MMT批判 経済評論家の藤巻健史参院議員はお金を知らない

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 MMT批判は昨今、アメリカでも大きいようです。いわく「ブドゥ―教」「異端」等々。
 先日、日本でも経済評論家・参院議員の藤巻健史議員が、MMT批判の言説を発表しました。

 はたしてMMTは異端でブードゥー経済学なのか? それとも現実を捉えた、天動説から地動説へのコペルニクス的転換なのか?
 経済評論家・参院議員の藤巻健史議員の記事から、議論していきたいと思います。

経済評論家・参院議員の藤巻健史議員の記事

 MMT批判 臨時版 | 藤巻健史 オフィシャルウェブサイトにて、藤巻健史参院議員は、MMT批判を展開されておられます。
 重要な部分のみ、引用します。

今朝(4月13日)の日経新聞朝刊です。

「主流派経済学者からはハイパーインフレのリスクを軽視していると批判が広がる」

「MMTは「通貨発行権のある国家は財政破綻しない」と主張するが、高インフレは生活者の預金価値を毀損し、実質的に国の破綻と同じ結末となる。」―>まさに私が「異次元緩和という財政ファイナンスを行えば国は破綻しない(=究極の財政再建)だが、(ハイパーインフレで)国民生活は地獄」と言っているのと同じです。

※ふと文字、マーカーなど筆者編集

 日経新聞の記事は、財政赤字容認、米で論争 異端「MMT」左派が支持:日本経済新聞です。
 ここでいくつかの論点が浮かび上がります。

  1. ハイパーインフレとは、どうやって起こるのか?
  2. 財政ファイナンスとはなにか?
  3. MMTは本当に”異端”か?

 この3つに論点を絞り、検討していきます。

ハイパーインフレとはなにか? どうしたら起こるのか?

 主流派経済学はとかく、「財政赤字でハイパーインフレだ!」と主張します。
 ハイパーインフレの定義は、国際会計基準で定められています。3年間累積で100%以上のインフレ、年率約26%のインフレが、ハイパーインフレと定義されます。

 先に反論を書いておきます。1980年(44兆円)~2019年(856兆円)で日本の政府純債務高は、20倍になっていますが、財政破綻の兆しはありません。
参照:日本の政府債務残高の推移 – 世界経済のネタ帳

 1965年(2000億円)~2012年(700兆円強)の比較では、国債残高がじつに3500倍!! です。
参照:長期経済統計 財政 – 内閣府

 上述で示した通り日本では、ハイパーインフレとやらは、自国通貨建て国債が3500倍になっても、起きないようです。

ハイパーインフレが起こる理由

 ハイパーインフレは2つの理由で起こります。

  1. 政府が不安定で、政府発行貨幣が弱い場合
  2. 戦争などの破壊、ないし偏った供給力で、通常物資が生産できない場合

 1.はジンバブエ、帝政が終わったロシアなどが有名です。
 政府が不安定な場合、政府権力の行使も不安定になります。したがって通貨発行権及び徴税権の行使も不安定になり、法定流通貨幣(通貨)が下落するという状態になります。

 2.は戦争で焼け野原になった日本で起こりました。供給能力が極度に低下し、需要を賄えないために物価が高騰するのです。

 財政赤字は政府権力を、極端に弱めるでしょうか? それとも財政赤字が膨らむことで、焼け野原にでもなるのでしょうか?
 そんな訳はありません。自国通貨建て国債で、ハイパーインフレを起こそうとすると、日本なら100兆円/年×3年以上の新規国債発行が必要でしょう。
※70兆円×乗数効果2(+現在の新規国債発行額)で、100兆円。経済効果140兆円で、需要が28%増加です。ギリギリハイパーインフレになるかもです。

 MMTの主張は「インフレが行き過ぎたら、財政・金融引き締め」です。ハイパーインフレになりようがありません。

財政ファイナンスの意味は?

 finance(ファイナンス)の意味は日本語で「(公的な)財政、財務、財政学、財源、財力、歳入」だそうです。
参照:financeの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

 日本では「ファイナン(カタカナ)=資金調達」のことだそうです。
参照:ファイナンスとは – コトバンク

 藤巻健史参院議員の記事、該当部分を引用します。

まさに私が「異次元緩和という財政ファイナンスを行えば国は破綻しない(=究極の財政再建)だが、(ハイパーインフレで)国民生活は地獄」と言っているのと同じです。

 「異次元緩和という財政資金調達を行えば」という意味に、赤字部分はなるのでしょう。

異次元緩和という資金調達で、インフレになるか考えてみよう

 先に結論だけ書きます。なりません。どうしてか?
 「異次元緩和で資金調達」とは「日銀が国債を大量に引き受ける」ことと同じ意味です。

 現在、日銀は国債400兆円強を引き受けていますが、デフレに近い状態です。
 その仕組を簡単に、解説してみます。

 仮に、日銀が国債残り全て引き受けるとしましょう。
※思考実験ですので、民間銀行は脇に置きます。簡略化してます。

 日銀は国債を追加で600兆円ぶん引き受け、600兆円という”数字”を、政府が日銀に持っている当座預金に書きます
 日銀のバランスシートは「資産の部(国債)+600兆円」「負債の部(当座預金)+600兆円」となります。
 一方、政府は逆で「資産の部(当座預金)+600兆円」「負債の部(国債)+600兆円」です。

 当然、政府は資産の部にできた600兆円を、支出するかしないかは、政治の問題です。
 数字が書き換わっただけで、なぜハイパーインフレーションとやらになるのでしょう? 政府支出(需要)も増えていなければ、日本の供給力も減っていません。

 仮に民間銀行を入れて思考実験しても、民間銀行は(民間銀行にとって)国債という資産が、当座預金という資産に変わるだけです。
 異次元緩和で財政ファイナンス、とやらではハイパーインフレは起こりようがないのです。

お金を知らない経済学と、お金を知るMMT。どっちがおかしい?

 通貨=日銀の負債、はMMT(現代貨幣理論)の初歩です。バランスシートはその次くらいでしょうか? いえ、先にバランスシートかもしれません。
※独学なので、どっちが先か? はご勘弁ください。
 MMT自体は、現在の金融構造を現実として分析するだけです。

 MMTでハイパーインフレーション! といってしまうのは、藤巻健史参院議員がお金の本質を知らないからでしょう。
 お金の本質がわからないのに、ハイパーインフレーションやデフレ、インフレがわかるはずはありません

 じつは主流派経済学も、お金のことは知りません。新古典派経済学では、そもそも貨幣とはなにか? すらあまり論じません。

主流派経済学は、物々交換を論じていた

 新古典派経済学による貨幣へのアプローチによればこうです。

 一般均衡論の確立に最も頁献した新古典派経済学者の一人であるF.ハーン、新古典派経済学が一般均衡モデルにおいて貨幣をまともに扱えていないことを次のように告白している。

告白内容は、専門家でもなければ、理解できないでしょう。興味のある方は、上述URLからどうぞ。

 一般均衡モデルとは、新古典派経済学・主流派経済学の根幹にある理論です。
 すごく簡単にいえば、主流派経済学は物々交換をずっと研究してきたのです。

 経済学者ダドリー・ディラードは、主流派経済学を「物々交換幻想」とまで評したようです。
参照:富国と強兵(中野剛志さん著)セイの法則と一般均衡より

 経済評論家である藤巻健史参院議員だけでなく、基本的にほとんどの経済評論家、(主流派)経済学者が、じつは「お金を知らない経済オンチ」なのです。
 お金を知らなかった主流派経済学者たちが、MMTというコペルニクス的転換に対して、ブードゥー教経済学! 異端! と批判を繰り広げているのが、実態なのではないでしょうか。

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