題になっているのです。

 しかし本当に高齢者だけなのでしょうか? ネトウヨとパヨク (新潮新書)の著者である物江潤氏によれば、低年齢層へのネトウヨの感染の危険性も高いとのことです。どうしてネトウヨやパヨクは感染するのか。そしてネットでの情報はどうして偏重するのか。このあたりを解説していきます。

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ネトウヨの定義は「対話不能な人びと」

 ネトウヨとパヨク (新潮新書)はネトウヨ考察として、非常に優れた著作です。物江潤氏は実際にネットで、ネトウヨやパヨクと呼ばれる人たちと対話しようと試みたのだそうです。その結果はさんさんたるものでした。なぜなら数カ月間に渡って対話を試みた結果、ネトウヨやパヨクは対話不能な人びとという事実が導き出されたからです。

 最もシンプルな論理構造は

  1. 客観的事実
  2. 理由付け(解釈)
  3. 主張

 の3層構造で成り立っています。例えばテーマが「原発の是非」だったとします。

  1. 福島で原発の重大な事故が起きた(事実)。原発は危険なものである(理由付け)。よって原発は廃止されるべきだ(主張)
  2. 福島で原発の重大な事故が起きた(事実)。原発の安全性を高めなければならない(理由付け)。安全性が確認できれば、原発は再稼働するべきだ(主張)

 上記は全く逆の主張ですが、論理としては一応成り立っています。1.に対しての論理的反論は「危険性が認識できたのなら、対策を打てるのではないか。よって廃止という主張は短絡的だ」などがあります。また2.に対しては「安全性を高めたところで、リスクをゼロにすることは不可能だ。どの程度の安全性を目指すのか」といった議論も可能です。

ネトウヨやパヨクなど対話不能な人びとの論理構造

 物江潤氏によればネトウヨやパヨクは、対話不能な人びとです。なぜ対話や議論ができないのでしょうか。その理由は論理構造の破綻にあると指摘します。
 つまり主張や結論のみが固定されており、理由付け(解釈)が存在しないのです。先程の原発で例えましょう。

  1. 福島で原発の重大な事故が起きた(事実)。だから原発は廃止するべきだ(主張)

 上記の主張に「安全性を高めたら良いのでは?」といっても無駄です。そもそも理由付けがない結論なので、反論自体が無意味なのです。これをネトウヨの主張に置き換えてみます。

  1. 日韓徴用工問題が起きた(事実)。やっぱり韓国が悪い(主張と結論)

 理由付けがないだけに反論は不可能であり、結論があるだけに感染力が強いのです。
※感染力については後述
 物江潤氏はネトウヨの非論理性を、ネットでは攻守最強であるとまで評しています。もちろんながら悪い意味でです。

断言こそがバズるコツだった?!

 Twitterは140文字に限定されたSNSです。またネット、特にスマートフォンでは長文は読まれづらい傾向にあります。したがってネット上では「短く結論だけを断言する」という手法が、バズったり多くの人に見られるコツです。

 心理学者のギュスターヴ・ル・ボンは「断言・反復・感染」こそが、大衆に特定の思想を染み込ませることが出来るとします。さらに効果は永続性を持つそうです。断言は理屈や論理を伴わない簡潔なものほど効果的です。あらゆる宗教書や法典もこの方法を用いたといいます。

 ギュスターヴ・ル・ボンの考察が真だとすれば、Twitterで客観的事実や論理を無視した断言のほうが、バズるのもうなずける話です。断言と反復こそが、感染力を高めるのです。

ネトウヨの誕生の背景と現在の年齢

 ネトウヨの高齢化に話を戻しましょう。ネトウヨはもともと、2チャンネルで生まれたものです。2000年代前半に拡大し、一般化していきました。「2ちゃんねらー」意外な実像 14%が年収1000万以上 : J-CASTニュースは2009年の記事ですが、最も多い年齢層は35歳から44歳でした。10年前の記事ですので、現在は45歳から54歳が最もボリュームが多い層となるはずです。
 2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の高齢化が、ネトウヨの高齢化とも関係しているのではないかと思われます。

 ネットと愛国 (講談社+α文庫)の著者、安田浩一氏によれば「高齢者が突出して増えたというより年齢層も満遍なく広がった。その結果、高齢者のネトウヨも増えたという感じ」だそうです。裾野が広がったことで、結果として高齢者のネトウヨも増加しました。

 物江潤氏によれば、未成年などにもネトウヨが感染する危険性が高いとのことです。そしてこのリスクを排除することは、現在のところ困難でだそうです。物江潤氏は塾講師もされているので、思想的に真っ白な子供のことを本気で心配されておられるようです。
 日本に対しての若干の皮肉を込めていえば、日本人はほとんど思想に対して白紙に近い人が大半であると思いますが……(笑)

ネット情報の能動的偏重という現象

 ネトウヨとパヨク (新潮新書)で物江潤氏は「ネトウヨやパヨクと呼ばれる人たちは、じつは普通の隣人」と結論づけています。彼らは彼らなりの正義感で行動しているとのこと。ただし善意から行われる悪行ほど、たちの悪いものはありません。「地獄への道は善意で舗装されている」というヨーロッパのことわざ通りです。

 ネトウヨやパヨクは、正義感で行動している述べました。ただ結論だけが先にあり、対話が不能になっているだけです。したがってネトウヨやパヨクの主張に論理的な反論をするのは、彼らにとっては敵対行為にほかなりません。
 なぜなら自分たちは正義のために活動しているのですから、その活動に文句をつけるものは敵に違いないのです。

 余談ですが政治姿勢である保守、革新のどちらも論理的反論や議論を歓迎するはずです。保守は自己の理性への懐疑から、他者の主張を尊重します。革新はより優れた理性を支持することから、論理的な議論であれば歓迎します。

 閑話休題。なぜ偏重した正義感に燃えて、ネトウヨ化してしまうのでしょう。ネットは集合知と言われた時代もありましたが、まやかしでした。ネットは情報の集積所に過ぎず、その情報はアルゴリズムによって表示の優先順位が決定されます。
 Googleがもっとも優先するのは、ユーザーが知りたい情報かどうか? です。
 例えば「梅田 京都」と検索すると、真っ先に電車の乗換案内のURLが出てきます。

 つまりネトウヨが検索すれば、ネトウヨが望む情報が表示される可能性が高いのです。したがって意識しない限り、ネットでの情報収集は極度に偏重する可能性が常に存在します。受動的にテレビや新聞の情報を受け取るより、能動的にネットで情報を集めるほうが偏重するのではないでしょうか?

 ちなみに筆者は、ファッションや芸能人といった情報に非常に疎いです。テレビを見ないせいで、十分に偏重しているといえます(汗)
 ファッションや芸能人の情報なら良いのですが、政治や経済、思想などの情報を能動的に取得するには「論理リテラシー」が求められます。

 ネトウヨやパヨクなどの「対話不能な人」にならないために、論理リテラシーを身につけるとともに、常に「自分の主張は仮説である」ということも認識しておきましょう。

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Muse

う~ん、ネトウヨやパヨクに対する批判はごもっともで異論はありませんが、彼らは果たして全国民の中でどのくらいの割合を占めているのか?今回の記事よりももっと切実な問題は、権力維持のためなら、野党の追及に対してしらを切る不誠実な態度に終始し、主要メディアに圧力をかけてまで不祥事を隠蔽しようとする現政権の腐敗・堕落に対して、国民世論の反発が一向に盛り上がらないことです(Twitterの一部住民の反発は凄いですが)。一部のネトウヨ&パヨクの問題もさることながら、今の大多数の国民に蔓延している、政治の嘘に対する道徳的不感症=精神的劣化の極みは致命的です。まさに亡国の危機。

黄昏のタロ

お帰りなさいませなのです。さっそく、お邪魔いたしますです。

> 物江潤氏によれば、未成年などにもネトウヨが感染する危険性が高いとのことです。そしてこのリスクを排除することは、現在のところ困難でだそうです。物江潤氏は塾講師もされているので、思想的に真っ白な子供のことを本気で心配されておられるようです。

 取り上げていただき、有り難う御座います。
 おいら、まだ読んでないです。予算の都合で買えてないし。必ず買って読むです。

 真っ白なおいらは、ネトウヨ気質(対話不能型)の毒親に汚染されたですよ。小中高と漂白が大変だったです。白くなれてるかな、おいら。

> なぜなら自分たちは正義のために活動しているのですから、その活動に文句をつけるものは敵に違いないのです。

 対話不能なネトウヨの方々の実生活が気になるですね。毒親と同じだとしたら、政治の話だけに収まらないのです。いろいろな事柄で正しい選択を出来ずに苦労して、他者のせいだと不満を貯め込んでる。仕事も政治も家族も敵だらけ。
 毒親は大家を口実に、仕事をせず引きこもりました。社会との接点が減ってしまうと、間違いを指摘してくれる人も居なくなりました。ネトウヨ気質(対話不能型)は色濃くなっていくのです。
 
 高齢者。敵対→排除を繰り返して、孤立化していく。間違いを指摘してくれる人が居なくなって歯止めが効かなくなる年頃なのかもです。

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