現代貨幣理論(MMT)がイマイチ理解できない人のための入門記事

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民間の信用創造の概略

 現代貨幣理論(MMT)が報道され続けています。しかしイマイチぴんとこない、という人は多いのではないでしょうか?

 現代貨幣理論(MMT)の中で、一番のエッセンスは「信用創造」かと思います。なぜなら、今までは「預金から、銀行は貸付をしている」という因果関係が、じつは逆だったと現代貨幣理論(MMT)は説明します。
 つまり「貸付されるから(借金する人がいるから)、預金(貨幣)が増える」と説明するからです。

 上記の見解は、じつは銀行家の間ではポピュラーなものです。イングランド銀行も、そして日銀の黒田総裁も認めています。

 出来る限りわかりやすく、解説してみます。

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信用創造というちょっと理解が難しい現実

 信用創造への理解の、なにが一番わかりにくいか? これまでの一般的な説明では、以下でした。

  1. 国民が銀行に預金する
  2. その預金から、銀行は貸付を行う

 一般的に流布したイメージが、理解を妨げているのでしょう。

 ではちょっと、視点を変えてみましょう。ゼロベース・民間ベースで簡略化して考えてみます。

  1. 国民の預金は存在しないし、貨幣も流通していない
  2. 民間銀行もバランスシートはゼロ

 上記の状態で、新しい通貨の「円」が発行されました。円は日本の法定流通貨幣です。預金が存在していないので、銀行は貸付ができないのでしょうか? 答えはNOです。
 銀行の口座操作は、なにも「現金を右から左に移している」のではありません。
 例えばAさんの口座に「100万円」とかけば、100万円のお金が生み出されます。

 Aさんが100万円を借りると、以下のような状況になります。
※銀行にとって、預金は負債に計上されます。

  1. 銀行側は口座に100万円の負債と、100万円の債権が生まれる
  2. Aさんは銀行から100万円借りて、100万円の預金(資産)と100万円の借用書が生まれる

 上記は、基本的に政府と日銀の関係でも同様です。

  1. 日銀側は口座に100万円の負債と、100万円の債権が生まれる
  2. 政府は日銀から100万円借りて、100万円の預金(資産)と100万円の借用書(国債)が生まれる

バランスシートへの理解が必要

 「誰かの負債=誰かの資産」は、貨幣経済の基本的な原則です。もっとわかりやすく表現すれば「誰かの債務=誰かの債権」です。

 借金だけが、単独で存在することはあり得ません。また資産だけが、単独で存在することもありません。
 そして国家全体に置いては、負債と資産は必ず一致します。

日本のバランスシート

 バランスシートは常に、負債を拡大することで拡大します。
 もっと簡単に言いましょう。「(政府であれ企業であれ)借りて使う人」がいないと、「貸せない」のは明白です。

貨幣の度量衡的な性質

 貨幣の単位とは、度量衡に似ています。1メートル、1キログラムなどです。

 では「1メートル長さのもの」を見た人はいますが、「1メートルそのもの」を見た人はいますでしょうか?
 いないはずです。1メートルというのは「概念」ですから。

 では問題です。1万円の商品は知っていても、1万円という「価値そのもの」を見たことがある人はいますか? いないでしょう。
 現金紙幣にしても、1メートルの定規みたいなものです。1万円紙幣が、1万円という「価値そのもの」ではないのです。

 「誰かの負債は、誰かの資産」と言いました。簡単に表現すれば「社会の中の、貸し借りを単位化したものが貨幣」なのです。
 メートル法などの度量衡が「数学的システム」だとすれば、貨幣は「貨幣社会のシステムそのもの」が本質であり、現金貨幣はその一部にしか過ぎないというわけです。

 結局なにが言いたいのか? 現金を中心に信用創造を捉えることは不可能なのです。

信用創造と貨幣制度と銀行制度

 最後になりましたが、重要な部分を見ていきます。

 貨幣制度も銀行制度も「国家の制度である」という点は、非常に重要です。
 冒頭で述べたとおり、イングランド銀行も黒田日銀総裁も「誰かが借りたら、預金が創造される=バランスシートが拡大する」ことを認めています。

 これは「どの説が正しいか?」ではなく、単に銀行制度や貨幣制度は「そうなっているから」としか説明しようがありません。
 サッカーでゴールしたら、点が入るのは「そういうルール(制度)だから」でしょう?

 銀行は預金通貨を「発行できる制度」のもとで、運営されています。
 貨幣制度は「誰かが借りることで、市場に出回る制度」のもとで動いています。

 ちょっとした思考実験をしましょう。
 すべての経済主体(政府(日銀含む)・企業・個人)の負債がゼロになったら、どうなるでしょう。

 現金通貨は、日銀の負債です。これも当然、ゼロになります。
 負債がゼロということは、資産も現金も預金通貨も「ゼロ」になります。市場からお金が消えるのです!

 どうやって使うのか? 誰かが「借りて使う」ことをしないといけないのです。

需要側の経済観と、供給側の経済観

 リフレ理論というのが一時期、流行りました。主流派経済学の亜種です。
 理論内容は単純で、「お金を日銀が供給したら、使われる量も増えるはずだ」というものです。

 結果はどうなったのか? 異次元の金融緩和の効果は、ほとんどと言っていいほど出ていません。
 いくら供給したところで、需要(借り手)が不在なら意味がないからです。

 逆にケインズ系の経済学では、需要を重視します。積極財政派や現代貨幣理論(MMT)の支柱の1つ、機能的財政論もそうです。
 「借りて使う」で「バランスシートが拡大する、つまり経済全体が拡大する」わけです。

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銀行間決済について

最初、A銀行のBSを①とします。
① (A銀行のBS) 資産の部:0円 / 負債の部:0円

次に、
A銀行はa顧客に100万円貸し出しました。その時のBSの変化を②とします。
② (A銀行のBS) 資産の部:100万円のa発行債券 / 負債の部:100万円のa顧客の預金

次の日、a顧客はB銀行のb顧客口座に80万円を振り込みました。
B銀行も最初のBSを③だったとします。
③ (B銀行のBS) 資産の部:0円 / 負債の部:0円とします。
さて、振り込み後のB銀行のBSは、④としてどのように書けるでしょうか?

高橋さまの言う信用創造が正しいのなら、この操作も可能なはずですね。

> 4者をちゃんとかけば、BSは合いますよ?
>A銀行:資産100万円 負債20万円
>B銀行:資産0円 負債80万円

・振り込まれたB銀行は負債だけが増えているのに文句を言わないわけですか?
・変だと思わないんですか?

・思わないとしたら、
・貸借対照表やMBの意味への理解がおそらく不十分なせいなのでしょう。
・下記のWEB URL に説明しています。
(MBについて)
https://ameblo.jp/nanaminoyuu/entry-12088554173.html
(MSについて)
https://ameblo.jp/nanaminoyuu/entry-12093131226.html

黄昏のタロ

(。・_・。)ノ またまた、お邪魔しますです。

(。ー_ー。)ノ ええと。担保だとか、他の人が質問してたMBは、銀行とかの都合的な部分で、MMTの外側ってなりそーですね。

(。●_●。)ノ 合ってますか?

ーーーーーーーーーーー
(。ー_ー。)ノ あと、国債。基本は判ってもMMTと国債のシステムは相性が悪そうです。
 MMT的にはインフレにならなければ国債は増えてもだいじょーぶ。デフォルトは回避できそーなのは何となく判るですよ。デフォルト回避は具体的にはどーするのですか?
 国債は返したり借り換えないといけないルールです。金利はしょうがないとして、このまま国債を発行し続けるんだろうなって思ってるです。国の借金(国債+金利)は問題ないとしても増えちゃう。MMT的にはどう考えるのですか?

(。・_・。)ノ 入門記事(国債編)をちゃっかりリクエストしちゃうです。

黄昏のタロ

(。・_・。)ノ 返信ありがとーです。

 早速の解説の記事、ありがとーです。

(。●_●。)
 じっくり読んでるです。

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