ケインズ理論と現代貨幣理論(MMT)の共通点、および新自由主義の定義

ご存知、ジョン・メイナード・ケインズ

 MMTが、メディアに取り上げられるようになって久しいです。
 なぜ主流派経済学(新古典派経済学)が、これだけMMTを攻撃するのか? にはいくつか理由があります。

 1つは三橋貴明さんなどがいうように、MMTが単なる事実を理論化したものだからです。もしくは中野剛志さんがいうように、信用創造を説明したものだからです。
※じつは新古典派経済学では、信用創造が理解されていなかった。

 私はもう1つ、主流派経済学がMMTを攻撃する理由があるように思います。
 ケインズ経済学の復活を認められない、という理由が。

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ケインズ理論と現代貨幣理論(MMT)の理論的接合点

 複雑な理屈ではなく、端的にご説明差し上げます。

 ケインズ理論の概要は、「不景気なら国債発行をいくらでもしたらいい」というものです。ケインズの正統的な後継者である、アバ・ラーナーの機能的財政論が、それを示しております。

 現代貨幣理論(MMT)によれば、貨幣と国債は同質のものです。
 そしてスペンディング・ファースト(支出が先で、徴税は後)という、事実を示します。

 スペンディング・ファーストは、すなわち「徴税は財源確保のためではない」を示します。
 なぜなら、ゼロ状態から考えるのならば、政府支出が先にないと、徴税そのものが「できない」からです。

 MMTでは貨幣という数字側から、需要を把握します。
 民間による信用創造が活発=資金需要が活発=需要が大きい=インフレ加速懸念、です。
 ゆえに政府の徴税で、通貨を消滅させて、需要を抑えるわけです。
 逆は当然デフレや不景気です。

 貨幣と国債は同質である、と申し上げました。ケインズやアバ・ラーナーの理論を通貨に置き換えると、MMTとほぼ同じことを述べているのです。

 ケインズやアバ・ラーナーを支持しつつ、MMTを敵視するのは、じつはケインズ理論や機能的財政論の”本質”を理解していないと、告白しているに等しいのです。

2つの信用創造の経路と関係

 信用創造は、銀行によって行われます。中央銀行も、銀行ですからお間違いなきよう。
 中央銀行を統合政府とみなすなら、民間銀行と政府によって信用創造は起きている、とも表現できます。

 政府と民間、この2つで「別々」に信用創造は起きています。

 民間銀行の信用創造が活発=民間の負債が増加している=民間需要が活発、というわけです。
 この場合、行き過ぎればインフレ加速になりますので、政府は徴税によって需要を抑えるわけです。

 逆に、仮に民間銀行が又貸しだったとしましょう。
 この場合、政府負債=民間資産以上の貸出は行えないはずであり、預貸率は100%を超えるはずがありません。
 したがってバブルや好景気は「起こらないはず」になります。

 この又貸し議論の帰結、どこかで見たことはありませんか? そう、「貨幣は中立」という新古典派経済学の議論そのものなのです。

 よく、ケインズ理論でいわれる「穴をほって埋めるだけでもいい」は、「実物を生産しなくても良いから、不景気には民間に貨幣(政府支出=政府の需要)を供給しろ」という例えです。

 デフレや不景気のときは、民間の信用創造(=投資需要)が不活発なので、政府が信用創造をする、ということです。

新自由主義(ネオリベラリズム)の定義

 現代貨幣理論(MMT)は、ケインズ理論と守備範囲は異なるものの、ほぼ同質であると議論しました。
 国債を貨幣に置き換えれば、ほとんど同じ議論をしていることになります。

 ちなみに、ケインズ理論は、クナップの貨幣国定説を支持しています。その概要はこうです。

クナップは金属主義とは異なり貨幣国定説(反金属主義)、すなわち国家が自国の通貨を独占的に支配し、独自の市場を作り出し、課税もしくは法的に強制力のある借金を通じてその通貨を要求するという貨幣制度を提唱した

 上記はもろに、MMTの租税貨幣論そのまんまです。

 ネオリベラリズム(新自由主義)の定義は、本質的には新古典派経済学に依拠することです。
 新古典派経済学とは、物々交換を前提とした理論です。なぜなら、理論の中に貨幣が入り込む余地が無いからです。

 新自由主義が均衡財政を掲げるのも、信用創造や国債、貨幣が分かっていないからに他なりません。

 新自由主義やネオリベラリズム=物々交換経済学=貨幣が論じられない、という定義が可能です。

 だからこそ、新古典派経済学や新自由主義にとって、MMTは都合が悪いわけです。

MMT波及=ケインズ理論の復活

 ここまで論じれば、なぜMMTerが機能的財政論を支持するのか? がご理解いただけたでしょう。
 そして、新自由主義者や主流派経済学が、MMTを拒否するかも。

 MMTが波及すると、ケインズ理論が復活することにもなります。新古典派経済学としては、せっかく葬ったケインズ理論が、復活することになるのですから、忌々しいとも思うのでしょう。

 途中で申し上げました通り、ケインズ理論を支持しながら、MMTを拒否することは、ケインズ理論の本質を理解してない、と自ら告白することに等しいのです。

 常識的に考えても、反緊縮・積極財政を支持している人たちが、MMTを支持したり、興味を示したりするのは、MMTが反緊縮・積極財政派にとって理論的支柱となり得るからです。

 理論的に考えても、MMTは新古典派経済学とは接合不可能なのは、少し考えれば理解できることです。
※新古典派経済学=物々交換経済学ですから、現代貨幣理論(MMT)の入る余地がないのは、明白でしょう。

 ケインズ理論や機能的財政論は、貨幣経済の資本主義社会において、活きた経済学でした。そしてMMTもまた、現実を解釈した活きた学問です。
 現代貨幣理論(MMT)を学べばおのずと、ケインズ理論へ接合されることになります。

 MMTの波及=ケインズ理論の復活なのです。

ケインズという人物の余談

 ケインズは経済学者として名高いですが、投資家でもありました。
参照:失敗から学んだ投資家ケインズの足跡|マネー研究所|NIKKEI STYLE

 アメリカのニューディール政策を発案した人物、マリナー・エクルズもまた、実業家であり銀行家でした。
※ニューディール政策は、ケインズが雇用、利子および貨幣の一般理論を発行する前に実行されている。

 ケインズやエクルズは、実社会で経済と触れ合っていたからこそ、活きた学問や政策を行えたのでしょう。

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2 Comments
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阿吽
5 年 前

民間でもお金が想像できて、政府と民間の創造したお金で世の中はごちゃごちゃしてるのですね。

わたしなんかは学生時代とか昔はそれこそ、国内に出回っているお金って言うのは日銀が発行してるお札が全てだと思ってました・・。

んなこたあないってことですね。で、民間でお金が膨れ上がった場合は、政府が徴税でそれを冷やすと・・・。

で、今日の記事を見てて思いましたのは・・、80年代のバブル全盛期の頃なんかは、政府はガンガン税金を重くしておけば良かったんでしょうか。