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異世界は召喚されし者に優しくない

異世界は召喚されし者に優しくないep9 これは狩りなんかじゃない

 むせ返るような草木の匂いの中で、サトルたちは太陽の暖かさとともに目を覚ます。  夏とはいえ夜は冷えるので、それぞれマントにくるまって過ごした。見張り番で起きていたミナト、ヒナタは起きてくるサトルたちに挨拶をする。 「おはよーっす~」 「お、起きたっすか? おはよっすわ~」  ツバサはまだ夢の中なのか、...
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異世界は召喚されし者に優しくないep8 遭遇と奇襲と初実戦

 義勇兵たちからゴブリン草原と呼ばれる草原は、外壁城門を出て東北へ山の裾をなぞるように歩いて2時間ほどのところにある。  イシス神を信仰する人族やドワーフ族、エルフ族、獣人族が追いやられたアトゥム大陸西側の端は、東側に険しい山稜が囲むように存在し、魔人族と言えども大軍を率いて進行できるルートは限られている。 ...
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異世界は召喚されし者に優しくないep7 はじめての市街地と覚悟

 訓練初日から3ヶ月が過ぎ、日の出とともに暖かな日差しが窓から差し込み、義勇兵たちを眠りから起こす。  日差しとともに小鳥の鈴の音のような鳴き声が、優しく義勇兵たちの耳元に届く。  空は晴れ渡り雲1つない。  朝の風が青々しい草の匂いを運び込み義勇兵たちを包む。  今日、サトルたち義勇兵は自分たちが契約...
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異世界は召喚されし者に優しくないep6 教官と義勇兵の訓練最終日

 すでに新米義勇兵たちは新米ではなくなってきた。訓練期間の3ヶ月終了を目前として、3ヶ月前とは異なる身体つきになっている。  自己回復魔術によって一晩で疲労や筋肉が回復するので、超回復期間が必要ないのだ。自己回復魔術がなければ15ヶ月はかかるであろう訓練を、わずか3ヶ月で義勇兵たちは成し遂げつつある。  変化...
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異世界は召喚されし者に優しくないep5 はじめての休日と銀の誓約

 サトルたちが訓練を受け始めてから9日の日々が過ぎた。  非常に濃密で厳しい訓練も、自己回復魔術で一晩で体から疲労が抜けるのだから、わずか8日の訓練でも相当に体力がついたと班員全員が感じていた。事実、訓練初日は息も絶え絶えだったのが、現在ではだいぶ楽になったとサトルは感じていた。  ツバサだけは未だに息も絶え...
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異世界は召喚されし者に優しくないep4 訓練初日

第一章 チートなき世界でのあまりモノ義勇兵ep4 訓練初日  この世界で、夜の班部屋で照明に使えるのはろうそくだ。しかしマッチがない。  新米義勇兵たちはまだ魔術を教えてもらっていないので、そもそも夜に班部屋は灯りがない。見張りの兵士たちに申し出れば火をつけてくれるだろうが、それも少々悪い気がする。 ...
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異世界は召喚されし者に優しくないep3 訓練日前の活気と喧騒と料理

 サトルはふと目覚める。  すでに窓からは陽光が入っており室内は明るい。爆睡しているヒナタ、ツバサを起こしてすでにいないダイチ、ミナト、ユウイチロウがどこに行ったのか? を眠気の醒めない頭でボーッと考える。炊事場だろうか? ととりあえず1階に降りてみることにし、部屋の扉を開けて左側の階段を降りていく。  後に...
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異世界は召喚されし者に優しくないep2 あまりモノたち

 様々な説明が歩兵第三分隊長や役人らしき男たちから行われた。義勇兵の兵種や給料、寮舎、ギルドと呼ばれる訓練所、そして魔術の説明も。  あまりにも説明が多岐にわたるのだが、説明前には少冊子の本が配られたことに召喚された男たち数人はは驚いていたようだ。  転移ものの定番といえば羊皮紙という知識があったからで...
異世界は召喚されし者に優しくない

異世界は召喚されし者に優しくないep1 プロローグ

 ふとサトルの目が覚めるとそこは薄暗い空間が漂っていた。ゴツゴツとした岩の感触が背中から感じられる。薄暗い中で目を開ければ幾人かの人の気配がするようだった。  「なんだよ! ここは!」と怒声が響いた。声がエコーしている。  サトルにも何が何だか理解が不可能だが、自分は自殺したはずでは? とふと思い出す。なぜ生き...