租税貨幣論とは?現代貨幣理論-MMTの簡単解説-通貨はどうして通貨なのか

 先日は簡単な現代貨幣理論・信用創造の解説-預貯金は借りたら創造されるの意味 – 高橋聡オフィシャルブログBacchus(バッカス)-反グローバリズム&LIFEにて、信用創造を解説しましたが、本日はできるだけ平易にわかりやすく、現代貨幣理論(MMT モダンマネタリーセオリー)における租税貨幣論を解説したいと思います。

 そのためには、やや回り道になりますが国家論からさかのぼって解説します。

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国家とはなんだろうか?

 国家ってなんでしょう? そして政府とはなんでしょう? この問いにスラスラ答えられるのなら、大変素晴らしい話です。ほとんどの人は「えーっと……」となるのではないでしょうか?
 様々な意味合いがあり、即答するのは難しい質問だと思います。
 私が聞かれたらどう答えるのかって? 私なら「共同体であり、家族の拡大版」と答えるかもしれません。

 国家とは「国”家”」と書くように、国という家族を表します。共同体の最小単位は家族や家庭と言われますが、最大単位は国家です。
 各家庭には様々な独自ルールがあるように、国家も国家ごとに特性や性質があり、ルールも異なります。

 ただ、国家は大きな共同体故に様々なルールが存在します。政治体制ーー民主制や独裁制、立憲君主制等々ーーが存在します。
 ただし、どのような政治体制であれ、どのようなギミックであれ、基本的に政府は警察力や軍事力を背景にした権力で、国民にルール(法律ともいいます)を強いることが可能ですし、民主制であれそうしています

 巨大な共同体を差配するためには、理想主義的な平和主義や自由主義ではなく、上述したような背景が必要なのです。

秦の始皇帝の度量衡は通貨の走りだった

 秦の始皇帝をご存知でしょうか? キングダムーーアニメ化もしてますがーーでお馴染み大人気のマンガです。私はキングダムでは軍師の河了貂(かりょうてん)が一番好きです。
 このまま行くと脱線しそうなので話を戻します。

 中華を初めて統一した秦の始皇帝は、貨幣・度量衡・文字の統一を手がけました。
 思い出してください。国家とは共同体です。しかし……同じ文字を使用してない人を、共同体の一員と認めづらいでしょう?
 貨幣や度量衡(ものさしや枡、量り)、文字の統一は秦が国家としてやるべきあたり前のことだったのです。

 度量衡や貨幣が統一されていなければ、経済に対して悪い影響があるであろうことは、想像に難くありません。文字にしてもそうです。
 やや話はそれますが、国語(その国のローカル言語)は国家の重要な要素の1つです。
 ゆえに国家が一体感を持つためには、文字や国語の統一性は不可欠だったのです。

 しかし当時の秦は法律によって律し、破ったものには重罪を課すという方法論だったようです。

租税貨幣論概要に上述国家論は必須だった

 租税貨幣論の概要は非常に単純です。
 租税貨幣論自体は「通貨がどのようにして、通貨になりえたのか?」を論じるものですが、その背景には国家というものへの理解が、確実に必要です。

 租税貨幣論の概要はこうです。
 徴税権を政府が有し、その徴税を国定貨幣で行うので、国民は納税という義務(負債)を解消するために、国定貨幣が広く使われ通貨となる

 つまり国家による徴税という権力行使は、国民にとっては納税という義務になります。この強制力によって国定貨幣は通貨となる、という解釈です。
 ここでは「富国と強兵」(中野剛志さん著)のP61を参照してみましょう。

 もっとも、貨幣が、納税とは無関係に、社会習慣によって交換手段として受け入れられる場合も確かにあるだろう。しかし、そのことは、レイの議論とは必ずしも矛盾しない。なぜならばレイは、租税の支払手段となることは、貨幣が人々に受け入れられる「必要条件」ではなく、「十分条件」だとみなしているからである。

 L・ランダル・レイはMMTerの1人であり、経済学者だったと思いますが、租税貨幣論はMMTにとっては「有力な説」ではあるのですが、それだけしか認めないというものではない、ということです。
 あくまで「負債と債権の記録が貨幣」であるならば、租税貨幣論が強力であろうとみなしているだけ、なのです。

 他のーー習慣や学習によって通貨になるーー説を否定しているわけではない、という事実は覚えておきたいところです。

租税貨幣論を考えるに当たり、整理しなければならないこと

 現代貨幣理論(MMT モダンマネタリーセオリー)は、なかなかに理解が難しいものです。私も富国と強兵(中野剛志さん著)を読んでから、ずいぶんと脳みそが爆発しました。わはは(笑)
 私はご存知の通り、中野剛志さんの大ファンですが、それでも現代貨幣理論の理解は非常に苦労しました。
 私は、別に頭が良いわけではないのです。おそらく、平均的な脳みそだと思います。

 貨幣=債務と債権の記録は”事実”です。そして通貨は日銀発行の負債、だというのも”事実”です。
 ややこしいのが、おおよその租税貨幣論の説明では「徴税を国定貨幣で課すことで、国民は納税という義務、つまり負債を納税によって解消する」という部分です。

 読み方によっては「えっ? じゃあ国債とかも、納税で返済しなきゃならないんじゃ?」と勘違いしそうですよね。
 私は現在、「徴税(国民にとっては納税)」は「通貨を駆動する=通貨を通貨として流通させるための、力学的な措置」と解釈しています。(変わる可能性も、あります)
 つまり、(政府の)負債を払うために納税をしているわけではない、という解釈です。
 このあたりの議論は柾木さんと、すごく真面目に検討したのですが、なかなかに難しかったです。

 興味のある方は負債は貨幣の母-現代貨幣理論と三橋貴明ないし、進撃の庶民の翻訳名文 – 高橋聡オフィシャルブログBacchus(バッカス)-反グローバリズム&LIFEから、コメントをお読みください。
 大変素晴らしい、真面目な議論が柾木さんのお人柄もあり、できたと思っています。

 最近はMMTの論文、コラムの日本語訳なども読んでおります。以下サイトが非常におすすめです。
経済学101 — 経済学的思考を一般に広めることを目的とした非営利団体です
MMT 日本語リンク集 – 道草
MMT(現代金融理論)「論」ウオッチング!

 マスメディアに現代貨幣理論(MMT モダンマネタリーセオリー)が最近は、よく取り上げられています。もしかしたら、ますます話題になるかもしれません。

 当ブログのテーマは「正しい情報=正しい判断」ですので、是非とも皆さんにも、直感が働く程度の概要の知識をお知らせしたいと思っています。
※私も正直、技術論とか細かいことになるとMMTを語れない部分があります(笑)概念として、なんとなく「おー、こういうもんやったよな? 確か……」という感覚を、お伝えできれば良いなと思いっています。

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1 年 前

>私はキングダムでは軍師の河了貂(かりょうてん)が一番好きです

もう少しその、「さすが軍師!」と言いたくなるような、戦術面の作戦立案で活躍の場を増やしてほしいと思っています(今の扱いだと、昔の「主人公の相談相手」と大して変わらない)。

画像 _ 【キングダム芸人】小島瑠璃子が初めてのアメトーークで結果を残す!【きょうかいコスプレ】 – NAVER まとめ
https://matome.naver.jp/odai/2143295506166348901/2143295842069061803

上記のコスプレを初めて見た時は、「羌瘣はこじるりでええやん!」って思いました(笑)。

>ーー

「ーー」だと長音なので、小説の用法を意識されているのであれば、全角ダッシュ「――」を連続された方がいいかもです^^

>もっとも、貨幣が、納税とは無関係に、社会習慣によって
>交換手段として受け入れられる場合も確かにあるだろう。
>しかし、そのことは、レイの議論とは必ずしも矛盾しない。
>なぜならばレイは、租税の支払手段となることは、
>貨幣が人々に受け入れられる「必要条件」ではなく、
>「十分条件」だとみなしているからである。

その中野剛志氏の説明は見落としていましたが、確かに言われる通りなんですよね。日本のような高度に発達した社会だと、法律で定めるだけで強制力を持たせることはできるかもしれませんし、能動的な納税の作業を行った経験がない方などは、自身の実感からも「税が貨幣を駆動させる? ホンマかいな……。ワイには関係あらへん」となって不思議はありません。

NYUN
1 年 前

はじめました!
ウオッチング等にリンクいただいてありがとうございました。
勉強系の、成長途上にあるサイトもあるわけですねえ。ステキなことだと思います。

ご挨拶がてら、租税貨幣論は債務ピラミッド(ヒエラルキー)の概念とセットで理解するといいいのかな?と思います。
http://econdays.net/?p=9759

国家の債務(税の支払い方法として受容する)であるゆえに最上位にくると。

NYUN
Reply to  高橋 聡
1 年 前

あ、でしたら、モズラーの親子クーポンの話で考えてみるといいかもです。
http://econdays.net/?p=9414

あれ子供に納税義務を課して、納税しないと罰を与えることなっている。
このルールを強制するからこそ、子供はそれを避けるためにクーポンを稼がなきゃ、ということになります。
さらに、子供が複数いたら、子供同士では価値がある件として取引されることになる。。。

租税貨幣論の理解は債務ヒエラルキーより、こっちの方が適切だったかもしれません。