財政拡大理論=MMTと紹介される-現代貨幣理論理想の地は日本?


ロイターのMMT記事に驚きを隠せない

 焦点:財政拡大理論「MMT」、理想の地は日本か | ロイターで紹介されています。本日目にしたところで、驚きを隠せません。
 ロイターと言えば、大手メディアといって良いと思うのですが、まさかそこでMMT(現代貨幣理論 モダン・マネタリー・セオリー)が紹介されるとは! です。

 早速内容を見ていきましょう。重要部分のみ引用します。

MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)が、注目を集めている。独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、デフォルト(債務不履行)に陥ることはなく、政府債務残高がどれだけ増加しても問題はない、という考えだ。米国では、激しい論争を巻き起こしているが、財政が膨張しながら低金利にとどまる日本は理想の地なのか──。金融緩和策に限界論が出る中で支持が広がるか、市場の関心も高い。
(中略)
アレクサンドリア・オカシオコルテス氏。昨年11月にニューヨーク州から連邦議会下院選に立候補し、29歳で当選。女性として史上最年少の米下院議員となった。将来の大統領候補との呼び声もかかる彼女が、MMTを支持したことで注目が一気に高まった

2020年の大統領選をにらみ、野党・民主党では、財政政策の議論が活発化。民主党左派を中心に提唱されている国民皆医療保険や温暖化対策の1つである「グリーン・ニューディール」の財源を確保する手段の理論的裏付けとして、MMTが採用される可能性もある。
(中略)
こうした理論が脚光を浴びているのは、世界的に金融政策の限界論が強まってきたことが背景だ。非伝統政策に踏み込んでも景気や物価の浮上効果は限定的で、次は財政が政策の中心になるの見方が増えてきている。

ふと文字など、筆者編集

 どうやらアメリカでは民主党が、MMT(現代貨幣理論)を採用するかも知れない、とのことです。
 この背景にあるのは、量的緩和などの金融政策”のみ”の限界、ということです。

リフレ派はすでに敗れている

 量的緩和などの金融政策のみの対応は、すでに限界だと市場関係者も思っている、と記事では紹介されています。
 この”限界”とは明確に、リフレ派の理論の間違いを、現実として裏付けるものでしょう。

 リフレ派の理論は最初から、そもそも矛盾だらけであり否定されてしかるべきものでした。簡単にリフレ派の理論を書きますとこうです。

  1. 通貨をたくさん、日銀が発行する(国債を引き受ける)
  2. 日銀が通貨を発行したなら、”きっと(ないし多分)”市場は借りて使うはずだ
  3. したがって景気が良くなり、インフレになる

 これは政府支出を増やさずに、景気を浮揚させようという奇策のたぐいです。2.の部分が矛盾しているのは、誰でも理解できるでしょう。結果は当座預金にブタ積みになっただけでした。
 なぜこうなったのか? 簡単です。資金需要がなかったからです。
 資金需要がない=(実物への)投資需要もない=景気が悪くて見通しが立たない=需要の低迷となります。
 したがって政府と日銀がやるべきは、需要創出であって、通貨発行なんて意味がなかったと理解できます。
※ただし、政府の実質的な国債残高が減少した、という「予想外の効果」だけは、皮肉にも存在しましたが(笑)

MMT(現代貨幣理論)が財政拡大理論として、紹介されるわけ

 MMT批判も存在はしてまして、中には「経済に役に立たないから」や「MMTはリフレ派と一緒」といった批判もあります。

 なぜMMTが「財政拡大理論」になるのか? の説明も簡単にしておきます。MMT本体は、現実の金融構造を解き明かすだけの学問です。
 したがって、基本的には政策を提案することはあまりしません。先日ご紹介したJGP(雇用保障プログラム)くらいでしょうか。

 またMMTは「金融構造をこう変えるべき」という議論もしてません。現実の金融構造がどうなっている? と議論しているだけです。
 つまり……MMTに限らず、現実の金融構造や、通貨と貨幣の仕組みなどを考察すれば、すなわち財政拡大理論になるはずなのです。
 むしろ近代資本主義において、独自通貨を持ちつつも緊縮財政を志向することのほうが、非現実的と言えるでしょう。
※インフレの際はその限りではありません。

 MMT(現代貨幣理論)はまさに、現実の金融構造を再解釈し、理論化したことにこそ功績があるのだろうと思います。
※再解釈したというのは、すでに地金論争で200年前に一度論じられているからです。

 ここから言えることは、このように表現できます。

  • 現実の金融構造と資本主義:MMTによって再解釈され、理論化、言語化された。MMTが変えるわけではない。
  • 主流派経済学(およびリフレ派等々)の金融構造と資本主義:フィクションであり「こう変えるべき、こうあるべき」論で論じられるイデオロギー。

MMT(現代貨幣理論)はまだまだ広まっていない

 ロイターの記事では、将来大統領候補とされる、最年少女性議員がMMTを支持したですとか、民主党がMMTを取り入れるかも知れない、と紹介されています。
 しかし現状、アメリカでもMMT(現代貨幣理論)の理解者は少なく、日本においては「もっと少ない」のが現状でしょう。

 私は前々から「MMTが緊縮財政・全体主義を打ち破る可能性」について言及してきました。アメリカにおける、ロイターの記事の報道は、その可能性を大いに示唆するものだと解釈しています。

 これからも、MMT(現代貨幣理論)に関する記事は、ときどき書いていくと思います。それによって、少しでもMMTの理解の一助になれば、幸いです。

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