一過性の話題だと思っていた、謎のニュースサイト「テラスプレス」ですが、その後に続報がいくつも出ているようです。
ご存知テラスプレスは、自民党の演説用資料の冊子(フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識)の元になった、謎のネトウヨ系ニュースサイトです。
報道や記事内容を紹介しつつ、テラスプレスの正体に迫ってみたいと思います。
結論を先にいえば、自民党の身内である可能性が非常に高いと思われます。しかしネットでは「テラスプレスの運営者、日本会議説」などもあるようです。
テラスプレスのURLとリンク
報道ではURLを紹介してないことが、非常に多いです。terracePRESS | テラスプレス – 報道では見えない事実に光を –が、テラスプレスへのリンクです。
URL:http://jterrace.press/
お名前ドットコムで調べますと、先頭の「j」を抜いた「terrace.press」も取得できるようです。「j」はおそらく「Japan」の「j」でしょう。
terrace.pressが取得できるのに、わざわざ「j」のついたドメインを取得しています。自称愛国者にや自称保守に、この手の傾向やこだわりは多いのではないでしょうか。
最初の報道のとき、私も「テラスプレスが、ググってもググっても出てこない! ウッキー!」となりました(笑)
後述しますが、テラスプレス本体がGoogleにインデックスされているのは、現在たったの2ページです。
※前はもう少しありました。
テラスプレスのニュースサイトとしての異常性
過去に自民党発行のネトウヨ冊子情報元、テラスプレスを徹底解析!で、徹底的に分析してますが、その中から要旨だけ抜き出します。
- URLを検索エンジンに引っかからないように、メタタグで細工している
- そもそもアクセス解析も入っていない
- ネット上でテラスプレスにたどり着く方法は、Twitterだけだった
- 広告が1つもない。収益構造を考えていない
検索エンジンに拾われない設定を、メタタグを利用している素人臭さ
上述の1.ですが、この方法も素人くさいのです。というのも、テラスプレスはWordPressを使って作られています。
WordPressには「サイトを検索エンジンに、インデックスさせない」という設定があります。
ところがテラスプレスの場合、多少の漏れがあるのです。
site:http://jterrace.press/ – Google 検索では、2ページほどメタタグの設定し忘れが生じてます。
※以前はもう少し、メタタグの設定し忘れがありました。
検索エンジンを嫌うなら、robot.txtを設定する方法もあります。.htaccessでも、サイト全体を検索エンジンに拾わせないことが可能です。
サイト制作で、テストサーバー用に使用される手法です。クライアントのサイトより、制作段階のサイトが拾われたら問題ですので。
つまりテラスプレスは、サイト制作会社に依頼したのではなく、サイト制作の素人がWordPressをいじって作った可能性が大きいのです。
テラスプレスがマネタイズを考えていないのは明らか
テラスプレスは、検索エンジンから隠れていますので、当然アクセス数も少ないはずです。したがって収益化は、目的ではないのでしょう。
というより、アクセスアップすら目的ではないようですから、広告やアクセス解析も不必要というわけです。
ニュースサイトなのに、アクセスアップが目的ではない。テラスプレスの異常性は、ここにあります。
テラスプレスの報道がまだ続いているという予想外
テラスプレスの報道が、まだ続いているようです。
全文表示 | 自民冊子の元ネタ「テラスプレス」、公示後も更新続く 野党批判のトーンそのまま… : J-CASTニュース
安倍首相、物議かもす自民党の”謎冊子”について「いちいち見ていないので、まったく知らない」 | ハフポスト
上記はここ3日間の、テラスプレスの報道です。
なぜ報道が続いているのか? は自明です。なにをどう考えても「怪しい」のです。
さらに問題は、テラスプレスの記事内容をまとめた冊子が、自民党の演説資料として配布された点です。
正体不明の怪しいニュースサイトを「知っていた」だけでも驚きなのに、それを「演説用資料」として配布しているのです。明らかに異常です。
テラスプレスには、問い合わせ先もありませんし、メールフォームもありません。住所も「おそらく東京千代田区」とTwitterから判明しているものの、テラスプレス自体には明記されていません。
「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」という冊子にするわりには、テラスプレスにはニュースサイトとしての常識がありません。
公党が「正体不明の謎サイト」を演説用資料にする。この異常性は、「送り主不明の手紙を、選挙でばらまく」くらい変なことです。
テラスプレスの記事をまとめた、自民党の冊子はまさに「怪文書」です。
だからこそ、報道はやまないのでしょう。
テラスプレスの記事はネトウヨや安倍信者的
テラスプレスでは、記事が以下のタイトルで配信されています。特徴的なものをあげます。
- 国民に不幸を及ぼす立憲の経済ビジョン
- 野党は「恥を知れ!」と喝破した三原じゅん子氏
- 自由貿易の重要性掲げ成功したG20
- 尋常ではない立憲候補の「消費税廃止」
基本的には「安倍政権をよいしょ」して、「野党・メディアを攻撃」する記事ばかりです。
テラスプレスの検索窓で検索してみました。入管法改正についての記事が「わずか1件」だけです。このあたりも「移民拡大はスルーするネトウヨ的特徴」を備えています。
文体、文章こそレベルが高いものの、内容は「徹底した安倍政権の擁護とよいしょ」「野党やメディア叩き」です。
上記のような記事をもとにしたものが「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」と題される、自民党で演説領資料として配られた冊子でした。
……自民党そのものが、ネトウヨ化しているのでは? という疑義すら浮かびます。
結局テラスプレスの運営者はわからないが……諸説あり
私はテラスプレスの運営者は、自民党の身内の可能性が非常に高い、と睨んでいます。なぜなら、そもそも検索エンジンに出ないテラスプレスを、冊子にできるということは「作っているのを知っていた」じゃないと、ほぼ不可能です。
Twitterではテラスプレスの運営者は、自民党のネットサポーターズクラブでは? もしくは日本会議では? という説もささやかれています。
自民党ネットサポーターズクラブ – Wikipediaでは、自民党ネットサポーターズクラブは現在19000名の会員数だそうです。
ハフィントンポストの記者も、テラスプレスの取材に動いているようです。
結局の所テラスプレスの運営者は現在、わかりません。
しかしウェブサイトとして分析した結果はこうです。
- テラスプレスのサイト制作は、おそらくサイト制作の素人だろう(検索エンジン逃れの手法が、しょぼいため)
- テラスプレス編集部と名乗っているが、個人の可能性が高い
- 多くても「文章の書き手」「推敲して掲載する人」の2名では?
- 知られていないテラスプレスを冊子化できたのは、自民党の身内が運営者だから?
- もともと、参院選での冊子にする予定だったとしか思えない
冊子にする予定でないと、テラスプレスを立ち上げ、検索エンジンから隠しアクセスもなく、数日おきに記事を書くなどという「なにも報われない作業」は続かないでしょう。
演説用資料としてテラスプレスの冊子を配るところに、自民党のネトウヨ化を感じます。
今回のブログ記事の内容そのものについては疑いの余地のない自明のことだと思うので、特に述べることはありませんが、疑問点は、今回の自民党本部主導のネット工作活動が、(いやしくも政権を担当している与党が、自ら野党に対するバッシング&ネガティブキャンペーンをやっているという)単なる政治道義上の問題にとどまるのか?、それとも公職選挙法等その他何らかの法令違反に該当する可能性があるのか?ということです。自分が思うに法令違反にはあたらず、政治道義上の問題に過ぎないという感じがしますが。
そうであるならば、反政権与党のスタンスをとる野党各党(れいわをはじめ、共産、立民、国民)も、こうした”敵”のネット工作に対抗すべく、時には連携してより強力なネット工作活動(特に、国民の関心が高い社会保障や景気問題についての反政府ネガティブキャンペーン)を繰り広げたほうがよいと思いました。今回の参院選では間に合わないので、次回の衆議院選挙に向けて。
プロパガンダはいつの時代も、ついて回りますからね~。ブラックプロパガンダされるなら、ホワイトプロパガンダでカウンター仕返すほうが、健全ですものね。