クルーグマンがグローバル化の問題をついに認め、自己批判をする

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 驚きのニュースが飛び込んできました。ポール・クルーグマンと言えば主流派経済学者の中で、代表的な自由貿易論者でした。財政出動などの重要性はある程度認識するものの、自由貿易を絶対視している1人だったのです。

 そのクルーグマンが「経済学者(私も含む)はグローバル化の何を見誤ったか」と題した論説 を、今年10月に発表しました。ようやく主流派経済学者の中でも、グルーバル化の悪影響や問題が認識され始めたのです。
参照:グローバル化の弊害を見落とし、トランプ台頭を招いた経済学者のいまさらの懺悔| ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 その詳細を解説します。

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主流派経済学がようやく認識した、グローバル化の問題

 自由貿易は必ずしも善ではない。これは反グローバリズムを唱える私達にとって、あまりにも自明のことです。歴史上の先進国のほとんどは、保護主義を採用して先進国にたどり着きました。自由貿易で先進国になった国家は、まだ存在しないのです。
 ……むしろ19世紀のオランダなど、自由貿易で凋落していった国家なら存在します。

 自由貿易はリカードの比較優位や、ヘクシャー=オリーンモデルといった「数字上は美しく証明されたモデル」によって擁護されてきました。
 クルーグマン自身は「数学という素敵な衣装をまとった美しい理論を真実と思い込んでいた」と2009年に書いていますが、自由貿易擁護も同様だったのです。

自由貿易とグローバル化の問題点

 グローバル化とは「ヒト・モノ・カネが国境を超えて、自由に行き来する様」です。昨今の自由貿易協定ではモノや関税だけでなく、サービスや投資(カネ)といったものも協定の内容に含まれます。さらに日本では2014年、2018年の入管法規制緩和で移民を実質緩和し、ヒトの移動の自由も高まりました。

 これらの諸要素が何を生み出すのか。モノの自由な移動は、後進国などの人件費の安い国家への生産の移動を意味します。先進国の産業空洞化と言われる現象を、引き起こします。
 カネの自由すぎる移動は、タックスヘイブンや2008年のリーマンショックなど、多岐にわたって問題が生まれます。特に問題なのは後進国が海外の投資に頼りすぎ、なにか問題が起きると一気に投資が引き上げられることです。

 ヒトの移動については、もはやいまさらでしょう。移民問題は文化の衝突など、様々な問題を引き起こします。

 またグローバル化が進めば、ピケティが説いたように格差が広がります。1%の持つものと、99%の持たざるものへと分断されていくのです。この減少への反発がアメリカで起こった「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)運動」です。

グローバル化を修正することは可能か

 グローバル化を今から修正することは、可能でしょうか。不可能とは申し上げませんが、記事でも「手遅れかもしれない」と書かれています。筆者も残念ながら、ある程度同じように思います。いくつかのハードルの高い問題が存在するからです。

  1. 1カ国だけグローバル化から抜けるのは、かなりハードルが高い
  2. 四半世紀の間にグローバル企業の力は強大になり、今や政治への影響も避けがたい
  3. 過去のグローバリズムを振り返れば、戦争によって解決してきたという歴史がある

 まず日本1カ国だけグローバル化から抜け出るというのは、かなりハードルが高い話でしょう。世論の反発も予想されますし、安全保障でアメリカを絡めて論じる有識者やメディアも出てくるはずです。実際に短期的には、デメリットが目立つ選択肢でもあります。

 また四半世紀かけて強大化したグローバル企業は、すでに政治に大きな影響を及ぼしています。TPPや日米貿易協定、日本への政治的注文etc……。果たしてグローバル企業を無視して、グローバル化を修正できるのか。これもハードルが高いでしょう。

 ハードルが高いからこそ、過去のグローバル化はおおよそ戦争によって解決されてきました。逆説的ですが、戦争という非情な手段によってしか解決できないほどハードルが高いとも言えます。

 記事によればこのように書かれています。

ハーバード大学の経済学者、ダニ・ロドリックは1997年に『グローバル化は行き過ぎか』という著書を発表した。当時は異端と見なされたこの本を書いたのは「経済学者がグローバル化に全く危機感を持っていなかったから」だと、彼は言う。今ではロドリックの見方が主流になっている。

さしもの経済学者たちも、自分たちが引き起こした事態に対処すべく重い腰を上げ始めた。ロドリックも元IMFチーフエコノミストのオリビエ・ブランシャールと共に格差をテーマにした会議を主宰したばかりだが、もう手遅れかもしれないと言う。トランプ政権下では、まともな議論すらできないからだ。

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