立憲民主党ブレーン田中信一郎教授の政策提案の検討-反・反緊縮という奇妙さ(1)

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 本日は野党に目を向けたいと思います。最近は反緊縮の動きがある一方で、反・反緊縮――この言い回しは妙ですが、後述します――の動きもあるとのこと。
 野党では明石純平さん(財政破綻論者)や、ないし田中信一郎教授(経済に疎い)といった方が、どうも緊縮路線を主張しているようです。

 本日は田中信一郎千葉商科大学特別客員准教授の記事や経歴から、経済に対する主張を検討してみたいと思います。

田中信一郎さんってどんな人?

田中信一郎教授は千葉商科大学特別客員准教授をされておられるようで、政治学の博士号を持っておられるようです。
 ウェブページやツイッターなどを当たりますと、地域政策コンサルティングをされておられまして、経済関連の記事ではアベノミクスの果実は下まで来ない。必要なのはボトムアップ社会への転換 | ハーバービジネスオンラインしか、殆どないのではないか? と思われます。
※いろいろググったのですが、あまり見つかりませんでした。
※上述した記事は立憲民主党の勉強会でも、使用された内容だそうです。

 本日は上述した記事を元に、検討を行っていこうと思います。

アベノミクスの果実は下までこない、という記事の検討

 まず最初にお断りしておきますが、私のスタンスは「本来謳われていたアベノミクスは、実際には行われていない」というものです。
参照:アベノミクスは実行してない?嘘のアベノミクス詐欺と安倍政権の6年間 – 高橋聡オフィシャルブログBacchus(バッカス)-反グローバリズム&LIFE

 編集部がつけたのか、田中信一郎教授がつけたタイトルなのか? は不明なので、アベノミクスをどのように認識するのか? という議論は脇に置きましょう。
 ではボトムアップ社会なるものは、どのようなものか? 記事のポイントを引用しながら、検討していきます。

安倍政権以前、2000年代の経済認識

 賃金下落にもかかわらず、00年代のGDPが成長したのは、輸出と消費の増加によります。人口ピークは08年でしたが、世帯数は14年まで伸び続け、世帯増加が個人消費のベースとなり続けました。また、好調なアジア経済も、輸出を支えました。

アベノミクスの果実は下まで来ない。必要なのはボトムアップ社会への転換 | ハーバービジネスオンライン

 確かに2000年~2007年まで――2008年はリーマンショックなので、比較を2007年とする――は名目GDPは別として、実質GDP、家系最終消費支出(実質、名目共に)は増えております。
参照:
日本のGDPの推移 – 世界経済のネタ帳
【家計最終消費支出】推移を図解|ニッポンの数字
※名目GDPは停滞しています。

 ただし名目賃金は下落し続けており、消費が増えたのは輸出が牽引したからと解釈するのが自然で、世帯数は関係ないと思われます。
※2000年~2008年の人口推移は、ほとんど増加も減少もしていない。

 こうした経済状況に対し、小渕・森・小泉政権は、金融緩和・財政出動・規制緩和を繰り出しましたが、デフレを改善できませんでした。小渕政権は、橋本政権の財政再建路線を放棄し、空前の財政出動を展開しました。日銀は、01年から量的緩和政策を実施しました。小泉政権は、規制緩和政策を実施しました。しかし、いずれも賃金増加には寄与しませんでした。

 上記認識が非常にいただけない、と理解できる方はいらっしゃるでしょうか?
 まず小渕政権は1998年~1999年までの内閣であり、1997年の橋本内閣の消費税増税のダメージを考えるべきです。実際に2014年の消費税増税は、日本経済に多大なダメージを与え、実質賃金の下落を、歴代内閣で類を見ないほどに発生させました。
 小渕政権の財政出動は、消費税増税のダメージを軽減したと評価されるべきでしょう。

 また1998年以降で財政出動をした内閣は、小渕、麻生内閣”のみ”であり、どちらも短命内閣に終わっております。
 日本が財政出動をし続けてきたのに、デフレが改善できなかった! という認識は完全に誤っているといえます。

 なお規制緩和はインフレ対策であり、デフレ圧力を強化するものなので、デフレが改善できないのは当たり前です。
 金融緩和にしても、資金需要がなければ意味がないので、デフレ対策にはなりません。
※金融引き締めなら、インフレ対策にはなります。

 まず田中信一郎教授は、上記のように経済に対する誤解、無知が非常に多いと断定して良いと思います。
 おそらくですが――国債残高が増えたら財政出動、と勘違いをされておられるように思います。
 実際には緊縮と積極財政の定義は、前年度より新規国債発行がどのように増減したか? によります。(歳出部門の国債費が一定ならば、ですが)

 ちなみに新規国債発行額は9年連続で減少しており、2008年の麻生内閣の置き土産が2009年です。つまり……田中信一郎さんの記事では、安倍政権は財政出動をしている事になっていますが、「していない、ないし2013年のみ」です。

田中信一郎千葉商科大学特別客員准教授の経済認識総論

 地域政策コンサルですから、ボトムアップという発想は理解できますが、通貨発行権のある国家と、通貨発行権のない地方自治体を一緒にされては困る、というのが私の認識です。

 近代国家で、国債残高が増えていない国家は存在しません。1900年~現在で日本、アメリカ共に3000倍以上になっています。日本は明治維新から数えると5000万倍になっているそうです。

 現代貨幣理論として、そして国家の財政史として当然なのですが、近代資本主義においては税収<政府支出が正常な状態なのです。
 特に小泉内閣、安倍内閣が「財政出動をした」との誤った認識の裏には、「財政出動は駄目だ! ほらみろ、デフレも克服できなかったじゃないか!」という結論が隠されているように思います。
 なぜなら……事実として財政出動したのは2000年代では麻生内閣だけであり、その期間は1年に満たなかったのですから。

現状認識を間違えると、認知不協和な結論になるのは当然

 「日本はずっと、2000年代に財政出動していた」という誤りは、当然ながら間違った結論を導くことになります。
 実態としては1997年以降、緊縮財政・規制緩和・自由貿易のグローバル化が日本において進み、その結果として2002年~2008年までにグローバリズムの黄金期に、輸出増により国内消費が多少増えた→内需が減少し、輸出依存度を強めたと言えます。

 結果として2008年のリーマンショックにより、2009年のGDPは大きく減少することになるのです。

 グローバリズムのトリニティ(緊縮財政・規制緩和・自由貿易)は、当然ながらインフレ抑制政策であり、デフレ圧力となります。
 ボトムアップだとか金融緩和だとかは、デフレの解決策にはならず、したがって田中信一郎さんの主張は「(マクロで経済を見れば)なんの解決策にもならない」のは必然です。

 「日本が財政出動をし続けている、しかしデフレが脱却できない」という、間違った認識のもとでは、間違った結論ないし珍妙なウルトラCしか出てこないのもまた、必然です。
 そういった結論は、おおよそ最終的には「構造改革」に行き着きます。

 トリクルダウンから「ボトムアップ」へ。活力ある経済の持続のために必要なパラダイムシフト | ハーバービジネスオンラインは、検討しました記事の続編かと思いますが、様々な提言を述べておられますが、一様に「具体的政策がない」ように思えます。
 これでは「旧民主党の理想主義の再来」と言わざるをえません。もし政権をとったとしても……「財源は?」と突っ込まれることは、うけあいでしょう。
※私は、枝野幸男立憲民主党代表をわりと評価しています。

 現在の立憲民主党の取るべき方向は、「プライマリーバランスの中で、予算の付け替え」ではなく、「堂々と国債発行を財源とし、格差社会の是正を目指す」ことでありましょう。
 緊縮財政やプライマリーバランスの枠にとらわれている限り、その主張は自民党と多少異なるだけ、となるのは明々白々。

反・反緊縮という言葉の奇妙さ

 私もツイッターで反・反緊縮という言葉をはじめてみました。薔薇マークキャンペーンなどは、反緊縮運動を銘打っておりますので、それに反対するということなのでしょうが……。

 この言葉は非常に奇妙です。素直に「緊縮財政派」ないし「プライマリーバランス派」を名乗ればよいのに、なぜ反・反緊縮なのでしょう?
 例えば反動勢力という言葉に対して、反・反動勢力などと名乗りますか?
 もしくは反グローバリズムに対して、反・反グローバリズムと言いますかね?
 反・反緊縮が正しい日本語だとすれば、反・反・反緊縮などという意味のわからない言葉も出てくるかもしれません(笑)

 なぜ反緊縮運動(積極財政運動)に対して、反・反緊縮などと使用するのか?
 これは非常に簡単です。素直に緊縮財政派ないしプライマリーバランス派と言えないのは、主張にごまかしがあるか、認知不協和に陥っているからでしょう。

 反・反緊縮という言葉の奇妙さは、すなわち彼らの主張の奇妙さとイコールとなるのです。
※数日後に、このテーマで続編を書くつもりです。1記事では全く足りませんでした(笑)

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elephus-elephus

丁寧に読ませていただきました。ようやくゆっくりと読む時間ができました。遅い書き込みになってしまい恐縮です。
引用箇所を読むだけでも田中氏の経済の知識が怪しいことがわかります。ヤンさまの適切なツッコミを受けた田中氏にはまっとうな反論はできないでしょう。

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