GSOMIAとは?韓国のGSOMIA破棄撤回の裏には何があったのか

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 先日、韓国がGSOMIA破棄撤回を表明しました。韓国国内では破棄撤回の決断に、韓国の世論は大荒れのようです。マスメディアも政府批判と擁護に真っ二つに割れています。アメリカの圧力に屈したとの批判と、GSOMIA破棄撤回は妥当な判断であるという擁護です。妥当な判断とは「日本が話し合いに応じる意思があるため」との理由からだそうです。

 韓国も日本も大騒ぎのGSOMIAについて、簡単に経緯や内容を解説します。

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そもそもGSOMIAとはなに?読み方は?

 GSOMIAとは「ジーソミア」と発音します。日本語では軍事包括保護協定と訳される条約で、アメリカが60カ国以上、韓国が21カ国、日本が7カ国と締結しています。同盟などの親しい関係にある2カ国以上の国家で、軍事情報などを第三国に漏洩しないために締結する条約です。
 この条約を締結することで、2カ国間以上の国家間で軍事情報のやり取りがスムーズになるというメリットがあります。やり取りされる情報は軍事技術や軍事データ、暗号情報、高度なシステム統合技術などです。

 日本と韓国がGSOMIAを締結したのは2016年11月23日です。GSOMIAは1年米に自動更新され、破棄には3ヶ月前の通告が必要です。韓国は2019年8月23日にGSOMIAを延長せずに破棄を決定しました。しかし土壇場の11月22日に破棄撤回を表明します。

 一体何があったのでしょうか。

GSOMIAを韓国が破棄しようとしたのはなぜか

 GSOMIA破棄の問題の根底には、日韓徴用工問題があると言われています。日韓基本条約の付随協約(日韓請求権協定)によって国家間の請求権は失効してますが、個人から韓国に展開する日本企業への請求権は失効していません。
 1965年に結ばれた日韓基本条約では、日韓両国が相手国への請求権を放棄しています。同年に制定された財産権措置法で、日本国内における韓国民の1945年以前の財産権は消滅しました。したがって請求も日本国内では不可能となります。

 しかし上述したとおり、韓国民の「日本国内への請求及び財産権の主張」が無理なだけであり、韓国内における日本企業への慰謝料請求権などが消滅したわけではありませんでした。よって韓国に展開する日本企業が、韓国司法の判決により慰謝料などを請求される事態となりました。

 日本政府はこの事体に対して、強い姿勢を見せます。韓国政府に対して、日本企業への請求を取り下げるよう働きかけます。一方で民主主義では三権分立が大原則です。韓国政府が韓国司法の判決を覆すのは、原理原則に基づけば到底不可能です。

 日韓徴用工問題がこじれ、日本は韓国に対してホワイト国除外という圧力措置をとったのではないか? と言われています。

ホワイト国とは?

 ホワイト国とはキャッチオール規制(保管的輸出規制)と呼ばれる規制を、回避するための枠組みです。大量破壊兵器や通常兵器に使用される恐れのある物資、ないし技術を輸出する際に経産大臣からの許可が必要という規制です。
 ホワイト国とは優遇国です。キャッチオール規制にかかる物資や技術も、ホワイト国に認定されていると経産大臣の許可を必要としません。ホワイト国でない場合は経産相に届け出て、3ヶ月ほどの期間が許可にかかるようです。

ホワイト国から外されて、国内産業に打撃を受けた韓国の衝撃

 日本は「戦略物資の管理が杜撰であり、改善の意思も見られない」との理由で韓国をホワイト国から除外しました。キャッチオール規制にかかる物資のなかには、半導体メーカーの必需物資も含まれていたため、韓国経済は大打撃をうけると予想されました。

 日本のホワイト国除外という措置に対して、カウンターとして持ち出したのがGSOMIA破棄でした。日米韓の軍事依存度を知っていれば、GSOMIA破棄というカードがいかに重大なものであるか? が理解できようというものです。それだけホワイト国除外は、韓国にとって衝撃的な措置でした。

日本はどのような立場を表明しているのか

 日本はGSOMIA破棄問題で、一貫して「輸出規制(ホワイト国除外)の問題と安全保障の問題は別分野」と表明しています。確かに一連の流れを見ずに、ホワイト国除外だけにフォーカスすれば適切な処置であったと言えます。

 しかし輸出という経済と軍事を、分けて考えることは難しい話です。なぜならロシアのクリミア問題に対して、アメリカやヨーロッパはどう動いたのか? 輸出入や投資の規制による経済制裁です。貿易と安全保障はかくも、密接につながっています。

 また日本はホワイト国除外に関して、軍事転用される恐れのある物資の管理が信用できないという「安全保障上の問題」を理由としました。キャッチオール規制そのものが、根本的には安全保障問題をはらむのです。
 したがって日本の「輸出規制と安全保障は別問題」は、ある種の詭弁でもあります。

 ただしこの詭弁が悪いかどうか? は別の話です。まかり通って日本の国益になるのなら、詭弁も正義になりえます。

アメリカが韓国に圧力をかけたワケ

 今回のGSOMIA問題では、どうしてアメリカは日本の肩を持ったのでしょうか。「日本の主張に正当性があったから」という捉え方は、あまりにナイーブに過ぎます。アメリカが韓国に圧力をかけた背景を理解するには、現在の国際情勢を理解しなければならないでしょう。

 踊り場に来た米韓同盟:GSOMIA破棄と破棄延期の真意 | ニューズウィークが、非常に素晴らしい見解を書いています。要約しますと「文在寅などの韓国左派の姿勢は『自主自立』である。したがって韓国の軍事費は、過去の政権よりかなり伸びている。韓国は大国の影響下から逃れたい。GSOMIA問題のように、賭けに出る(アメリカが日本に圧力をかける選択肢もあった)こともいとわない」というものです。

 対米従属の安倍政権と、ニューズウィークの見解が正しいとすると「自主自立」をしたい文在寅政権。どちらがアメリカにとって都合が良いか悪いか? を考えれば、おのずとアメリカが韓国に圧力をかけた動機も理解できるでしょう。自主自立の思惑のあるような政権は、アメリカの東アジア戦略にとっては非常に都合が悪いのです。

 GSOMIA問題において、表面上の事象として日本は勝利したように見えます。しかし現在の段階は11月22日以前に巻き戻っただけです。
 またGSOMIA問題において日本の対米従属が、一層加速するのではないかという懸念も存在します。

 手放しで「韓国に勝った!」と喜んでいる場合ではないのかもしれません。

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Muse

お久しぶりです。

>またGSOMIA問題において日本の対米従属が、一層加速するのではないかという懸念も存在します。
 手放しで「韓国に勝った!」と喜んでいる場合ではないのかもしれません。

というか、対米従属が加速する懸念どころか、もはやのっぴきならない状況まで日本は追い込まれています。ずばり日米貿易協定のことです。7700億円規模もの農業市場をアメリカに明け渡しながら、日本側が得た成果はほぼゼロ。しかも、米国通商代表部の連中は、この協定は「まだ一里塚に過ぎない」と公言している状況。

このまま安倍売国政権というか、自民党政権が続く限り(あるいは共産党やれいわ以外の野党政権に交代しても)、投資やサービス分野まで含めた包括的な日米FTA締結まで至ることはほぼ確実。ISDS条項やラチェット条項の影響で、日本の公的医療保険制度や介護制度、公的年金制度も壊滅。日本は米国に対する完全従属奴隷国家と成り果てるでしょう。

そうなってからでは手遅れですね。かといって、大多数のアホ国民がいつまでも危機感を感じないようでは、総選挙による自民党政権の打倒も望み薄。かといって香港市民のように武力闘争も辞さないほどの反政府運動が全国的に盛り上がることも期待できない。そういう意味では、このまま他国への奴隷化の道を自ら突き進もうとする日本国民の民度は最低最悪レベルだと言えます。

阿吽

ニューズウィークでは、米中から自主独立とありますが・・、アメリカからは兎も角、中国からの完全なる独立は不可能でしょうね・・。

それほどまでに、現在の韓中関係は、経済的に韓国の依存度が高いと思いますので・・・。(実際、韓国は中国の微細粉塵問題とかで深刻な、本当に深刻な問題を受けていながら・・、その問題の根本である中国には、ほぼ現状ではなにも言えていません)

韓国人は中国が好きかと言われれば嫌いでしょうけど、実際問題、現在、韓国は中国への経済的な依存度が高すぎて、中国には現状なんにも言えません。

アメリカからは自主独立できるかもしれませんが・・、待っているのはほぼ100%、中国の傘下に入る未来でしょうね・・。

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>「韓国に勝った!」

個人的には、今回の日韓のいざこざは、良く見ても引き分けか、韓国の辛勝の可能性もあるかとは思います。

それは・・、日本政府が交渉をすると言ったからです。

今まで、貿易管理の件は、その当時国の主権で下せる問題なので協議する必要さえないというふうな感じにしておきながら・・、今回、輸出管理の件で交渉をすると言ったのです。

交渉の席に引っ張り出されてしまった段階で、日本はかなり譲歩したと言えます。

この段階で、韓国は場合によってはひとまず日本に勝ったとも言えます。

ただ、韓国の一度の勝利が、完全勝利になるかどうかは・・、来年4月の韓国の総選挙までに、日本の対韓輸出管理をグループA基準に戻せるかどうかにかかっているかとは思います。(おそらく戻せなければ、ムンジェインの与党は選挙に負けるでしょう)

ここまでに日本の対韓輸出管理をグループAまでに戻せなければ、今回の日韓間のいざこざは、日本の逆転勝利になるかと思います。

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ただし・・、今回の韓国のGSOMIA復帰騒動は、最終的にアメリカの強い意向が働いたかとは思います。

そのアメリカの意向の中、今度は日本が韓国の駄々を余分に聞くべきだとアメリカが判断するかもしれません。

そうなれば・・、結果として日本は韓国をグループAに戻さざるをえなくなるでしょう。

そもそも韓国の輸出管理の不備自体は、実際のことなのでしょうから・・、その輸出管理が不十分な段階でのグループA復帰は、日本の安全保障上も、日本の負けと言えるでしょう。

今までの常識から考えれば・・、日本政府はアメリカの強い意向を忖度して、韓国の望みをかなえるでしょう・・。

しかし、こんどのパターンはどうなるでしょうかね・・・?

今回の韓国の暴挙からも思うに・・、戦後レジームは74年がたった今、かなりほころびがきていると思いますので・・。それは、日本が望む望まないは別にしても・・。

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今回の事態・・、上記までは、韓国が勝った可能性があると書いてきましたが・・、ムンジェイン政府としては、ある意味負けなのかもしれません・・。

それは、今回の件を、米韓の円満離婚とは持っていけなかったからです。

ムンジェイン政府としての最良のシナリオは、日本が何もかも悪くて、韓国はなにも悪くないのに、GSOMIAを結果として日本のせいで破棄せざるをえなくなってしまうということだったのではないかと思うからです。

それを考えれば、今回の日韓の事案は、ムンジェイン政府にとっては負けとも言えます。

しかし、この先、日本が、今回アメリカが韓国にかけたGSOMIAを維持せよという強い意向を忖度せずに、もし仮に、グループAに戻さず結果として韓国のGSOMIA破棄の決定というものに及ばされてしまった場合・・、アメリカはもしかしますと、このGSOMIA破棄の責任の半分か、もしくは全部近くは、日本にあると考えるようになるかもしれません。

そのような状態でのGSOMIA破棄をすることができれば・・、ムンジェイン政府の大勝利とも言えるのではないかと思います。(日本が悪い状態でGSOMIAを破棄できるため)(韓米の円満離婚)

自由民主主義韓国としては、大陸国家の中国への隷従の最初の一歩となりますので、それはそれで民主主義韓国としては負けかもしれませんが・・、民族主義者のムンジェインにとっては大勝利でしょう。

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しかし、時代の空気は東アジアの戦後レジーム(米日韓の軍事的協力関係)をどんどん崩壊させていますので・・、どうなりますかね・・?

今までの常識で考えれば・・、この問題も最終的には、アメリカにおもんぱかった日本の譲歩で決着でしょうが・・・。

アメリカが日本に対してはもしかしますと言うほどプレッシャーをかけないと言う未来だって、もしかしましたら皆無ではないかもしれません。(アメリカの東アジアからの関与の縮小をするかもしれないという方針を考えていけば・・)

もしくは日本がアメリカの意向を無視すると言う可能性も、万に1つはないともいいきれません。

今までの常識通りで考えるか、またはifの展開があるか・・、今後この件、どうなるでしょうかね・・。

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