北方領土問題のアプローチを日本は最初から間違えていたのでは?

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 この稿は2018年10月の記事を、再編したものです。北方領土問題で、昨日書きました丸山穂高議員の 北方領土戦争発言と平和主義日本の反応は、どちらもずれてるの、認知不協和の問題がいかに深いのか? を再確認するために掲載します。

前提条件なしの平和条約締結がプーチンから飛び出したわけ

 2018年9月12日の日露首脳会談は日本にとって非常に苦しいものになりました。「年内に平和条約を締結しよう。一切の前提条件を付けずに」という発言に安倍総理が何も返せず、ただ苦笑いするだけだったからです。

 しかしじつはこの発言の前段には安倍総理のスピーチがあった、という話です。「残念ながらいままで領土問題が解決せず、平和条約を締結できなかった。いままでのアプローチを変えていくべきだ」とスピーチしたので、プーチンが「じゃあこういうのはどうだい?」と発言したというわけ。

 つまりこの日本の苦境と言われる状況は、一見するとプーチンがとんでもないことを発言したからと思われがちですが、本当はプーチンは安倍総理のスピーチにボールを投げ返しただけというわけ。いや、この場合安倍総理からするとブーメランが飛んできたように思えるかもしれませんが。

暗礁に乗り上げた北方領土問題

 プーチン大統領「70年も足踏み」日本と相いれず(毎日 2018.10.19)によるとプーチンは以下の見解を示したそうです。

  1. 70年間の日露は足踏みしており、終わりが見渡せない
  2. 平和条約の前提条件に北方領土の帰属問題を入れる、日本の立場とは相容れない
  3. 南クリミア問題のときに、経済制裁もされたし信用は醸成されていない

 日露首脳会談は2018年9月時点で22回を数え、過去最高となっておりまして一部の国際情勢音痴は「さすがは安倍総理! トップ同士の信頼醸成が問題解決には不可欠!」などとゴマをすりましたけれども、プーチンからあっさりと3.南クリミア問題のときに、経済制裁もされたし信用は醸成されていない、と言われております。

 谷内国家安全保障局長がとロシア国家安全保障局長の会談で、ロシア側が「北方領土を返したら、そのに米軍基地を作ることはあり得るか?」と聞いたときに、日本側は「あり得る」と答えたのだそうな。この問いはロシア側は「日本は独立国家なの?それともアメリカの属国で決定権はないの?」という本質的な問いでありましたので、それに対して日本側は「我が国はアメリカの属国である」と答えたことになります。

 北方領土を返還したら、敵対的な国家の軍基地がそこにできる可能性があるとわかって返還するような国家は、この地球上では存在しません。

 ちなみにこの谷内国家安全保障局長は安倍総理の側近だそうです。

最初からアプローチが間違っていたのではないか?という根底の問題

 日米安保の日米地位協定では米軍が日本に基地を新設する際に、事前協議が行われるそうですけれども、谷内国家安全保障局長の回答を見る限りにおいて、日本側に拒否権はないと見なければなりません。

 でなければ「北方領土に米軍基地が建設されることがあり得るのか?」という問いに対して、北方領土問題が明らかに不利になるにもかかわらず「あり得る」とする回答は出てこないでしょう?

 そして北方領土に米軍基地が建設されることは、ロシア側にとっては決して容認できることではないわけです。新しいアプローチだかなんだか知りませんけれども、安倍総理の外交方針では100年経っても北方領土は帰ってこないことでしょう。

 そもそも・・・属国(違う陣営)と独立国の外交交渉では、信頼の醸成以前の問題であるわけです。南クリミア問題での日本側の経済制裁についても、プーチンが指摘したのは「日本は独立国にならないの?じゃないと信頼醸成なんてできないよ」という見解に相違ありません。

 つまり、最初から北方領土問題に対して日本はアプローチを間違えていたのです。北方領土問題を解決しようとするのならば、それはすなわち日本が独立国、主権国家として振る舞うことがロシアにとっても必要なのです。

 アメリカが口を挟めば、ちゃぶ台をひっくり返さざるを得ないような国家と、だれが有意義な交渉ができると思います?

 とするのならば、日米安保は日米同盟にして双務的条約になるのが理想的ですし、もしくは日米安保の破棄でも良いでしょう。将来の話ですけれども。

 その前にやれることと言えば、日米地位協定の改定こそが北方領土問題を解決するには絶対に必要です。米軍に特権を与えず、日米安保よりも日本の国内法が優先されるのだ、としなければなりません。

 「守ってもらってるんだから、特権はある程度しょうがないのでは?」と思う方は、横田空域を検索してみてください。なるほど、日本は未だに占領下なのだと思い知ることでしょう。

 日本の主権回復、主権国家として振る舞えるようになることこそが、北方領土問題の解決には絶対に必要不可欠です。

 ちなみにおまけと言ってはなんですが、以下の記事をどうぞ。

プーチンの北方領土棚上げと安倍首相の屈服に、領土問題が大好物の極右論客・安倍応援団はどう反応したのか?(LITERA)

 上記の記事によるといわゆる保守派、右派と目され、北方領土問題で勇猛果敢な発言をしていた方々は、プーチンの発言があってから北方領土問題をスルーし始めた御様子。

 論じてきたように北方領土問題は、日本が主権国家として存立することが必要不可欠・・・という問題を突きつけられて黙ったのではないか?という疑義が濃厚にあります。彼らの価値観的表現をしますと、プーチンは親日であり、彼らいわゆる保守、右派のほうが親米反日的であったのかもしれません(笑)

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