マネーは踊る(Capitalism A Love Story)マイケル・ムーア映画レビュー

マイケル・ムーアの資本主義への問題提起

【ドキュ映画】 Capitalism A Love Story 〜マネーは踊る〜 【吹替】 FC2 Video

 先日、暇な時間にユーチューブで上記の動画を見ておりました。アメリカの資本主義について、マイケル・ムーアが描いたドキュメンタリー映画です。2時間ほどの映画なのですが、なかなかにショッキングな内容でした。

 大まかなストーリーはこうです。1950年代~1970年辺りまでの、最盛期であったアメリカの資本主義は1980年代に入り変質します。ちょうどレーガン政権の頃からです。金融の規制緩和が行われ金融業やグローバル資本が台頭し始めます。

 それでもムーアは子供の頃から、アメリカは資本主義の国だといわれて育ったと描きます。資本主義こそが最高なのだと、いわれて育ったのだと。

 しかし2004年にFBIがサブプライム・ローンの危険性を指摘すると、なぜか金融関連の職員までもが対テロ対策に回されます。しかし――この頃はまだ、アメリカ人は好景気を謳歌していたと描きます。

 すべてが崩れ落ちたのは2008年のリーマン・ショックであり、しかもメガバンクの救済には多額の国民の税金が、使いみちも明らかにされないままに使用されたようです。一方で1980年からの30年間、生産性は45%上昇しているのに、労働者の給料は1%程度しかあがっていないとも指摘します。

 こうして中産階級が失われ、マイケル・ムーアの見るアメリカは1%の富裕層と、95%の低所得層に分断されたのです。しかも富裕層は政治家をロビー活動で抱き込み、大統領に多額の献金をして、アメリカの政治はまるでウォール街の重役会議のようだという、政治家の声も映画でインタビューしています。

 マイケル・ムーアは最後に、デトロイトなどの惨状を挙げて「一体資本主義ってなんなんだ? 資本主義はなにかに置き換えないといけない。じゃあ資本主義に変わるものは何かって? 民主主義さ」というセリフで締めます。

デトロイトでは警察署までもが、廃墟と化している

マネーは踊るを見たら、アメリカはもはや非常事態なのかも知れない

 昨日、トランプが非常事態宣言を出すということを宣言、というニュースで「本当に非常事態なの?」と書いたわけですが、マイケル・ムーアのマネーは踊るという映画を見て「あぁ、非常事態だなこれは」と趣旨替えしました。

 もっとも――トランプの言う「メキシコとの壁」が非常事態なのではなく、もうアメリカ全体が病んでいるという意味での、非常事態ですが。

グローバリズムが私達にもたらすもの

 グローバリズムとは自由競争という大義名分で行われます。自由競争とは言葉を変えれば、弱肉強食です。弱い95%は困窮していろ! 自己責任だ! というのがその本質です。小さな政府、規制緩和というルールの緩和、緊縮財政、自由貿易、移民拡大etc……。すべて弱肉強食を実現する政策です。

 トマ・ピケティによると、過去200年分の統計の結果として資本主義は、戦後の一定の時期を覗いて全て格差拡大をもたらした、と論じられています。そして資本収益率(r)>経済成長率(g)である、という式は経済界にも波紋を呼びました。

 上記のr>gという式の意味は、経済成長する以上の速さでグローバル企業や大企業が、資本収益率の最大化をする――つまり、利益を上げても労働分配率を増やさないということを意味します。

 もう少し簡単に言えば、どれだけ一生懸命働いて生産性なるものを上げても、労働者は長時間労働や過酷な労働環境を押し付けられて、所得はびた一文あがらないというわけ。――実際にアメリカは過去30年間、95%の国民の所得は1%程度しかあがっていませんし、ドイツも同様です。

 マネーは踊るで、マイケル・ムーアは「企業が従業員に生命、ガン保険をかける」という事実にびっくりしています。受取先は”その企業!!”なのです! この問題に詳しい弁護士にインタビューすると、弁護士はいいます。「保険をかけて、企業が受け取るということは、死んだほうが良い人材と見なされているということだ」と。

 この一例を見ても、アメリカの道徳観念がもはや崩壊し、カネだけを求める富裕層の原子論的個人が跋扈している、最悪の社会だとご理解いただけるでしょう。

日本も他人事ではない、という”事実”

 この稿を読んで「アメリカはやばんだなぁ、本当!」などと言っているそこの貴方。日本も他人事ではないのです。

 安倍政権が6年間で行った政策を見てください。農協改革、漁業改革、水道事業民営化による規制緩和で、将来的には食料、水が外資に乗っ取られる可能性は高い。移民を拡大し今や世界第4位の移民大国であり、インバウンドと緊縮財政で内需立国日本を壊そうとしています。TPP11も成立しました。

 世界中がグローバル化がヤバい! と言っているときに、グローバル化に向けて一直線なのが安倍政権なのです。

 そして……残念ながらこの経路はまだ続くことでしょう。なぜなら大多数の日本国民が目にする、新聞やテレビなどのマスメディアで「グローバル化は駄目だ!」という論調を見たことがありますか? ないでしょう? 相変わらず「クニノシャッキンガー」などの空言を垂れ流しているだけです。

 日本においてグローバル化のマズさを認識しているのは、ほんの一部の――おそらく1%にも満たない有識者と国民だけなのです。

 韓国を笑っていたらTPPに巻き込まれ、一人あたりのGDPは追い抜かれました。中国を笑っていたらGDPで大きく差が開き、しかも海外やウォール街のメディアからも「日本の統計の4割はフェイク」と報道される始末。

 解釈の仕方によっては、日本の凋落はアメリカ以上の速度であるとすら言えます。皆様はこのことを知って声を上げますか? それとも沈黙しますか?

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阿吽

>1950年代~1970年辺りまでの、最盛期であったアメリカの資本主義は1980年代に入り変質します。ちょうどレーガン政権の頃からです。金融の規制緩和が行われ金融業やグローバル資本が台頭し始めます。

 アメリカがグローバリズムに舵を切る切っ掛けの中の1要素、としてではありますが・・、最近、公民権運動ももしかしたら、それに関連があるんじゃないかというふうにも、思い始めてきました・・。

 上記の時期(50年代から70年代)は、アメリカでもだいぶ人種差別がまだまだ酷い時期でした。

つまり、アメリカは国内で、国内の黒人を中心とした奴隷労働力を確保できていた時代なのです。

しかして、公民権運動などで、黒人を中心とした有色人種の地位向上は当時と比べかなり成功したかのように見えます。

結果として、有色人種の地位向上とともに、中流層が増大し、アメリカ版一億総中流(?)とでも言えば良いのか、まあ、アメリカの黄金期が現出したのではとも思います。

しかして、庶民の暮らしぶりは良くなり・・、分厚い中流層はアメリカの最盛期をも現出したとは思いますが・・、それでは問屋が卸さないと思うのがアメリカの大企業。

企業の性格的に、安い労働力で多くのもうけを得ようとして、本能的に奴隷労働力を欲するのでしょうか・・。しかして時代は平等の時代・・。80年代以降のアメリカでは・・、アメリカの大企業は、自国内で有色人種の奴隷労働力を確保をしづらい・・・。

そこで、目を付けたのが海外の奴隷労働力(移民・難民)なのではないかと思います。

アメリカがグローバリズムに舵を切り始めたのは80年代・・。幾分かは、こういったことの関連性も、いくぶんかはあるんじゃないかなあ・・とは、思います・・。

(で、現在は大量に仕入れた奴隷労働力の地位向上を名目に、正社員との賃金格差の是正、つまりは正社員の給料の減少をもってして、アメリカの大企業は労働分配率の上昇を低く抑えているのでしょう)

(当然、公民権運動が悪いものだったとは言っていません。しかし、資本主義が暴走し、その歯止めをきけなくすると、企業の欲望と言うものは、自分達を縛る人権をも利用して、こういうことをするのではないかと思うのです)(しかして、企業の経済発展と言う願望は、その主体が企業であるかぎりにおいて、ある意味では、企業としては、利益を得るというその一点においては、上記のような奴隷労働力の外国からの確保も、利益を追求するという企業がわの都合としては、まっとうな活動ということになるのではないでしょうか・・・・・)

(しかして、それでは結果として、人々は貧困化します・・。ですので、社会には、資本主義が暴走をしないように、ある程度のルール、縛りが必要なのでしょうけど・・・・・・・・・・・)