現代貨幣理論(MMT)とリフレ派理論は正反対 需要と供給の捉え方


 先日、みぬさ よりかずさんが、非常に興味深い記事を書いてました。上念司のMMT批判 | 「国家戦略特区」blogですが、概要は以下です。

  1. 上念さん(リフレ派)がMMTを批判している
  2. リフレ派を批判しつつ、MMT批判は無理(主流派経済学を批判しつつ、ケインズを批判するようなもの)
  3. そもそも、藤井聡さんや三橋貴明さんより、進撃の庶民のほうがMMTに詳しいじゃん

 私は上記の主張、至極まっとうと思います。
 理論的にも、現代貨幣理論支持者(MMTer)はリフレ派を支持しませんし、リフレ派はMMTを支持できません。

 この非常に当たり前なことを、本日は解説してみたいと思います。

現代貨幣理論の信用創造は「借りて使う」が前提条件

 現代貨幣理論(MMT)では、貨幣が銀行(市中銀行・中央銀行)で創造されると説明します。簡単にいえば、誰かが借り入れたときに、銀行預金が創造されるのです。
参照:信用創造とは?わかりやすく図解で解説 イングランド銀行公式見解も参照

 私が作成しました、信用創造の図が分かりやすいかと思いますので、掲載しておきます。下記は民間銀行の例です。

 上記の図で、借りたけど使わない、ならば利息を除けば100万円をそのまま返して貨幣は消滅します。

リフレ派の「原資さえ用意すれば、誰か借りてくれる」理論

 貨幣は基本的に、借りる=何らかの使用目的がある、です。
 端的にいえば「資金”需要”」の有無が、信用創造には大切です。現在のように「政府は緊縮財政する=資金需要がない」なら、政府と日銀による信用創造は行われません。

 リフレ派の理論はどうであったか?
 「原資さえ豊富にあれば、民間が”借りるはず”だ」というものです。金融緩和で、日銀当座預金に超過準備高が豚積みになっています。

 これは「貨幣さえ供給すれば、(誰かはわからないけど)誰かが借りる」という理論です。
 完全に新古典派経済学のセイの法則(供給すれば、需要される)です。

 現代貨幣理論(MMT)が”資金需要”を前提にしているのに対して、リフレ派の理論は”供給”を前提にしているのです。
 金貸しがいくら貸したがっても、借りる人がいなければ成り立ちませんよね?

 新古典派経済学が「サプライ(供給)サイド」、ケインズ理論が「オンデマンド(需要)サイド」といわれるのはこのためです。
 現代貨幣理論(MMT)はオンデマンドサイドです。したがって、主流派経済学やグローバリズムを批判しつつ、現代貨幣理論(MMT)を批判するというのは、理論的には不可能です。

 このような珍妙な方は「自分の考えた最強の経済学」を発表していただくか、供給、需要以外の「第三の経済学」を発表するしかないのです。
※そんなものは、存在しませんので、発表したらノーベル賞ものかもしれません。

貨幣=負債=信用の意味

 進撃の庶民でも書きましたが、ケインズは信用貨幣論と貨幣国定説を採用していたようです。
参照:センメルヴェイス反射と現代貨幣理論(MMT)への批判の共通点【ヤンの地雷】 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

 なぜ負債を負えるか? 信用があるからです。そして信用があるから、信用創造=貨幣創出が可能になります。

 また貸し理論には大きな欠点があります。
 現代貨幣理論(MMT)では「負債の返済能力=売り上げが立つ=需要がある、が銀行の制約」と定義しますが、また貸し理論では「原資があれば、貸せる」となります。

 ……これ、上述しましたリフレ派理論になってしまうのです。
 リフレ派理論では「当座預金が潤沢だから、貸出能力が上がる! だから貸出(セイの法則により資金需要は無限)が増える!」となります。

 経済的には因果関係が逆行しています。また貸し理論もこの1つにしかすぎません。

 ――ちなみに、上記の理論は手を変え品を変え、進撃の庶民にも幾度か寄稿してますが、本質を理解されることは、中々ありませんでした。
参照:誰でもわかる人間関係貨幣論-貸し借りと社会関係と貨幣-【ヤンの字雷】 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

政府がなぜ、リフレ派理論を受け入れたのか?

 ここまで書けば当たり前なのですが、日本政府はそもそも均衡財政主義です。つまり、新古典派経済学的な価値観で、政策を進めています。

 リフレ派もサプライサイドだとご解説差し上げました。
 リフレ派が安倍政権で受け入れられたのは、新古典派経済学よろしくサプライサイドだったからです。

 日本政府はまだほとんど、オンデマンドサイドの政策を受け入れていません。
 需要をないがしろにしているのです。セイの法則よろしく、供給すれば需要されると思っているのです。

 したがって、「リフレ派が受け入れられたから、現代貨幣理論(MMT)やケインズ理論もチャンスがある」と思うのは早計です。
 金融緩和だってしたんだから、積極財政だって受け入れ余地はあるはずだ! とは、理論的には思えません。

 しかし現代貨幣理論(MMT)には、政府に衝撃を与える可能性があります。
 なぜなら……財務省や主流派経済学者、上念司さんなどが「必死に否定に回る」ほどのインパクトが、少なくともあるからです。

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