食糧安全保障こそが国家安全保障に重要 安全保障と効率性の両立は不可能


 現代ではとにかく「効率性!」「もっと効率的に!」といわれます。規制緩和や市場競争の激化、構造改革などはすべて「効率性」を求めたものでしょう?

 しかし、効率性を追求すると安全保障は成り立たない、と知ってましたか? 安全保障は基本的に、非効率的なものなのです。

 この稿では、その概念を構造を解説したいと思います。

安全保障とはなにか?

安全保障とは、ある集団・主体にとっての生存や独立、財産などかけがえのない何らかの価値を、脅威に晒されない様にから何らかの手段によって守ることを主に指すが、その概念は非常に多様である。

国家安全保障 – Wikipedia

 安全保障とは国家によって、最終的には保たれます。なぜなら、国家以上の共同体が存在しないからです。

 軍隊は国家にとっての安全保障上、絶対に欠かせないものです。
 では昨今の風潮のように、軍隊は効率的でしょうか?

 軍隊は平時において、はっきり申し上げて「非効率的」になります。日本でいえば、自衛隊は5兆円程度の予算を持ちながら、平時には何も生産はしてません。
 しかし、必要でしょう?

 安全保障とは基本的に、効率と相反するのです。安全保障=非効率的・冗長的と考えてよいでしょう。

食糧安全保障は国家にとってトップクラスに大事

 安全保障とは一般的に、軍事のことを指すイメージがあります。しかし、エネルギー安全保障、食糧安全保障、軍事安全保障、社会保障等々。様々な分野があります。

 人はどうやって生きていくのか? と考えたとき、食糧安全保障こそが、私は安全保障政策の根本ではないか? と思います。

 軍隊がなくても生きていけますが、食糧がなければ20日で死にます。
※生きていけるだけで、隷従させられる可能性は非常に高いので、当然軍事安全保障も大事です。

 現在の日本の食料自給率は40%を切って38%(カロリーベース)だそうです。

第2節 我が国の食料自給率の動向:農林水産省

参照:日本の食料自給率:農林水産省(平成29年度の最新データあり)

 たびたび、ヨーロッパの農業補助金や、アメリカの輸出補助金的農業補助が問題になりますが、逆に問題なのは日本です。
 いくら工業国家になったとはいえ、車は食べられません。
 ヨーロッパやアメリカが、農業に補助金を出すのは、食糧こそが人の生きる糧だと知っているからです。
 アメリカなどは「小麦は戦略物資」とまでいっています。

 日本でも「腹が減っては戦はできぬ」と申します。いくら軍事に予算を注ぎ込もうが、食糧がなければ日本の安全保障は守れないのです。

なぜ日本の農林水産業は衰退していくのか?

 非常に簡単な話ですので、結論だけ先にいいます。ずばり、儲からないから、不安定だからです。
 農業所得は全国平均で180万円ほどだそうです。農業外所得などを合わせて、521万円だそうです。兼業農家などもありますから、農業所得が低くなるのは仕方がありませんが……。

 なぜ兼業農家が増えたのか? 当然「儲からないから」です。

 日本の食料安全保障を高めるためには、食糧自給率を高める必要があります。
 食糧自給率を高めるためには、多くの人にとって農林水産業が”魅力的な産業”になる必要があります。
 どうしたら魅力的になるかって? 儲かるか儲からないかでしょ。

 しかし、日本の国土は、オーストラリアやアメリカなどの平地が多い国家に比べ、山に険しく平地は少なく、不利です。
 そもそも、大規模化が難しいのです。大規模化が難しい=効率的ではない、ということです。

 であれば、防衛予算のように「農林水産業予算」を計上して、国家として日本の農業を「儲かるもの」にしなければなりません。
 つまり農林水産業に対して、補助金を出すべきです。安定して、平均程度には暮らせるようにです。

国際競争力を追求した和牛の末路

 日本の食料自給率が4割を切っているのに、「農業も海外へ打って出るべし!」などという与太者がいます。

 彼らのいいたいことはこうです。
「国際競争力を強めて、海外で売ればもうかる! 日本の農業は甘えている! もっと競争しろ!」

 先ほどもいいましたが、日本の国土は平地が多い国家に比べ、農業に不利です。アメリカやオーストラリアに、価格で勝てる国土条件ではありません。
 では国際競争力を高めるにはどうするか? ブランド化しかありません。

 その代表格は和牛でしょう。100gで1000円以上の高級和牛。確かに美味しいです。
 ところで皆さん、高級和牛を年に何回くらい食べますか?
 一週間に1回とかいっている、ブルジョワジーは黙っていてください(笑)

 ブランド化とはすなわち、高級化です。日本の農業が国際競争力を得るとは、日本国民には日本産の農産物が「買えない」という事態になります。
 和牛を年に数回しか買えないように。

 では普段は何を食べるのか? 海外産の安い農産物ということになります。
 スーパーでは牛肉もアメリカ産やオーストラリア産が主流ですし、最近は鶏肉ですら海外産が入ってきています。

 国際競争力という名の「効率化」をすれば、食糧安全保障や食料自給率が下がるのです。

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