いつも通りニュースを眺めておりましたら、以下のような記事が目に入ってきました。
大阪都構想、来年秋にも住民投票へ 自民&公明、大敗で“腰砕け” 松井市長はニンマリ (1/2ページ) – zakzak
報道によると大阪自民党・公明党ともに住民投票に賛成せざるを得ない、ということのようです。また、自民党なども大阪都構想への賛否をゼロベースで考える、とのことです。
事実上、全面降伏に近い状況です。
これから大阪はどうなっていくのか? 大阪都構想の内容から分析したいと思います。
大阪市は消滅し、特別区が設置される
総合区は公明党の案でした。大阪市を残しつつ、大きな総合区へ再編するという案だったかと思います。
大阪維新の会の案は大阪市を解体し、4つの特別区に再編するものです。
おそらくこのままでは、大阪維新の会の都構想案が通ることになるでしょう。
本稿では大阪維新案を主に、大阪都構想と表現します。
大阪市役所という1つの役所でやっていた仕事のうち、住民サービスは大阪市が消滅するので、特別区に任せられます。
1まとめにしていたものを、4つの特別区ですることになるので、当然ながら人員は”増える”のです。
逆に広域行政は大阪府に、権限、予算ともに奪われます。
大阪府に一元化するので、効率が良くなるのでは? と思いますが、そうでもありません。大阪市は地権関係が非常に複雑だそうで、ノウハウがないと開発が難しいのだそうです。
当然ながら住所も変わります。……銀行や郵便局、アマゾンなどのネットサービスの住所を、変えるのも手間です。
私、これが一番いやかもしれません。
大阪都構想が可決されたとすると、混乱は数年にわたる?
大阪市の解体、4つの特別区への再編は、法協定では「文章上の仕組み」ですが、現場ではそうもいきません。
かなりの混乱が予想されます。
住所の変更、権限の変更、予算、ルールの違いなど。大阪市の廃止には、大きなマンパワーが必要になってくるのです。
大阪は2025年、大阪万博を開催します。大阪都構想が今年秋の住民投票で可決されたとして、施行は2020年からになるでしょう。
そして数年は、大阪都構想の実行に向けてマンパワーを使わなければなりません。
大阪万博に本当に支障はないんでしょうか? これで「ない」と断言するほうがおかしいでしょう。
大阪都構想は”失われた20年”の構造改革と一緒
日本は1997年以降、失われた20年といわれるデフレに陥りました。2000年代初頭から狂ったように、規制緩和と構造改革を推し進めました。
その結果は、1997年に比べて平均所得は年間で50万円減、世帯収入では130万円減ともいわれます。
大阪都構想は完全に、単なる構造改革です。
日本が凋落してきたように、大阪都構想の結果は確実に「大阪の凋落の加速」につながることでしょう。
そもそも……システムを変えるだけで、豊かになれるなんてことはありません。
何を目指して、どのようにシステムを変えるか? 改善するか? が問題なのです。システムの変更は単なる手段です。
そして大阪都構想は、構造を変えることが目的化しています。手段と目的を取り違えたとき、たいていはろくでもない未来が待っています。
大阪都構想は止められないのか?
私は大阪都構想関連の記事を、2015年も、そして今回も書き続けております。
2015年に大阪都構想が止められたのは、ある意味で奇跡です。
そして奇跡というのは「めったに起こらないから」奇跡なのです。
私事で恐縮ですが、私の周りのブロガーはもはや「疲れている」人が多いです。2013年から安倍政権のグローバリズムを批判してきたにもかかわらず、状況は留まるどころか、加速する一方です。
多くのブロガーがやる気をなくすのも、致し方ないとも思います。
このような疲弊した状況で、大阪都構想が止められるか? と聞かれれば「おそらく無理だろう」と予測します。
大阪維新の会がダブル選、統一地方選挙で大勝利したのは先日。
住民投票があるであろう秋までは、もう数か月しかありません。
反大阪都構想の大阪自民、公明両党も腰折れ気配。
これで「止められる」と判断するほうが不思議です。
しかし止められるかどうか? と、私が大阪都構想に抗うかどうか? はまた別の話です。
最後の最後まで、反大阪都構想の立場から、大阪都構想を解説差し上げたいと思います。