
多くの方は「日本には1000兆円の借金がある」「将来、財政破綻するかもしれない」と思い込んでいるのではないでしょうか?
そんな方たちのために、そして「財政破綻論は嘘だと知っているけど、いつもうまく説明できない」という読者のために、今日は財政破綻論の主な主張に対しての反論を、Q&A形式でまとめてみました。
題して「財政破綻論5つの嘘」です。ご活用いただけたら幸いです。
財政破綻論の嘘1 日本は債務超過で財政破綻する!

日本の国債は1000兆円超えた! 債務超過で将来的に、破綻するんじゃないか?!

通貨発行権のある政府が、自国通貨建てで債務超過に陥ることはありえませんし、財政破綻もしません。
1000兆円という数字を見ると、途方も無いように思えますが、日本の国債は全部、円建てです。通貨発行権は誰が持っているのですか? 政府です。
日銀は政府のいち機関と見なされています。政府がその気になれば、1000兆円硬貨を発行して、国債を瞬時に償還することも可能です。
もっとも……通貨(円)は日銀の負債、国債は政府の負債なので、負債を負債で償還するだけですが、国家にはそれができるのです。
※「誰かの負債=誰かの資産」なので、通貨は国民の資産ですし、国債も民間の資産です。資産と資産を交換されただけなので、誰も損はしませんよね?
豆知識ですが、国債は「償還する」と表現し、「返済する」とはいわれません。なぜでしょう? 政府(日銀)の負債である通貨(円)に交換するだけなので、「償還する」と表現するわけです。
財政破綻論の嘘2 国債の利払いが財政を圧迫する!

財政破綻はしないかもしれないけど、国債の利払いで財政を圧迫するのでは?

金融緩和で、すでに国債の半分は日銀が持っています。つまり、日銀引受で国債金利のコントロールは可能なんです。
まず、日銀は政府のいち機関です。仮に財務省が国債を保有していても、金利の支払いは必要ないでしょう? 実際には体裁上、政府は日銀に国債の利払いをしてますが、本当は必要ないんです。
日銀が国債を(いくらでも)引き受けられる、というのは異次元の金融緩和で証明されました。その影響はまったく、出ていないのですから。
将来、国債の金利が上がったとしても、日銀引受で金利はコントロール可能です。もっとも……0.1%程度の金利の現在に、心配することでもありませんが。
財政破綻論の嘘3 ギリシャのようになる!

でもマスメディアや有識者は、日本がギリシャのようになるといってますよ?

ギリシャはユーロという共通通貨を使用してます。つまり通貨発行権を持っていないんです。
通貨発行権を持つ日本と、通貨発行権を持たないギリシャを比較すること自体、おかしな話です。
ギリシャはEUのいち員で、ユーロという共通通貨を使用してます。裏を返せば、自国で通貨を発行できないのです。
これは日本でいえば、地方自治体のようなものです。地方自治体と政府を比べて、「政府は財政破綻する!」とか、比較対象がおかしいのはご理解いただけるでしょう。
財政破綻論の嘘4 ハイパーインフレになる!

ふん! ちょっと待て!
このまま日本の借金が膨らんだら、ハイパーインフレーションになるだろう!

……なりません。(何この、ドヤ顔)
デフレとハイパーインフレの間には、いくつものバリエーションがあります。
インフレが行き過ぎたら、増税や金融引き締めなどで、インフレ対策をすればいいのです。
そもそも現在はデフレ、またはそれに近い状態です。そんなときに、インフレの心配をするのは、雨が降っているのに、雨乞いをするようなものです。
確かに国債発行の制約は、過度のインフレですが、デフレのときに国債発行額を絞る理由にはなりません。
デフレからハイパーインフレまでには、無数の段階が存在しますので、インフレになってから対策すれば十分です。
財政破綻論の嘘5 借金なんだから、返済しなくちゃならないの!

しかし国債も借金でしょう? 返済しないといけないんじゃ?

いいえ、国債は返済ではなく償還と表現されます。
日銀の負債である通貨と、政府の負債である国債を”交換”するだけですから。
1900年から現在まで、日本の国債残高は3000倍以上ですが、これで返済しているといえますか? 返済の必要は実質的にはないんです。
なぜ、国債は”償還する”と表現されるのでしょう? 返済する、ではないのでしょう? ここは面白いところなので、ちょっと詳しく解説しましょう。
債務の反意語は債権です。負債の反意語は資産になります。
「誰かの債務は、誰かの債権」「誰かの負債は、誰かの資産」というわけです。
債権は「いつか元本も返してもらう契約」によって、「返済を請求できる権利」です。ですので債務は「返済が法的に請求される負債」と定義可能です。
では資産は? 「誰かに返済を請求するもの」ではないでしょう? とすれば負債とは「返済が請求されるもの」という意味は、本来的にはありません。
※債務(法律上、返済義務のある負債)だった場合、請求されるわけです。
※負債とは本来、会計学上のバランスシートの概念です。債務は法律学上の概念。
債務の返済は通常、通貨によって行われます。バランスシート上で、民間ならば得た通貨は資産側に計上されるので、負債側の債務を資産で支払うわけです。
ところが政府は少し違います。国債も通貨も、政府(と日銀の統合政府)にとっては”負債”なんです。
ですので、返済(資産で債務を返す)にはならず、「国債を償還する」という言葉になります。
まとめ 財政破綻の心配をする必要はまったくない
いろいろと見てきましたが、日本は財政破綻の心配をする必要性が全くありません。財政破綻というフィクションの心配をするくらいなら、隕石や地震の心配のほうが現実的です。
財政破綻の心配がない以上、インフレ以外に政府支出増大にも制約はありません。
社会保障費の増大? 国債で賄えばOKです。
防災・減災? 国債発行でOKです。
消費税? 廃止で全く問題はありません。
デフレに近い状態なのですから、どんどん国債発行をして社会保障への対応、消費税廃止、公共事業を進めて良いのです。
※インフレが行き過ぎたら、私は「インフレが行き過ぎているので、緊縮財政と金融引き締め!」と主張します。