米中に衝突の兆し?2つの帝国と国際情勢-アメリカの取りうる戦略には何があるのか?

本日も短めに

米中衝突の兆し、米「航行の自由」作戦に業を煮やす人民解放軍(Newsweek)にてどうやら中国軍幹部などから不満が上がっている、とのことだそうです。

 

まず中国軍ないし中国のこれまでの方向性を整理しましょう。

  1. 海軍の近代化と強化
  2. 一帯一路などによる覇権の確立
  3. 接近阻止・領域拒否戦略
  4. 内債による財政出動での経済成長

2000年代初頭からアメリカは中国に対して夢を見て、協調戦略を取ってきました。いわゆるグローバリズムに巻き込むことで恩恵を与え、それは民主主義的な運動になるであろうという楽観論です。中国の人口による需要や市場というものに目がくらみ、このような楽観論になったのでしょう。

上記の戦略には完全な矛盾がありました。1つはグローバリズムと民主主義は相性が良くないどころか、むしろグローバリズムは民主主義を殺すという点。イギリスのブレグジットを見ていれば明確でしょう。EUにロックインされたイギリスは、EU離脱のために多大なスイッチコストを払わなければならず、それは民主主義によって決定された選択が、実際には取れないということを意味します。つまり民主主義がグローバリズムに殺されるのです。

 

もう1つは中国のグローバリズムでの戦略を甘く見ていたこと。組み込んだはいいのだけれども、その膨大な人口とやすい人件費で一気に世界の工場となってしまいました。また中国はグローバリズムに乗りつつも、パクリやら抑圧的といわれますが国内産業の育成を怠りませんでした。外資が逃げ出そうものなら、差し押さえてでも逃さないようにする徹底ぶりであります。日本企業もやられましたね。

 

また中国は鄧小平の時代からの軍拡シナリオに沿って動いており、それは中国海軍の近代化と拡充という方針です。この軍拡シナリオの補足として近接阻止・領域拒否や一帯一路が派生してまいりました。

さらにはアメリカとの衝突が多くなるや、内債の発行と内需拡大戦略にその巨大な体躯を振り向けようとしております。

 

・・・うん、脅威以外の何物でもありませんし、戦略面においてはアメリカの楽観論を利用し、かなりのところまで追いつきと相当に上手いと評さねばならないでしょう。

アメリカの取れるこれからの選択肢はおおよそ4つ

もはやアメリカは中国との戦争において勝利することがかなり難しい、ないし確実に無視できない被害を被ると見て良いでしょう。これは純軍事学的な面だけでなく、中国が核保有国であること、そしてアメリカ世論が戦争での無視できない被害に対して相当に弱いであろうことが挙げられます。

ではアメリカの取れる選択肢はどのようなものか。

  1. 中国と戦争する
  2. 中国と協調する
  3. 太平洋を第二列島線で分割統治
  4. アメリカ本土まで後退する

1)は難しいと申し上げました。では2)は?すでに上述した議論で論じた通り、「楽観論に過ぎた戦略」であり採用は不可能。採用したらそれは戦略的敗北と見て差し支えないように思えます。

要するに3)が一番現実的な選択肢であり、孤立主義を選択するのならば4)と言ったところでしょうか。

 

この場合日本はどうなるの?といえばですね(汗)当然中国の覇権勢力内に置かれることになり、さりとて日米安保も継続するのかもしれませんから、前々から申し上げておりますけども・・・2つの大国の属国化という非常に珍しい状態になるかもしれません。

処方箋は簡単です。直ちに財政出動をして経済力を増し、防衛費を増やして防衛力を高め、日米安保を改定して属国から抜け出し、その上で新たにアメリカと協力するか?それとも他の国と手を結ぶか?を模索すればよろしいでしょう。

 

もっとも・・・国家観をなくし、主権国家の何たるかを忘れ、財政健全化というフィクションに汲々とするようでは、いくら処方箋を示したところでおぼつきませんけれども。

P.S

軍事”玄人”を名乗る方たちが「いやいや、アメリカ軍は最強だよ」と力説をしますけれども、この方達の議論には1つの欠点があります。対中での日本の防衛を語る際には「中国軍は全軍を日本に振り向けられるわけがない(事実)」というのに、米中戦争を語るときには「アメリカが全ての軍事力を中国に振り向けられる」と仮定する点です。

 

確かに今すぐ戦端を開いたらまだアメリカ軍が圧倒するかもしれません。それでも無視できない被害とリスクを取ることになりますけど。なにせ中国は核保有国家ですから。

またアメリカから中国への兵站は長く、中国は兵站を国内でまかなえるという点も大きいでしょう。

 

南沙諸島でアメリカの振る舞いはどうであったか?を理解すれば、自ずと「アメリカは中国とは戦争をしたくない」のが本音であろうと洞察可能なはずです。アメリカの協調主義による楽観論がアメリカを追い詰めたように、楽観論は時として自身を追い詰める劇薬であるとの認識が必要だと思います。

 

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私も、1990年だい初頭ごろ、中国が開放政策で豊かになれば、民主主義国家になるんじゃないかと無邪気に、無邪気に思っていましたねえ・・・・・。
アメリカは、できれば第1列島線で中国を抑え込みたいでしょうね・・・。(太平洋まで中国の潜水艦や軍艦が動き回ったら鬱陶しいでしょうから・・)
現状では、中国を第1列島線で抑え込むか、第2列島線まで進出されるかで、しのぎをけずっている所でしょうか・・・・・。
アメリカとしては、現状としては中国を貿易の商売相手というよりかは・・、貿易のライバル認定したという所でしょうかね・・。
戦争をする可能性は極めて低いでしょうけど・・、今後は、貿易問題でアメリカが有利になるように、各種の手練手管を中国相手に使っていくんでしょうね。
アメリカの方針的には・・、日本からはできるだけ搾り取って、中国に対しては貿易問題を有利に運ぶように対峙していくって所でしょうか。
貿易や外交を利用して、中国のこれ以上の強大国への道を、できるだけ阻止したいというところでしょうか・・。(どの程度、効果があるかは、現状ではかなり、未知数ですが・・)

しかし・・、ダブル属国って、おもしろいですねえ・・。(おもしろくはないですが)
歴史上の事例を見ますと・・、どこが該当しますかねえ・・・?
日本とロシアに影響力を握られていた大韓帝国でしょうか・・?
あああ、それとも、清と日本両方に服属していた琉球王国でしょうか・・?
それとも、分割されたポーランド・リトアニア共和国みたいな感じでしょうか・・?
まあ、どの道・・、ろくでもない結果しか待っていない感じですね・・(吐血)
しかし・・日本もファーウェイとZTEの製品を、アメリカにならって使わないとも言ってますし・・、いちおう、いまんところアメリカの属国路線は継続ですかね・・?
しかし・・、日本人はなんか大陸に夢を持ちたがるからなあ・・・・・。
下手に(中国への)経済依存度をこれ以上強めれば、それこそ、やっぱりダブル属国(アンド破滅)の未来ですかね。
しまいには・・、「日本を守るには、アメリカの属州になるしかないんだよ!」って、利口なことを言いだす人も出てくるしまつなんじゃ・・・・(笑)
・・・・・・・・・・・(-_-;)

>物には順序ありさん
いやはや、申し訳ない。時間が取れなくて30分程度で、今まで書いてきた主張を端的にまとめた記事でございました。
どのあたりが「見当違い」か、ぜひともご教授いただけますと幸いです。
>阿吽さん
私だって2000年代って20代ですから、「きっと中国は民主化していく」と思ってました(笑)
若さとは良いものです・・・・もう、おっさんになっちゃった(笑)
ダブル属国てーのは、なかなか歴史上も見つけるのが多少難しいんじゃないでしょうか?珍しい意味では、面白いかもです(汗)
ダブル属国になったらどうなるんでしょうね・・・そこはあまり分析してません。
日本的なものは壊滅的に喪失はするんじゃないでしょうか?

物には順序あり

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この程度の浅はかな分析(しかも見当違い)しかできないということは、根本的に情弱なのかお花畑なのか工作なのか理解に苦しむ。まあ、おそらく工作であろう。
しかし、もし本気でそう考えているのであれば、トランプ政権の本質を知る意味でも、まずは馬渕大使の本を読んで勉強してもらいたいものですね。

私も、1990年だい初頭ごろ、中国が開放政策で豊かになれば、民主主義国家になるんじゃないかと無邪気に、無邪気に思っていましたねえ・・・・・。
アメリカは、できれば第1列島線で中国を抑え込みたいでしょうね・・・。(太平洋まで中国の潜水艦や軍艦が動き回ったら鬱陶しいでしょうから・・)
現状では、中国を第1列島線で抑え込むか、第2列島線まで進出されるかで、しのぎをけずっている所でしょうか・・・・・。
アメリカとしては、現状としては中国を貿易の商売相手というよりかは・・、貿易のライバル認定したという所でしょうかね・・。
戦争をする可能性は極めて低いでしょうけど・・、今後は、貿易問題でアメリカが有利になるように、各種の手練手管を中国相手に使っていくんでしょうね。
アメリカの方針的には・・、日本からはできるだけ搾り取って、中国に対しては貿易問題を有利に運ぶように対峙していくって所でしょうか。
貿易や外交を利用して、中国のこれ以上の強大国への道を、できるだけ阻止したいというところでしょうか・・。(どの程度、効果があるかは、現状ではかなり、未知数ですが・・)

物には༳

この程度の浅はかな分析(しかも見当違い)しかできないということは、根本的に情弱なのかお花畑なのか工作なのか理解に苦しむ。まあ、おそらく工作であろう。
しかし、もし本気でそう考えているのであれば、トランプ政権の本質を知る意味でも、まずは馬渕大使の本を読んで勉強してもらいたいものですね。

しかし・・、ダブル属国って、おもしろいですねえ・・。(おもしろくはないですが)
歴史上の事例を見ますと・・、どこが該当しますかねえ・・・?
日本とロシアに影響力を握られていた大韓帝国でしょうか・・?
あああ、それとも、清と日本両方に服属していた琉球王国でしょうか・・?
それとも、分割されたポーランド・リトアニア共和国みたいな感じでしょうか・・?
まあ、どの道・・、ろくでもない結果しか待っていない感じですね・・(吐血)
しかし・・日本もファーウェイとZTEの製品を、アメリカにならって使わないとも言ってますし・・、いちおう、いまんところアメリカの属国路線は継続ですかね・・?
しかし・・、日本人はなんか大陸に夢を持ちたがるからなあ・・・・・。
下手に(中国への)経済依存度をこれ以上強めれば、それこそ、やっぱりダブル属国(アンド破滅)の未来ですかね。
しまいには・・、「日本を守るには、アメリカの属州になるしかないんだよ!」って、利口なことを言いだす人も出てくるしまつなんじゃ・・・・(笑)
・・・・・・・・・・・(-_-&#59)