本日はトリクルダウンから「ボトムアップ」へ。活力ある経済の持続のために必要なパラダイムシフト | ハーバービジネスオンラインという、立憲民主党のブレーンである田中信一郎さんの記事を検討、議論していきたいと思います。
明石純平さんについては、みぬさ よりかずさんが書いておられますので、私は田中信一郎さん番をしてみようかな? というお茶目心です。
※本稿はやや辛辣になってしまいましたが、どうぞご了承ください。
ちなみに記事への検討、議論ですので「記事以上のフレームで語る」ことはしません。
※先日、立憲民主党ブレーン田中信一郎の政策提案の検討-反・反緊縮という奇妙さ(1) – 高橋聡オフィシャルブログBacchus(バッカス)-反グローバリズム&LIFEを投稿しましたら、御本人に返信いただきました。大変有り難うございます。ちょっとびっくりしました。
あと、財政の2000年代から等、都合のいい数字をフレームアップしない方が、説得力増しますよ。
とのことですが……記事に「2000年代」と書いてあったから、そうしたのであって、もう少しスケールの大きな議論でしたら、もちろんバブル崩壊から、ないし敗戦後からで書いてます。
そっちのほうが得意ですし……。
トリクルダウンからボトムアップは可能なのか?
例によってトリクルダウンから「ボトムアップ」へ。活力ある経済の持続のために必要なパラダイムシフト | ハーバービジネスオンラインを引用しつつ、議論していきたいと思います。
ひとまず、題名にツッコミを入れておきましょう。トリクルダウンはほぼ起こりませんので、それと対比したボトムアップも、ほぼ起こらないのでは? という疑義です。
トリクルダウンが起こらないのは、トマ・ピケティやアメリカの9割の労働者所得で証明されているのですから、トリクルダウンを対比に出すと、途端にボトムアップも胡散臭くなる気がするのは、私だけでしょうか?
最初の文章を引用します。
所得と人口の減少が民間消費の低迷を導くとの仮説
この仮説は「人々が所得減少により潜在的な消費意欲を満たせていない」という大前提に立ち、人々の消費能力を高める政策を展開します。ただ、人口減少のため、潜在的な消費意欲を満たすだけでは一定の需要増までもたらしても、やがて需要減少になります。そのため、人口減少を踏まえた政策を合わせて展開する必要があります。
まず1つに、人口減少には「先進国での貧困化」という事情があります。それが全てではありませんが、所得が増えれば、出生率も多少は改善するはずです。
その他の説ではお見合いの減少などの、社会的要因ももちろん含まれるでしょう。
しかし人口減少は2050年で1億人になる程度であり、年間で0.1%~0.2%程度でしょう。この「やがて」とは30年後のことでしょうか? 具体性を持って論じるべきでしょう。
参照:厚労省 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/dl/1-00.pdf
年間に数%程度も成長できないのなら、そうなるでしょうね? としか言いようがないおかしな書き出しです。
各政策の抽象度の高さは、旧民主党の再来かつ、よくわかんない
最初にお断りしておきますが、私は安倍政権より、旧民主党政権のほうが「まだマシだった」と思っています。実質所得で言えば、安倍政権は民主党政権より5%ほど下落させていますから。
しかし、民主党政権の悪癖を真似する必要は、まったくないと断言できます。悪いところはなおし、良いところを受け継ぐというのが、真摯な姿勢でしょう。
引用しますが、田中信一郎さんの記事は抽象度が高すぎて、どうとでも解釈可能です。
第一の政策は、収入の壁を取り除く所得政策です。
トリクルダウンから「ボトムアップ」へ。活力ある経済の持続のために必要なパラダイムシフト | ハーバービジネスオンライン | ページ 2
第二の政策は、就労の壁を取り除く共生政策です。
第三の政策は、時間の壁を取り除く労働政策です。
第四の政策は、成長の壁を取り除く市場政策です。
第五の政策は、未来の壁を取り除く環境政策です。
第一の政策は、収入の壁を取り除く所得政策です。
第一から検討してみます。
必要な生活費を確保できる税制・最低賃金等に改善し、家計の消費を拡大します。健康で文化的な最低限度の生活に要する費用に課税しない考え方です。消費性向の高い低所得者の可処分所得が増加するため、民間消費の増加が期待されます。
貧困層に課税しない=減税と明言はされておりませんが、消費税もこれに該当するのだと思います。
通常、税制や経済を理解したものであれば「税の累進性強化、逆累進性のある消費税は凍結ないし廃止」とたった26文字書けば済む話です。
しかも――減税は別に所得の壁を取り除きません。所得から納税する額が減るだけであり、民間消費は今のままだと、トリクルダウン宜しく労働分配されないかもしれないではないですか。
第二の政策は、就労の壁を取り除く共生政策です。
就労を希望する人々の条件を整え、家計の消費力を高め、企業の生産力を確保します。世帯収入の増加に加え、労働力不足による企業の成長機会の逸失を抑制できます。生産側と消費側を同時に強化できる一石二鳥の政策です。
就職訓練やそういった制度と、一体何が違うのでしょう? すでに職業訓練のご案内 | 大阪ハローワークでもやっております。
「条件を整え」とはなんでしょう? 自然に考えれば「労働市場が、売り手市場になること」ですが、そのための方策は1つと示されておりません。
私なら、「国債発行による積極財政と、需要創出による雇用の創出」と書きます。
第三の政策は、時間の壁を取り除く労働政策です。
時間の壁を取り除く労働政策です。長時間労働の抑制と平日休暇の促進により、消費を底上げし、消費ピークを平準化します。平日と休日の需要ピークの平準化により、サービス産業の資本利用率(生産性)の向上が期待できます。一方、多すぎる(と思われる)祝日の減少を合わせて検討する必要もあるでしょう。
長時間労働の抑制には、儲かる(と長期的に見込める)景況感が必要です。ブラック企業なる言葉が出てきたのは、2000年以降でしょう? まあ、それまでも存在したかもしれませんが。
つまりデフレこそが、ワーキングプアや長時間労働の原因ですが、デフレを解消しようという具体策が示されていないわけです。
4~5はもはや論じる価値があるのかどうか? わかりませんので、引用のみしておきます。
第四の政策は、成長の壁を取り除く市場政策です。公正な市場制度・労働制度を構築し、生産性の高い企業の成長を後押しします。公正・透明・トータルコスト最小化(企業・社会・個人)の観点から、総合的に市場のあり方をデザインし直すことが必要です。
「生産性の高い企業」=大企業ですので、資本主義の本音(富の独占)は抑えられないでしょう。トマ・ピケティが論じたr(資本収益率)>g(経済成長)の図式になり、安倍政権と同じ経路をたどることになります。
第五の政策は、未来の壁を取り除く環境政策です。社会の持続可能性を高める投資を促進し、人々と企業の将来展望を明るくします。炭素(エネルギー)生産性を高めることで、労働生産性を改善し、産業の収益性の改善・日本経済全体の成長につながります。
炭素生産性といいますけど、石油も石炭も輸入です。ジョセフ・シュンペーターの論じた技術革新や創造的破壊の意味は、「生産性をあげる」なんて陳腐な提言では、上がりません。
莫大な基礎研究と長期視点(基本、軍事が一番効率が良い)によって、イノベーションは発生しますので、具体性のない議論は意味がそもそもありません。
もう、ツッコミ疲れたので、この稿は終わりで良いでしょうか?
田中信一郎さんvs安倍政権はアプローチの違いではなく、理想論と夢想論の違い-つまり一緒
2Pでは「経済認識とアプローチの違い」として、様々に語っておられますが、そもそも具体論には言及されておられません。
なぜ言及できないのか? プライマリーバランスと、緊縮財政が前提条件になっているからです。安倍政権と大差がありません。
田中信一郎さんのおっしゃる「アプローチの違い」とは、所詮は料理で言えば「顆粒だしを使った味噌汁か、吸い物か」です。
いや……出汁引こうよ。鰹節と昆布で。
仮に私があの記事を書いたとしましょう。5つの提言はこうします。
- 収入の壁を取り除く、累進課税の強化と消費税撤廃
- 就労の壁を取り除く、財政出動と需要創出、および公務員増加
- 時間の壁を取り除く、24時間営業の廃止
- 成長の壁を取り除く、デフレ脱却とJGP(雇用保障政策)
- 未来の壁を取り除く、基礎研究・軍事費の投資と四半期決算の廃止
高らかに主張します。1.は格差是正、2.は日本を好景気に、3.は多少不便かもですが、みんな休めます。4.は人々に仕事を確実に与え、5.はかつての技術立国を取り戻します。
たとえ話ですが、市販では様々な顆粒だし、出汁つゆが売られています。別に全部が全部マズいとは言いませんが、基本は素材から引いた出汁には敵いません。
安倍総理も田中信一郎さんも、「顆粒だしで一番はどっち?」とやっているだけに思えます。だーかーらー! 鰹節使えよと。
※来年には「家庭(ひとり暮らしの男性・女性でも可能)な料理の裏技」、というようなサイトを発足します。簡単で、でも美味い料理を「日々の庶民の食卓に」というわけ。
閑話休題。田中信一郎さんは、財政出動を肯定できる理論を持たない限り、夢想家で終わるのではないか? それは立憲民主党の意図するところなのか? という問題です。
薔薇マークキャンペーンや進撃の庶民と、現在庶民が運動を起こしつつあります。
私も、数十万PVいけばブロガーのインフルエンサーを、確かなノウハウで育てる、という野望があります。(もちろん、積極財政派のみ。緊縮? いくらお金をつまれても、絶対やらん!)
パラダイムシフトが庶民の力で起こせるよう、みなさま頑張ってまいりましょう。
いつでも一揆、反乱をしたのは「庶民」なのですから。
P.S 現実の認識は必要だ
最後に追伸としてですが、予想以上に田中信一郎さんの記事の検証が、辛辣になってしまいました。フワフワした提言、具体性のない政策に思わず、といったところです。
書けと言われれば、おそらく取り上げました記事に対して、卒論並に文字数を使うことでしょう。
※ここはブログです。卒論を求めないでほしいです。そもそも、私は中卒ですしね。(調理師だった)
調理は具体性とイマジネーションが必要です。デートでも一緒でしょう。いい人に「何食べに行く?」と聞いて「なんでもいいよ~」と答えられたら困るでしょ?
んで、実際にいったら文句をいうのではねぇ?
夢想論、理想論が立憲民主党の主流派にならないことを、祈念しております。
※本音は、いい加減に野党が力つけてくれないと、安倍政権が4期目にはいるやん? というところだと思っていただいたら結構です。
>※本音は、いい加減に野党が力つけてくれないと、安倍政権が4期目にはいるやん? というところだと思っていただいたら結構です。
ほんとですね。
安倍政権『程度』があんなに幅を利かせてるのは、間違いなく、野党にもその責任の一端があります。
間違いなく、あります。ていうかそこに気づけ。
ほんと猛省すべきです。
(野党関係の人は、せめて、こっち系の人の話はなんとなく感情的に受け入れられないとでもいうのなら、山本太郎議員等と勉強会をするのもいいかもしれませんね。)(野党系では今一番ホットな議員さんでしょう)
山本太郎さんとの勉強会は、ぜひぜひしてほしいところですね。
講師は経済学者の、青木泰樹先生あたりなら、野党関係者も受け入れやすいと思うのですよね。
>累進課税の強化と消費税撤廃
上記なのですが・・、少し気の早い質問かとは思いますが・・、財政出動が可能になったとして・・、消費税廃止はともかくとしても・・、酒税やたばこ税、自動車税なども、ある意味では廃止をしてもかまわないものになるでしょうか?
所得課税で、経済の調整をするとして、消費課税(酒・たばこ・自動車税等々)は、場合によってはいちりつ廃止でもかまわないものとなるでしょうか。
資産課税等は必要でしょうか?
仮にここからも税を取ると言うことでしたら・・、「経済の調整程度の理由の徴税なら、全て所得課税でまかなえばいいじゃないか。資産からの徴税も、消費税同様廃止か、もしくは減税をしろ」・・という声が上がってくるかもしれません。
そういうのを考えますと・・、財政出動可能な世界では、どの税を利用し、どの税は利用する必要がないということになるでしょうか。
酒税やたばこ税は――個人的には安いほうが助かりますが(笑)嗜好品ですので、据え置きが妥当なんじゃないでしょうか?
自動車税については乗らないもので、詳しくはないのですが、田舎とかですと必須品と聞きますので、このへんは考慮されるべきかな? と思います。
資産課税もどうでしょう? 詳しくないのですが、お答えするのが難しいところです。
また特別会計と一般会計の違いもありますし……考え始めると、泥沼にハマっていきそうです(汗)
基本的には、税制全体を変えるのではなく、ひとまず消費税廃止と所得税の累進性強化、くらいにとどめて、不都合が出てきたらそのたびに漸進的に変えていく、という感じになるのではないか? と思います。
※消費税と、所得税の累進性なら、私は消費税廃止が優先順位が高いと思うので、消費税廃止のみでもいいと思うのです。
税関連は専門性が高くて、私じゃ確たる答えは、ちょっと出せないかもしれません。