枝野幸男の不信任決議名演説-枝野幸男という政治家を見誤っていたかもしれない【再掲】

枝野幸男代表がぶちかました、素晴らしい演説

 先日、内閣不信任案を提出し、その不信任理由を枝野幸男議員が2時間以上にわたって演説をしたのだそうなのですが、ソウルメイトさんの記事から紹介に預かり、そして演説を文字起こししております記事を全文を読みました。

 この演説の文字起こしをされた方には、感謝の意を表明したいと思います。

【文字起こし】2時間43分即興演説 立憲・枝野代表「安倍内閣不信任決議案」(2018年7月20日)(Note 犬飼淳 / Jun Inukai)

 さて、演説は2時間43分にわたったようです。全文を読みましたけれども、それはもちろん「この部分は私とは主張が違うな」という部分もありますが、少なくとも主張としての一貫性はしっかり存在していたし、その根底にある思想にしても説明がなされていたと解釈できます。

 いまの自民党及び安倍政権に比して、枝野代表が自らを「保守本流」と称するのに、少なくとも納得の行く演説であったと私は評したいと思います。

 さて、私の中でこの演説はなかなかの高評価であり、私自身が今まで枝野幸男さんという政治家を見誤っていたと認めざるを得ない、とまで思っております。

 ちょっと硬い表現を避けて申し上げると、山本太郎さんといい、枝野幸男さんといい・・・最近は「左派」と呼ばれていた政治家のほうが、よっぽど保守しているじゃないか(!!)と思います。

 しかし・・・まあ手放しで褒めるだけじゃ論考の価値がありませんので、なぜ左派と呼ばれていた人たちが保守のごとくうつり、右派が壊滅的なのか?ということを考えてみましょう。

左派の理論は技術知が多く、保守思想は眼識が必要とされる

 基本的に左派や革新派、リベラルなどの思想の根底は、いわば暗記で覚えられる技術知がベースになっています。理性だとか知識だとか、そういった合理的なものですね。

 なのでその理論を覚えることは難解なことではあっても、「誰でも可能といえば、可能」なことであります。

 いわゆる、ハイエクの提唱した一般原則的なものが奥底に存在するわけです。

 逆に保守思想には一般原則と言ったものは存在せず、奇しくも枝野代表が演説で言ったように「歴史や伝統、文化から有用なものを再発見する」という立場になります。

 時代によって歴史から再発見して有効活用できる観念というのはかわりまして、つまり状況に合わせて再発見、再解釈し続けながら漸進的に改善を目指していくのが保守思想の根底と言えるでしょう。

 しかしこれは、「どのように再解釈すればよいのか?」などという一般原則、マニュアル的なものはありませんから、したがって保守思想においては眼識が必要になるというわけです。

 では先程のことを考えてみましょう。なぜ左派と呼ばれた人たちが保守のごとくうつり、右派が壊滅的なのか?まず右派が保守思想を履き違えて壊滅している理由ですが、端的に申し上げれば「眼識がない」「知性がない」「認知不協和に陥っている」といったことが、原因としてあげられるでしょう。

 要するに眼識がないので現実認識ができない、現実認識ができないので知性は衰退する、衰退した知性で考えたことは認知不協和に陥る、という悪循環ですね。

 これは戦後、アメリカにずーっと右にならえをしていた弊害、とも言えるかもしれません。

 たんに”怠慢”と表現したいのが本心でありますが。

 こうなると一般原則と理論を、近代国家なり近代法の成立なり人権なり、自由主義なりに求めることのできる左派のほうが「保守のようにうつる」のは必然。

 少なくとも日本において近代国家の歴史は150年、世界においては300年あるわけですから、そりゃ常に検証され続けた技術知のほうが「まとも」にうつることでしょうし、近代国家においてそれは「保守」と呼んで差し支えないものにまでなっている可能性だって高い。

 もう1つの理由は、左派の知識層(今回でいえば枝野幸男さんや、山本太郎さんなど)を除くのならばですが、左派と右派は対抗しながらも相互依存の関係性にあったわけです。

※枝野幸男さん、山本太郎さんなどは、従来の左派とは毛色が違うようにも感じております。

 しかし右派が壊滅的なことをし始めたときに、対抗する左派はそれに比して、対抗するだけでまともなことを言い始める、という可能性はあるんじゃないか?と。これは仮説段階ですけれども、つまり一方がすっちゃかめっちゃかなことをやっていると、それに反対するという姿勢だけでまともになってしまう、という逆説的な現象が起こっているという可能性もあるわけです。

 例えば一時期巷を騒がせたSEALsは「民主主義を守れ!」と安倍政権を批判しましたが、奇しくもモリカケ問題においての公文書偽造で、SEALsの懸念は”結果的には”正しかったことになります。

 さらに言及するのならば、グローバリズムが広まってしまった現代日本において、格差などの問題が生じ始めておりますけれども、もともと左派は格差問題などに敏感であり、昔は「政府vs国民」という図式でありましたけれども、上下対立として考えることにも慣れ親しんでいる。

 とするとグローバリズムの構造を理解すれば、比較的容易に「グローバリズムvs国民、国家」という図式を思い描く可能性があります。

 しかし右派は権威主義的に陥ることがままあり、グローバリズムを肯定するような動きすらある。

 この点も右派の思想的混迷、壊滅と左派が「まるで保守のようにうつる」現象を表しているのかもしれません。

 ちなみに格差社会構造が出来上がった現段階において、それを打破しようとする主張をしているのは左派政党と呼ばれるところがほとんどです。

枝野代表と立憲民主党への提言

 私が枝野代表の演説で感じ、違和感を持った部分を率直に申し上げ、そして2つの提言としたいなと思います。

  1. 現代貨幣論から、そして現実的にも日本の内債には一切の問題がないということを、承知しておられるか?
  2. 少なくともインフラと防災・減災の安全保障について、「コンクリート”も”人も」というのは、西日本豪雨で明白ではないか?

 まず枝野代表の社会保障の観点、格差社会に対する危機感は非常に正しいと考えます。また途中に「社会保障のほうが、公共事業よりも経済効果が高いというデータもある」のも、きっとあるのでしょう。

 しかし日本は災害大国であり、いざ非常事態が起きたときに国民を守ってくれるのは、やはり強固なコンクリートと、冗長性のあるインフラであります。

 治水事業の予算が減らされていなければ、河川の氾濫が防げた地域があったかもしれない。インフラの二重化ができていれば、陸の孤島にならずに済んだかもしれない。

 日本は災害大国であり、現在は地震の活発期であるようでして、国民のことを真剣に考える政治家であれば、これらの対策に費用を惜しむ愚は犯さないと思いまし、犯してはいけない愚であります。

 残念ながら1990年代後半より日本はその愚を犯し続けておりますけれども。

 ではこの愚かしい政策の根源はなにか?まさに格差社会を到来させたグローバリズム・新自由主義へかじを切ったことであり、小さな政府であり、プライマリーバランスであり緊縮財政であります。

 これは端的にいえば「政治の責任放棄」として論じることが可能でしょう。

 現代貨幣論、ないし現在のありとあらゆるデータによると「日本国債に一切の問題はありえない」ということが、明らかになっております。

 存在しない問題に尻込みし、日本は政治の責任を放棄し続けた。その結果が失われた20年でありましょうし、格差社会の到来であります。

 このことを党内でしっかりと議論していただきたい!と強く強く思います。

 まあ、もっとも私は「立憲民主党にあれもこれも、私と同意見を求める」というわけではなく、また「立憲民主党が日本の救世主になる」などという世迷い言も申し上げるつもりは一切なくて、ただ枝野代表の演説に感銘を受けての提言というだけなのですけれども。

 少なくとも「安倍政権より、現在の自民党より、立憲民主党のほうがマシかもしれん・・・マジで」と思わせる演説であったし、演説で言っていた政策(格差の解消、社会保障等々)が実現できるのならばかなりマシになることは間違いない(!!)と思います。

 今まで全くといってよいほどに、立憲民主党には注目しておりませんでしたが、今後は注視したいと思います。

P.S

 いや~、演説内容はマジで良かったです。なんか「枝野代表アゲ」みたいな感じですけど、素直に良かったものは良かったのですからしょうがない。

 ちゃんと全部を見たり、聞いたり、読んだりした人の多くは、そう思うんじゃないでしょうか?

 久しぶりに良いものを見た、聞いたといった感じです。

 少なくとも杉田水脈さんみたいな、くだんない、浅い論説ではないとは断言できます。来年の参議院選挙は立憲民主党か共産党か、現時点ではかなり迷うところです。じっくりいろいろと解説していきたいと思います。

※もちろんながら、おそらくかなり批判的にはなるでしょうけれども自民党や公明党などの大政党も、解説には加えると思います。えっ?維新?あんな党は知らん。

 ちなみに私、左派でも右派でもなく「私も含めて経世済民してくれ派」ですからね(笑)

 ええ、景気が良くなれば私も儲かるし生活も楽になる。景気が悪くなれば私だって苦しくなる。日本がダメになれば私だって巻き込まれざるを得ないし、ダメになるだけならまだしも集団自殺しようとしているとしたら、私は無理心中させられることになるのでまっぴらごめんなわけです。

 日本がいい方向に向かうのならば左派でも右派でも首肯するし、同意します。駄目な方向に行くのなら無力ながら全力で喚いて批判するわけです。

 だって無理心中したくないんだもの。

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阿吽

枝野演説は、財出的な部分以外はなかなか高評価な演説でしたが・・・、

いかんせん、その支持層が、残念ですね・・。(このあいだの伊勢神宮参拝炎上みたいな・・)

ネット右翼もパンピーとの意識の乖離が大概かとは思いますが・・、あの旧左翼層も、パンピーとの意識の乖離が大概ですね・・・・。

一般ピープルの意識も理解できずに・・、政権が取れるとも、どうにも思えないですね・・・。

立民の支持層にも、もうちょっと、一皮むけてもらいたいものです・・。

あんな極左みたいなナリ(伊勢神宮参拝Twitter炎上案件)を一般層に見せたら、ドン引き間違いなしですよ・・・(-_-;)