前々より、アベノミクスは外需頼りと指摘してきました。
2019年の世界経済の不透明性は、外需頼り日本経済に打撃を与えます。
日本経済は2019年Q2から、すでに景気後退の兆しが「十二分に」ありました。政府は消費税増税直後に、景気後退を白状したようです。
アベノミクスとは、なんだったのか? 結論を言えば「日本の外需依存度を上げた」以外は、なにもしていません。
日本は2020年から、再デフレ化すると予測されます。
数字からアベノミクスを見直し、解説します。
アベノミクスで失業率は低下したは、嘘です
アベノミクスの代表的な成果は、失業率の低下と言われます。
日本の失業率の低下は、2010年からのトレンドです。アベノミクスで加速はしてません。
2008年のリーマン・ショック後、2009年に失業率は増加します。
その後に民間の自立回復で、失業率は改善したに過ぎません。
またGDPの増加に比して、個人消費は伸びてません。詳しくは後述しますが、GDPの伸びを1とすると、個人消費の伸びは0.55です。
実質賃金はアベノミクスが始まり、マイナス5%となっています。
「失業率が低下したから、実質賃金も下がった」とする反論があります。これは明確な間違いです。
2018年と2019年で失業率は、ほぼ変わらないと推定されます。
しかし2019年は、8ヶ月連続の実質賃金マイナスです。年率換算で1.1%のマイナスとなります。
失業率と実質賃金に相関がない、もしくは低い証左です。
アベノミクスは詭弁と嘘に満ちていると、解釈せざるを得ません。
データから見るアベノミクスの真実
より詳しいデータを見ていきましょう。といっても、難しいデータではありません。
- 個人消費(家計最終消費支出)の寄与度とデータ
- 実質賃金の推移
- GDPの推移
これだけです。データの選択目的は「アベノミクスで、国民が豊かになったかどうか?」です。
アベノミクスで外需依存の経済構造に
このデータは2016年までしか、まだグラフ化されていないようです。
安倍政権は2013年から、データになります。
2013年はアベノミクスで唯一、積極財政をした年です。家計最終消費支出(個人消費)が、景気を大きく押し上げました。
2014年は、消費税増税の年です。
そこから個人消費は、弱い動きになります。
参照:焦点:GDPから透ける外需依存の脆弱さ、大型対策実施の根拠に – ロイター
アベノミクスのGDP増加は、外需増加が大きかったのです。
アベノミクスでGDPの増加は年間にどれくらい?
安倍政権は2012年の終わりに成立しました。2013年からのデータでは、GDPは36兆円(2018年)増加しました。年間に、6兆円の増加です。
同ページのGDPデフレーターでは「デフレすれすれ」です。
アベノミクスで個人消費は弱くなった
見ずらいですが、2013年Q1からの数字です。
2013年の個人消費が286兆7千億円(グラフ一番左)です。2018年Q4が298兆4千億円(グラフ一番右)。12兆円弱ほど増えました。
個人消費はGDPの、約6割です。
GDP36兆円増加、個人消費は12兆円弱増加。
6割の「本来の増加」なら、21兆6千億円の個人消費増加だったはずです。
実際には「本来伸びるはずの額」の55%程度です。
アベノミクスで5%以上の実質賃金が下がった
2013年8月から2019年8月までで、実質賃金がプラスだった月は僅か25ヶ月/73ヶ月中です。
こういうとすぐに「失業率が下がったから、実質賃金が下がった」という反論があります。
2018年と2019年の推定失業率は、ほぼ同一です。しかし実質賃金は1.1%(年率換算)下がりました。
これをどう説明するのか?
頼みの外需は咳をした。日本はデフレという肺炎に備えよう
世界の経済成長率は、3~4%程度です。先進国は低くなるとはいえ、アメリカで2~3%、イギリスも同程度です。日本はアベノミクスで、平均1%程度。
思わず「やったねアベノミクス!」と、皮肉の1つも言いたくなります。
ついに景気悪化を認めた内閣府、消費増税後に「春から不況だった」と示唆するズルさ=斎藤満 | マネーボイスによれば、政府は景気後退を認めたようです。
数字的には、今年の春からだそうです。
アメリカの景気拡張もいよいよ終わりなのか |東洋経済オンライン によれば、アメリカはまだ「景気拡張が終わった」段階だそうです。
外需頼みのアベノミクスの成果は「アメリカが咳をすれば、日本が肺炎になる」でした。
アベノミクスの真実の姿
アベノミクスには、手柄がありませんでした。データで見てきたとおりです。国民を豊かにはしなかった。
むしろ日本の経済構造を、韓国と同じく「外需頼み」にしたのです。
失業率の低下は、アベノミクスの成果ではありませんでした。しかし安倍政権は、失業率の低下を声高に喧伝します。
アベノミクスとは「自分の手柄でもないものを、自分の手柄のように振る舞うこと」でした。そして「都合の悪いものは、シレッとあとから発表すること」でもありました。
言行不一致、手柄の横取り。これこそが「アベノミクスの真実」だったのです。
何にもしないアベノミクスで、景気後退が始まった。再デフレが来る
日本の景気は外需頼り。世界経済が不透明なら、日本経済がもっと不透明になるのは自明です。積極財政は、今のままでは望めません。
安倍政権もアベノミクスも、クチだけでした。「機動的かつ万全な対応」などは、あり得ません。
デフレが来ます。当然、景気後退もします。
世界経済が奇跡的に良くならない限り、この予測は当たるでしょう。
さらに予言しておきます。10年後に日本国民は、安倍政権を小泉政権と同じく「ダメだった」と言うでしょう。
そして同じような性質の政権を、またも熱狂的に支持します。
この予言が当たらぬことを、祈念します。
アベノミクスを知りたい方は、上記もご一緒にどうぞ。