安倍内閣の支持率59%という数字も-日本国民の鈍感力は凄まじい

 安倍内閣の支持率は相変わらず、堅調に推移しているようです。しかし、世論調査で浮かび上がる矛盾が存在し、それは取りも直さず日本国民の鈍感力から来ているのだろう、と思われます。

 最近は支持率増加になる事柄はあまりに少なく、大きなトピックではむしろ、支持率は下落するはずでした。しかし現実には上昇しています。
 一体なぜだ? と思われる方向けに、解説してみたいと思います。

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JNNの世論調査で1.7ポイント増加の59%の内閣支持率

 6月1日、2日に行われたJNNの世論調査で、安倍内閣の支持率はなんと59.1%だそうです。
 内訳は支持1.7ポイント増加、不支持は3.4ポイント減少とのこと。
参照:JNN世論調査、衆参ダブル選「賛成」3割にとどまる TBS NEWS

 なぜ支持率が上がったのか? 私はざっと最近読んだニュースを思い出しても、安倍内閣の行動で支持率が上がる要素が見当たりません。

 「このままでは野党は全滅」小沢一郎の予言はその通り|日刊ゲンダイDIGITALによれば、当該世論調査はこうなのだそうです。

JNNの世論調査(1、2日実施)によると、内閣支持率は59.1%にアップ。前回5月調査から1.7ポイント上昇した。支持する理由は「特に理由はない」がトップの37.2%だというから、わけが分からない。

 支持層6割弱の中の4割近い人が「特に理由はないけど、支持している」のだそうです。支持、不支持合算で100%とすると、22%の人が「よくわからないけど態度(支持)を表明している」という計算になります。

参院選で求める政策は社会保障

 先程のJNN世論調査、衆参ダブル選「賛成」3割にとどまる TBS NEWSでは、参院選になんの政策を求めるか? 重視するか? と聞かれて、1位は社会保障で64%だそうです。

 安倍政権は社会保障を削ってきた政権です。ということは、この社会保障を重視する人たちは「社会保障を削ることを重視している」人たちなんでしょうか?
 多分、そんな事はありません。社会保障を充実させて欲しい人が大半でしょう。

 社会保障を削ってきた政権に、社会保障を充実させてほしいと期待する。矛盾としかいえません。
 計算してみると、「社会保障を削ってきた安倍内閣を支持しつつ、社会保障を充実させてほしいと思っている人たち」が20%強は存在することになります。

今年に入って安倍政権は失敗ばかりしている

 「よくわからないけど支持」という人が20%強ほど存在することは述べました。では支持層の残り40%ほどは、安倍内閣の実績で評価しているのでしょうか?

 残念ながら、今年に入って安倍内閣は失敗ばかりしているというのが、私の評価です。大きなトピックを取り上げていきます。

北方領土問題の顛末

 北方領土問題の解決をぶち上げた安倍内閣ですが、譲歩の上に譲歩を重ねて頓挫というのが、現状のようです。
 外交青書から「北方領土は日本に帰属する」や「日本固有の領土」という表現は消えたようです。

 大まかな問題だけ解説します。
 平和条約とは「国境の画定」と同義です。平和条約を前提とした北方領土交渉とは、北方領土の帰属を決定する交渉となります。
 通常は国境の画定をして、それから平和条約とするのです。しかし平和条約を前提にすると、国境の画定に譲歩する態度になるのです。

例:
日本「平和条約が結びたい」
ロシア「なら国境の画定は譲歩しろ」

トランプへの媚米外交と北朝鮮会談の無条件実施

 安倍内閣は北朝鮮に対して、会談を無条件に実施するなどの方針も発表しました。
 日本には振り上げるべき拳(軍事力)がありません。したがって外交力は北朝鮮より低い、と見積もらなければなりません。

 日朝首脳会談が実現するとしても、それは北朝鮮有利に進むであろうことはほぼ確定です。

 また先日、トランプへの媚米外交が話題になりました。まさにお追従というにふさわしいさまだったようです。
 その割に、トランプからは「(参院選後の)8月に素晴らしい発表がある!」と、日米貿易協定の大幅な譲歩をバラされたようです。
 TPP以上に危険な協定になることは、明らかです。

1-3月期のGDPは赤点の輸入減によるプラス

 速報値が発表された1-3月期のGDPも、内容はひどいものでした。
 詳しくは1~3月期GDP速報で外需ズタボロ・民需も減少 消費税増税など論外を読んでいただきたいのですが、大まかに解説します。

 簡単にいえば、(不景気で)輸入が減ったので、輸出や個人消費や民間投資などが軒並み減少しても、輸入がもっと減ったのでGDPは上がった、という話になります。
 家庭でいえば所得は減ったけど、節約してあまり買い物に行かなかったので、貯蓄額が増えたという感じでしょうか。

日本国民の驚くべき鈍感力と矛盾

 良いニュースも紹介したいのですが、安倍内閣になって政治関連で良いニュースはあまり見ません。経済にしても同様です。
 端的にいえば、悪いニュースしかほぼ聞かないのです。

 しかし安倍内閣の支持率は堅調です。なぜでしょう? 私は日本人が鈍感になったからではないか? と診断しています。

 鈍感力とは何でしょう? 「鈍感力」の意味と鍛える方法・メリットとデメリット-自分磨きでモテたいならuranaruによれば、こうです。

鈍感のメリット、立ち直りが早い、色々なことを言われてもすぐに忘れることができるといった点から、どんな時もくよくよせず、へこたれずに、物事を前向きに捉えていく力のことが「鈍感力」と言えます。

 媚米外交も、北方領土も、消費税増税も、不景気も、嘘も忘れ、安倍内閣を前向きに捉えていく力が「日本国民の鈍感力」と定義できるでしょう。
 ただし……多くの矛盾を放置したまま、という前置きをつけねばなりません。

 嘘は民主主義にとって敵です。なぜなら、嘘がまかり通れば民主主義は死に体になるからです。では日本はどうなのか? この記事を読んでいる「鈍感ではない読者の皆様」でしたら、答えも明白でありましょう。

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Muse
5 年 前

>しかし安倍内閣の支持率は堅調です。なぜでしょう? 私は日本人が鈍感になったからではないか? と診断しています。

個人レベルでは「鈍感力」もメリットになるかもしれませんが、この「鈍感力」なるものが国民全体のメンタリティーとなってしまったら、とりわけ、時の政治権力がいかに醜悪極まりないものであったとしても、それに唯々諾々と従うような国民ばかりになったとしたら?

そのような国民は、もはや「鈍感」などという生易しいフレーズで形容し得るレベルではなく、それこそ「奴隷根性」が骨身にまで染みついた主体性ゼロの状態にあるといえます。あえて過激な言い方をすれば、今の(大多数の)日本国民は、国が没落する事態をただ傍観するだけの、もはや「主権者」の名にも値しないほどの救いようのない最低最悪の愚民の群れだということに尽きます。

このまま国民大衆が目覚めない限り、適菜収さんが指摘するように、日本国民のマジョリティーと化した「B層」が祖国日本を滅亡に追い込む日もさほど遠くないと感じます。

Reply to  Muse
5 年 前

『「奴隷根性」が骨身にまで染みついた主体性ゼロの状態』
『救いようのない最低最悪の愚民の群れ』

ねえ、大半の人はそれぞれその人なりに一生懸命生きているんですよ。
そんな人たちをこんな風に言ってしまうのってどうなの?

安倍政権の支持率が高いのは、『醜悪極まりない』と思ってないからでしょう。民主党政権の時はちゃんと支持率落ちたのだから、何だっていいと思っているわけでないのは明らかでしょう。

Reply to  高橋 聡
5 年 前

いつでも政権を支持するわけではないと言ってるだけです。

阿吽
5 年 前

そもそも・・、

年金を引き下げなきゃいけない好景気ってなんなんでしょうね・・・。

普通、好景気だったら・・、「今は景気が良いからよおし、年金の支給額もアップしちゃうぞおww」・・ってなるんじゃないかと思うんですけどね・・・。

それを引き下げなきゃいけないって・・、それってほんとに好景気なんですかね・・・。(好景気ではない)

,
>嘘は民主主義にとって敵です。なぜなら、嘘がまかり通れば民主主義は死に体になるからです。

このとおりですね。

これを理解していない人があまりにも多すぎる・・・・。