消費税増税反対の政党とはどこか?-なぜ消費税増税賛成はありえない?

 安倍政権は消費税10%への増税姿勢を崩しません。しかし今夏、野党は消費税増税”凍結”を掲げ選挙を戦うようです。
 私も消費税増税凍結や消費税減税・廃止に賛成です。消費税増税には断固反対です。

 逆に消費税増税に、賛成する理由が思いつきません。
 なぜ賛成が4割もいるのか? なども含め、解説します。

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消費税増税に反対している政党とその理由

 基本的に野党はすべて、消費税増税反対、消費税増税凍結の立場をとっています。
 しかし反対理由は微妙に異なりますので、それぞれご紹介します。

立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党は消費税増税反対

 上記の4野党は政策要望書に、共同してサインしたとのことです。その内容は「2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること」と報道されています。

 上記の文面を簡潔にいうと、「ビルトインスタビライザー(税の景気自動調整機能)のある税制を重視し、消費税増税には反対」です。

 野党協調のために「廃止・減税」は掲げてませんが、廃止の声も出始めた消費税、参院選の争点に 野党連合の「増税中止」要望では中途半端?(1/4) | JBpress(Japan Business Press)によれば、廃止という声も出てきているようです。

れいわ新選組は消費税増税廃止

 今夏の参院選で10~15人は候補を立てると予測される、れいわ新選組も消費税増税反対です。
 れいわ新選組は政策 | れいわ新選組で、消費税廃止を掲げています。

日本維新の会も消費税増税反対だが……?

 やや意外ですが、日本維新の会も消費税増税反対です。財政政策・制度|政策|日本維新の会によれば、こうです。

国民への負担を求める消費税の10%への増税は、身を切る改革と充分な歳出削減を前提とすべきであり、それまでは凍結する。

 他の野党は「景気を冷え込ませる、民間消費の停滞とダメージを招く」という前提で、消費税増税反対を主張してます。つまり反緊縮です。

 一方で日本維新の会は「歳出削減と政治改革だ! それまでは消費税はあげない」と主張します。
 「緊縮財政のために、緊縮財政を延期!」とは、意味がわかりません。
 ついでにいえば、「緊縮財政しきったら、さらなる緊縮財政だ!」ということです。

 普段はあまり「この政党だけはダメ!」などといいませんが、日本維新の会だけはダメでしょう。なにせ、主張が破綻しているのですから。

消費税増税に反対するべき5つの理由

 現在、消費税を上げてはいけない理由は、代表的なもので5つあります。

個人消費の低迷

 消費税増税は、個人消費にダメージを与えます。企業からすれば、需要減=売上減です。個人からすれば、可処分所得の低下で消費が減少します。

 簡単にいえば、国民が貧困化してしまうのです。

企業投資も低迷する

 消費税を上げると、主に企業の設備投資が低迷します。消費税がかかるからです。
 設備投資がダメージを受けるとは、すなわち需要減です。

消費税の逆累進性と格差拡大

 消費税は逆累進性のある税制です。お金持ちに優しく、低所得層に厳しい税制なのです。
 2019年10月に予定される消費税増税の軽減税率は、国民民主党の玉木雄一郎代表によると「お金持ちにやさしい軽減税率」になるようです。

 軽減税率1兆円中、低所得層に適用されるのは1割程度だろうとのこと。

 ますます、日本の格差拡大が止まらなくなります。

世界経済の不透明さ

 消費税は増税されるたびに、リーマン・ショック級のダメージを日本に与えました。
 しかも2019年以降の世界経済は、不透明と予測されています。いつどこで、どのような経済危機が起こっても不思議ではありません。

 このような中で、自ら消費税増税で日本経済にダメージを与えるのは、正気の沙汰ではありません。

デフレを加速させる消費税増税

 消費税増税はデフレを加速させます。個人消費もダメージを受け、設備投資もダメージを受けます。これらはすべて需要減です。
 デフレは供給>需要の状態です。したがって需要が減れば、デフレは加速することになります。

消費税増税に賛成する4割の人たちの理由は「国の借金」

 増税は庶民にとって、嫌なものでしかありません。ですが世論調査では、消費税増税に4割が賛成のようです。
参照:消費増税、内閣支持層でも半数が反対 朝日新聞世論調査:朝日新聞デジタル

 消費税増税をしてはいけない理由がこれだけあるのに、なぜ賛成なのでしょう?

 賛成理由が書いてある報道がありました。
 消費税増税、働く主婦層の20.8%が賛成…その理由は? | リセマムは、主婦層への世論調査です。

 賛成意見としては、「引き上げによる家計の負担は増えるが、増える社会保障費などを次世代に先送りせずに現世代で負担していくことは重要なことだと思う」(40代:パート/アルバイト)や、「これ以上、国の借金を増やすわけにはいかないので増税はするべき。痛みは伴うが未来の事を考える事が大事」(30代:今は働いていない)などの声があった。

 要するに「国の借金が大変だから、増税が必要。しょうがない」というものです。
 日本に財政問題は存在しない、という事実が周知されていなからでしょう。

現代貨幣理論(MMT)の周知が必要です

 現代貨幣理論(MMT)の必要性を、この世論調査で強く感じました。
 なぜなら、従来の「国債はいくらでも発行できる」という論理は、あまり広まりませんでした。
 理論が体系化されてなかったからです。

 現代貨幣理論(MMT)が「経済理論」だからこそ、連日のようにMMT批判も含めて報道されるのでしょう。
 現代貨幣理論(MMT)が輸入されたことと、今夏の参院選で野党が消費税増税反対を掲げたことは、果たして偶然でしょうか?

 過去の「積極財政の理論」を否定する気はありません。しかし体系化された理論というのは、かくも強力なものなのです。

検索ボリュームから見る日本人の消費税への姿勢

 キーワードを選定しているついでに、「消費税増税 反対」と「消費税増税 賛成」で検索ボリュームを調べてみました。(参照:Ubersuggest)

消費税増税: 27100
消費税増税 メリット:1600
消費税増税 反対:390
消費税増税 賛成:170

 大阪都構想というキーワードと比べてみます。
大阪都構想:12100
大阪都構想 メリット:1300
大阪都構想 反対:260
大阪都構想 賛成:計測できず(ゼロに近いから)
※消費税増税 デメリットは見つかりませんでした。

 単純に比較はできませんが、大阪都構想より割合として、能動的なキーワードが少ないです。消費税増税は「既定路線」という諦観があるのでは? と感じます。
 一方で世論調査では、消費税増税反対が6割との報道もあります。

 諦観のなか希望が見えるなら、そのときに世論は動くのかも知れません。今夏の参院選は、野党に大いに期待したく思います。

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Muse
5 年 前

>要するに「国の借金が大変だから、増税が必要。しょうがない」というものです。

これは何も主婦層だけでなく、とかく投票率が高いとされている60代以上の高齢者の多くも全く同じです。これは、政権与党支持派であろうと反対派であろうと同じ。

では、その原因は何かというと、言うまでもなく、新聞、週刊誌、テレビ放送等が、財務省(だけでなく政府与党や、一部を除く野党のほとんど)の主張を鵜呑みにして、あるいは財務省等の主張を忖度して緊縮財政プロパガンダを垂れ流し続けているためです。中学や高校の公民科の教科書や授業も主流派経済学をベースにしているのではないでしょうか?

そのせいで、例の「国の借金1000兆円、国民一人当たりの借金800万円」というワンフレーズが一般国民の脳みそにインプットされており、これが消費増税への賛成が4割もいる最大の理由です。

>現代貨幣理論(MMT)の必要性を、この世論調査で強く感じました。

問題はこのMMTの正当性が世論にいかに浸透するかです。やはり「マスコミが変われば世論も変わる」、「世論が変わればマスコミも変わり、政治も変わる」、されど「マスコミは決して中立公正な報道機関ではない(時の政治権力や、大企業、場合によっては国際世論を通じた欧米メディアなどの外国勢力の意向に従うプロパガンダ機関と化す)」ということなどを考え合わせると、決して一筋縄ではいかない。しかし、そうこうしている間に緊縮財政(&構造改革&グローバル化)が続いて、デフレがさらに長期化すれば日本は没落の一途を辿る。

突破口を見出すとすれば、れいわ新撰組や国民民主党のような積極財政を主張する政治勢力がさらに世論の支持を集め、政権交代か政界再編を促すことを期待するしかなさそうです。そして、その理論的支柱としてMMTを掲げれば、財務省からの逆襲にも対抗できるでしょう。

5 年 前

れいわ新選組の主張は理論的に全く正しいものです。
特に、消費税廃止や最賃引き上げのための政府補助金、奨学金無償化、介護・保育士の公務員化などの財源を国債発行としながらも、インフレ率をあらかじめ定め、そのインフレ率に達したら財源を徴税に切り替えるとしている点は、経済論理を正しく理解している証拠です

野党は山本太郎を首班として一つにまとまるべきでしょう

tq7f2lg1
5 年 前

消費税=輸出企業支援税です。
安倍政権はとっくに内需など見捨てています。
安倍政権にしたら内需の冷え込みなど織り込み済みなんです。