北方領土問題と日露の関係のまとめ-地政学、歴史、現在の政権から北方領土を考察する


地政学的な日露の関係性

 今日は北方領土問題を歴史と地政学的観点からまとめ、解説していきたいと思います。できるだけ端的に書いていきますので、非常に細かい点は省きます。

 日本人はわりと忘れがちなのですが、日本とロシアは北方領土や北海道北端を接する隣国です。隣国と言うと中国、韓国、北朝鮮、台湾等ばかりに目が行きがちですが、ロシアもれっきとした隣国なのです。兵法三十六計では遠交近攻として語られ、かのマキャベリは君主論で「隣国を援助する国家は滅びる」と書いております。古今東西、隣国とは仲が悪くて”当たり前”というわけです。

 実際、過去に日本は日露戦争でロシアとも戦争をしておりますし、第二次世界大戦では日ソ中立条約を破って、ソ連が日本に侵攻しております。この第二次世界大戦で北方領土問題を抱えたことからも、上述した教訓が当てはまっていると解釈して良いでしょう。地政学的には日露が手を取り合って仲良くする、などということはほとんど考えられないと思われます。

日露戦争の原因と現在の情勢

 歴史を振り返るということは非常に重要で、様々な教訓を我々に与えてくれます。日露戦争がなぜ起こり、どうなったのか? 当時の国際情勢とはどのようなものだったのか? を振り返りたいと思います。

 日露戦争の原因は朝鮮半島と、満州を巡っての利権の争いと言われます。当時の世界は帝国主義や植民地主義と呼ばれますが、これは帝国主義グローバリズムないし植民地主義グローバリズムと呼んだほうが適切でしょう。グローバリズムの行き過ぎで国家同士の利権が対立し、近隣窮乏化政策や戦争を引き起こしたと見るべきだと思います。

 その極地が第二次世界大戦であり、そして日本の敗戦です。第二次世界大戦敗戦直前に、ロシアは日ソ中立条約を破り日本に攻め入りました。

 上述した2つの例、つまり日露戦争と第二次世界大戦敗戦直前のソ連の北海道への侵攻、これをどう見るべきでしょうか? 日露戦争は中国が弱っていたので、日本とロシアの利権闘いになり、第二次世界大戦は日本が弱っていたので、ソ連が条約を破ってまで日本に侵攻してきたというのは、どのような教訓を我々に与えるのでしょう?

 東アジア情勢においての日露の関係とはつまり、どちらかが弱ったり、もしくはどこかが弱ったら即ぶつかる、ということではないでしょうか? これが日露の地政学的関係性と解釈できると思います。もっとも――中国が強くなりすぎている今、確かに日露が手を組むという選択肢だって考えられるわけですが、その関係はあくまでも利益が相互にある間だけと考えるべきでしょう。

北方領土問題の発端と経緯

 北方領土問題はどうして起こったのか? 第二次世界大戦での日本のポツダム宣言受諾決定後にソ連は日本に侵攻しました。またボツダム宣言調印後にもまだ、日本へのいくらかの侵攻をしたようです。このソ連軍の陸上訓練には、アメリカが協力しております。ちなみに戦争とは講和条約締結をもって終了しますので、第二次世界大戦、太平洋戦争、大東亜戦争と称される戦争の終結は1952年(サンフランシスコ講和条約)です。

 日本側の立場としては日ソ中立条約は停止を1年前に宣言しないといけないと書かれていたので、ソ連側の破棄という行動は条約違反と解釈できます。ソ連側は破棄を通告したら即時条約を破棄したのだ、と主張しています。

 1956年に日ソの交渉が開始され、日ソ共同宣言が出されますが、ここに書かれているのは歯舞、色丹の2島返還のみであり、日本政府は4島返還を求めていますが、この日ソ共同宣言自体と日本政府の対応に矛盾が生じているとも解釈できます。これが北方領土問題が進展しなかった、一番の原因でしょう。

安倍総理とプーチンの首脳会談、日露平和条約はどうなるのか?

 ロシア側としては歯舞、色丹を返還した後に、米軍基地がそこに建設されるという事態だけはなんとしても避けたいところです。自国の鼻っ面に米軍基地ができるわけですから、安全保障上で絶対に譲れないのです。

 では日本は現在どうなっているのか? 日米安全保障条約(日米安保)や日米地位協定で、日本側には在日米軍基地がどこの建設されるのか? を決定する権限がないのです。つまり事前にアメリカに「もし北方領土が返還されても、そこには在日米軍基地は作らない」という確約をもらっておかないと、そもそも北方領土返還交渉以前の問題で、交渉が進むはずがありません。

 今の所、安倍政権がアメリカからそのような確約をもらったという報道はありません。

 日ロ平和条約「さらに前進」 首相、プーチン氏と会談 (日経)では前進したと報じられておりますけど、根本の問題がなに1つ解決していないのに、はたして前進するものなのだろうか? という疑問を覚えます。

 仮に前進しているのだとして、もう1つの問題が発生します。平和条約の締結とは領土の確定という話でもあるのです。つまり歯舞、色丹の2島返還で国後、択捉にはロシア領土として確定するというのが、平和条約締結なのです。これは従来の日本政府の4島返還という主張とは大きく異なるのです。

 ちなみにロシア、北方領土、急激に軍事化 現れたスホイ35「撮影ダメ」(朝日 2018.10.10)でも報じられているように、安倍総理との首脳会談でお茶を濁しつつも、裏では着々と北方領土の軍事化を進めているようです。

安倍政権「日露交渉前進!」に対する私見

 ここからはまとめではなく、私見となります。はっきり申し上げて安倍政権が前進と言えば、たいがい後退していることのほうが多いのです。最近は毎月勤労統計調査などの統計が間違っていて、日本経済には相当のお化粧が施されていることが明らかになり、その上でも2018年7-9月期の統計が経済成長率マイナス、GDPデフレーターマイナスだったのです。「デフレ脱却! この道しかない!」と言われて6年。日本はデフレから全く脱却できていませんでした。

 他の例もあげましょう。「瑞穂の国の資本主義」と2012年に安倍総理は言っていましたが、TPP11、農協法改正、漁業法改正、IR法案、水道事業民営化、入管法改正による移民拡大と次々と規制緩和の嵐であり、明らかにグローバリズム路線です。瑞穂の国の資本主義とやらはどこに行ったのか? 安倍政権は言ったこととやることが真逆という性質を持っている、としか解釈不可能です。

 であれば日露首脳会談の勇ましい「前進!」という発表はどのように見るべきか? むしろ後退していると解釈するのが有力であろうと思います。去年には北方領土で経済協力などという話も出ていましたけども、どちら側の法律で日本企業が行動するのか? というと、そりゃロシア側の法律でしょうとなります。つまりロシアの施政権をより強固に認める、というのがこの経済協力でありました。どう考えても後退なのですが、政府は前進! としか言いません。

 前進した気で後退する、ないし後退しているのに前進と言い張る。これを人は認知不協和と言います。経済も認知不協和、政治も認知不協和の現在、外交だけが認知不協和を起こしていないなどというのは、都合の良すぎる話でしょう。

 しっかりと警戒して、見ておかなければなりません。

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>この日ソ共同宣言自体と日本政府の対応に矛盾が生じているとも解釈できます。
>これが北方領土問題が進展しなかった、一番の原因でしょう

仰る通りですね。

『きのう何食べた?』西島秀俊さんと内野聖陽さんが恋人役
https://twitter.com/i/moments/1088203762970255360?cn=ZmxleGlibGVfcmVjc18y

エントリーとは無関係ですが、いつか話した上記がテレビドラマ化されるそうです。ライトノベル作家がアニメ化やコミカライズを狙って物語りを書くのと同じように、私は漫画にも実写ドラマ化しやすいものがあると考えていて、いま連載中のだと『正直不動産』とか『銀平飯科帳』とかがそうだろうなぁと思っています。

上記の中に『不倫食堂』も入れようと思ったのですが、タイトルがこれで合っていたか調べる段階で既にドラマ化されているらしいことが発覚しました(笑)。もう、ネタ不足なドラマのために脚本を可視化してあげる(絵コンテの提供)くらいのノリで漫画を作れば、実際の人気とは無関係に映像化の話なんてくるかもしれません。

>正直不動産は存じませんが

嘘がつけない特異体質になった、不動産営業の男のお話です。

>銀平飯科帳は良さそうですね

時代劇のセットの資産とか、ああいったことの実写化で役立ててもらいたいです。同じ食べ物系の漫画なら、『最後のレストラン』もドラマに向いていると思います。

>王様の仕立て屋とかも良さそうです

どうせナポリロケとかやらないでしょうから、日本パートのみとなるでしょうね。もう、スーツ職人の設定を靴職人に変更し、花田某を主演にでもすれば話題にはなるでしょう(笑)。

>ドラマのネタ不足は「それはすでにやった感」があるんでしょうね~

本格的な政策ドラマ、政経ドラマはまだなかったような気がいたします。政治ドラマ(政局ドラマ)や、最近では市議会議員のドラマとかならあったそうですが。日本のドラマにもはや何の期待もしておりませんが、スパイス・ガールズみたいなガールズユニットをモデルに、『アイドル新党なでしこ!』の設定(アイドルグループを解散→政治家へ転身のサクセスストーリー)そのままな海外ドラマとか、そろそろあってもいい頃だとは思っています^^

>嘘がつけない体質の営業はきつそうな……(笑)

しかも不動産営業ですからね。実際に作中でも、お客に伝えてはいけないことを正直に話してしまい、主人公が余計な苦労を背負い込むみたいな内容になっています。専門性が高いため、読んでいて勉強になる漫画ですね。

>アメリカですと「USA! USA!」となりそうですけど、
>日本だとドラマで「緊縮! 緊縮!」となりそうで怖い

海外ドラマですと、ホワイトハウス内の権力闘争がお決まりの流れで、もう毎回「アメリカ合衆国憲法修正第25条」を持ち出しては、大統領を解任するだしないだで揉めています(笑)。海外ドラマでさえ、経済政策や安全保障のガチな政策論を私はまだ見たことがありません。

まあ、日本の場合は政策論をやっても、「私利私欲を捨てて国民に不人気な政策(緊縮財政)を掲げ、創意工夫(民間企業との個人的なコネを使った協力関係=主人公補正とコミュ力)で難局を乗り切る」みたいな感じになりそうです(涙)。

阿吽

まあ、はっきり言いますと・・、北方領土が帰ってくることは、ほぼ、ないですね。

理由は単純です。そこに今、住んでいるロシア人がいるからです。

90%以上の確率で、帰ってくることはないでしょうね・・。

しかし、領土問題は国家の大事。日本政府は本来なら、ず~~~っと、ロシアに北方領土を返せと言い続けなければなりません。返ってくる返ってこないは関係ないのです。返せと言い続けること、それ自体が大事なのです。

領土問題解決には・・、50年ぐらい未来に、ロシア側が、第2次大戦末期の北方領土進行は間違っていたと認めて日本側に補償金でも渡してそれによって解決できれば・・、まだ、御の字のほう・・でしょうかね・・。(領土問題の解決のみを、目的とするなら、ですが・・)

領土の返還を目的とするのならば・・、その方法としては、基本、奪い返すしかないでしょうね。(大国同士の戦争が難しい現代世界においては、ロシアと戦端を開いて旧領の奪取をはかるのは、かなり難しいでしょうが・・)

まあ、領土は国体の問題でもあるんでしょうし・・、本来ならば、日本とロシアと言う国が存在し続けるかぎり・・、領土を返せと言い続けなければならないのでしょうかね・・。


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