本日は初心者向け、というより一般向けな解説記事です。題して「1000兆円誰に借りてるの?」です。
後半部分では、やや詳しめの解説などもしていきます。
国の借金1000兆円、誰に借りてるの?
よく新聞報道などでは「日本の借金1000兆円突破! 国民一人あたり850万円の借金!」などと書かれます。テレビに出ている有識者も物知り顔で「このままでは日本が財政破綻する!」といいます。
本当でしょうか? 結論からいえば「揃いも揃って、ありえない嘘をついている」です。
借金するには、貸す人が絶対に必要です。貸す人がいないのに、借りられるなんて魔法はありえません。
では質問。日本は誰から借金してるの?
この問に答えられる一般の方は、あまり多くありません。進撃の庶民、三橋貴明さん界隈を読んでいる方ならともかくとして。
国の借金が1000兆円突破だ! 大変だ!
それって、誰から借りてるのかご存知ですか?
……えっ? そういえば考えたことがなかったなぁ
じつは日本政府が貸して、日本政府が借りてるんですよ。
自分で貸して、自分で借りてるんです。
上記のやり取りで、頭が混乱された方も多いでしょう。
しかし事実として「日本政府は外国からや、大富豪から借りているわけではない」のです。強いていえば、日本政府の国債(円建て)の債権者は大部分が日銀、そしてついで民間銀行となっています。
通貨発行権って誰が持っているの?
日本の国債は100%円建てです。では円という通貨発行権を持っているのは、一体誰なのでしょう?
答えは日本政府です。実際に紙幣の発行を担っているのは、日銀ですけども、政府も硬貨は作れます。
日銀の45%の株式が上場されているので、民間銀行的に勘違いされる方もいらっしゃいますが、日銀の株券には様々な制約がついています。
実際には株主が、日銀に関与できないようになっているのですね。
日銀の株式の55%は政府が保有しています。
だから日銀は政府のいち機関として捉えるのが正解です。こういう解釈を「統合政府(論)」といいます。
え? じゃあ国債を借りるためのお金は、その統合政府で作れるの?
そのとおりです。だから国債は政府が貸して、政府が借りているんです。
自分で貸して、自分で借りたものを借金というかどうか? は置いても、金額はいくらでも問題ないんです。
財政破綻というのは、自国通貨建ての国債では起こらないということになります。――よほどの政治的理由、革命などがない限りですが。
※インフレによって国債発行は制約されます。逆にいえば、過剰なインフレ以外ではいくらでも日本政府は支出が可能です。
最近話題になっている現代貨幣理論でも説明できる
現代貨幣理論はマスメディアでは、現代金融論として報じられています。英語ではMMT(モダンマネタリーセオリー Modern Monetary Theory)と呼ばれる議論です。
一般的には「自分たちが銀行にお金を預けて、それを銀行が融資したりして運用している」と思っていますよね?
これは大間違いだったりします。
参照:MMT(現代金融理論)のエッセンス! ウオーレン・モズラー「命取りに無邪気な嘘 1/7」 – 道草
いちから国を作ったとしてみよう
あなたはいちから、国を作ったとします。作ったばかりなので、当然ながら通貨もありません。
あなたの政府は支出もしていないので、国民も通貨を持っているはずがありません。
あなたはまず中央銀行を作り、中央銀行に通貨を発行させます。通貨を発行させるといっても、現金はあまり必要ありません。
※日本でも実際に流通している通貨(口座移動含む)に対して、現金は50分の1程度
そして政府は国債を発行して、中央銀行に通貨を貸してもらいます。
国債も通貨も、口座上の数字を変えればいいだけです。
そして国債を民間に支払うために、仕事を発注して政府小切手で代金を支払います。この政府小切手は民間銀行→中央銀行の順で民間企業に支払われ、民間企業の口座には仕事の代金が書き込まれます。
あれ? 政府が支出しないと、通貨って流通しないの?
そのとおりです。政府が支出するから、通貨が創造されるんです。
これから考えると、民間の貯蓄や資産は、政府の支出からでしょう?
政府支出がないと、そもそも民間の資産は形成されません。したがって預金だって生まれません。
※民間銀行の信用創造、貨幣創造は話がややこしくなるので、省いています。
「貯金したから、それが運用されている」というのは、間違いでした。政府が数字を書き、日銀が数字を書き、民間銀行が数字を書くことで、貨幣は「創造された」のです。
※実際に、銀行は預金ゼロでも融資が可能です。通帳に書き込むだけですから。(これを万年筆マネーといいます)
ウォーレン・モズラーに聞いてみよう
ここまででなんとなく「あれ? 日本(政府)の借金1000兆円って別にたいしたことないんじゃ……」と思っていただけたら、大成功です。実際に大したことはありません。
だって、1900年からアメリカだって国債残高3000倍、日本も同じくらいです。明治維新からなら5000万倍! ですよ?
でも財政破綻していません。
新聞やメディアで「明治維新から借金が5000万倍だ! 財政破綻する!」という報道は、見たことがありますか? 戯言なのです。
ではウォーレン・モズラーに聞いてみましょう。
命取りに無邪気な嘘 その1:
政府は支出するために、まず税金や借入によって資金を調達しなければならない。 あるいは、政府支出は、徴税能力と借入能力に制限されている。事実:
MMT(現代金融理論)のエッセンス! ウオーレン・モズラー「命取りに無邪気な嘘 1/7」 – 道草
政府の支出は、収入には全く制約されない、つまり「ソルベンシー・リスク」というものは存在しない。言い換えれば、連邦政府は赤字の大きさとは無関係に、また税収がいかに少ないとしても、自国通貨を用いた支払いをすることができる。
ウォーレン・モズラー曰く、通貨とはスコアボードのようなもの、だそうです。バスケットのスコアボードを見て「あの点数はどこからきたんだ? 誰が貸してるんだ? 誰の負債なんだ?」なんて人はいないでしょ?
たかだかスコアボードの点数が100点→1000兆点になっただけ、それが本質でありましたとさ。
※通貨発行権を持つ国家、政府の話です。外債(自国通貨建てではない)ですとかは、また別です。個人、企業ももちろん別です。
国の借金の正体については以下の記事もどうぞ。
この記事は多くの人が読むべきです。この知識がないと財務省の借金プロパガンダに丸め込まれて緊縮脳になってしまいます。
できるだけ初心者、初級者向けに頑張って書きました。手間ががががが(笑)
すげーわかりやすい!!あなた天才!