米朝首脳会談不調に終わる-事前の楽観的雰囲気が吹き飛んだのはなぜか

米朝首脳会談は温和な決裂に終わる

 報道によりますと、米朝首脳会談は成果なしに終わったようです。事前にトランプ大統領、金正恩委員長ともに「会談は成功するだろう」と述べていただけに、会談の失敗の原因を探る様々な報道がなされています。

 今回の会談が何を目指していたのか? について復習しておきましょう。北朝鮮としては経済制裁の解除――全面解除か一部解除かは定かではない――を目指し、トランプ大統領は北朝鮮の非核化のプロセスを定かなものにしたい、というものでした。

 トランプ氏記者会見の要旨詳報 米朝首脳会談後(日経)を読んでみたのですが、険悪な決裂というわけではなく、トランプ大統領が相当に北朝鮮に気を使っていることが見て取れます。このような表現は珍しいのですが、温和な決裂と表現できるのではないでしょうか。

どうして決裂したのか? についての興味深い記事

 事前の雰囲気、両首脳の発言ともに楽観的であっただけに、メディアに米朝首脳会談の決裂は、意外性を持って受け止められているようです。私はどうなるか? がわからなかったので、特に会談について触れる記事は出してきませんでしたが、それでもやはり意外だとの感想をいだきました。

 なぜ決裂したのか? について興味深い記事を見つけましたので、ご紹介しましょう。2回目の米朝首脳会談、合意に至らなかった本当の理由 | WEDGE Infinity(ウェッジ)によりますと、トランプ大統領側の、非常に政治的な理由からではないか? とのことです。

 端的に申し上げますと、トランプの懐刀であったマイケル・コーエン弁護士(被告)が検察との司法取引に応じ、トランプ大統領のポルノ女優2人への口止めなどについて、公聴会で証言しているのだそうです。
 他の報道によるとロシアマネーとの関係や、ヒラリー・クリントンの情報をロシアハッカーが、ウィキリークスに流すのも事前に認識していた、などの情報もあります。

 アメリカでは米朝首脳会談より、マイケルコーエン弁護士(被告)の公聴会がメディアで報道され、だからこそトランプ大統領は北朝鮮に、事前の協議より高いレベルの要求をしたのではないか? との記事です。
 実際に記事中によるとこうです。

トランプ大統領はベトナムのハノイに到着すると、早速「コーエンは刑期を減らすためにうそをついている」と自身のツイッターに投稿しました。コーエン被告の公聴会にかなり神経質になっている様子が窺えました。

 つまり事前協議の内容程度で合意し、署名してしまうと国内で批判される。したがって温和な決裂となったのではないか? という推測です。

北朝鮮はこの内容に焦るのかどうか

 報道では専門家が「今回の交渉はトランプの勝ち」というようなことを言っていますが、本当でしょうか? たしかに北朝鮮は経済制裁の解除を求め、弱みを見せてしまったという指摘は当たっています。
 事前に北朝鮮は国内向けに、ベトナム・ハノイまので長征とまで報道していたいようですから、金正恩委員長の面目は丸つぶれともなるでしょう。

 しかし北朝鮮は独裁国家なのです。この程度の失敗は、世論というものがない北朝鮮ではあまり気にされないような気がするのです。
 もしもマイケル・コーエン弁護士の公聴会が原因なのだとすると、痛手になるのはトランプ大統領の方ではないか? と思います。

 事前協議の合意内容では国内は納得させられないと読み、しかも北朝鮮から確たる非核化プロセスを引き出すことも出来なかった。とすれば、事前協議レベルでの合意をしたとしても、合意できなくても批判の矢面に立たされるでしょう。
 だからこそ次回につなげる、という「温和な決裂」になったように見えます。

北朝鮮の戦略面から検討する

 そもそも論ですが、北朝鮮が完全に核を廃棄するということは考えにくい話です。北朝鮮の制裁は国連決議においてなされているので、アメリカ一国が経済制裁を解除することも、可能なのかどうか? 私にはちょっとわかりません。
 中国は石油を禁輸にしていませんし、北朝鮮への経済制裁もポーズのようにしか見えません。
 ロシアも北朝鮮に対して対話路線を支持し、ロシアが「綱渡り」しながらも北朝鮮を支援する理由 | WEDGE Infinity(ウェッジ)によると、支援もしているようです。

 北朝鮮は従来どおり、「交渉をするふりをして時間を稼ぐ」を戦略として進めているだけだと解釈すれば、今回の米朝首脳会談の温和な決裂は、経済制裁解除という果実こそ得られませんでしたが、時間は文字通り稼げたわけです。

 一方でトランプ大統領は国内問題が思わしくなく、壁の建設についても予定の4分の1ほどの予算しか得られていません。支持率も4割程度で安定はしているものの、上がる気配はありません。
 トランプ大統領は外交で成果を得なければ、2年後の大統領選の再選は殆どないのではないでしょうか?

 そしてトランプ大統領が再選せずに、2年後に新しい大統領が生まれたとして、北朝鮮について興味を向ける保証はありません。北朝鮮にしてみれば、アメリカという大国が働きかけてくるほうが怖いのであり、それまでの時間が稼げたとむしろ安堵しているかも知れない、とも解釈できるように思えます。

日本はどうする?

 これまで米朝首脳会談で、北朝鮮は時間稼ぎに成功したと述べてきました。日本は核保有国に囲まれてどうしたらよいのか? について多少書いておきます。
 日本の現状は隣国であるロシア、中国、北朝鮮、少し離れてインドも核保有国です。持っていないのは隣国では台湾、韓国だけという状況です。

 将来的に中国がさらに台頭するとすると、台湾や韓国は中国のプレゼンスが強く働くことでしょう。果たして日本は、中国に抗えるのか? が問題になります。
 もっとも――中国の勢力圏内に飲み込まれ、アメリカ、中国のダブル属国でも構わないというのであれば、何もする必要はありません。

 上記が嫌なのであれば、やはり富国強兵路線しか選択肢は存在しないのです。10年後、20年後の日本を考えたときに、現状は絶望的ではありますが、絶望的だからと何もしないのはさらに絶望を呼び込むだけです。
 さて、貴方はどうしますか? と問いかけて、本稿を終わりにしたいと思います。

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阿吽

>報道では専門家が「今回の交渉はトランプの勝ち」

 誰が言ったのか知りませんが・・、勝ちなどと言った専門家は、申し訳ないですが専門家というのを辞めた方が良いでしょうね・・ww

ヤンさんも言われるように、金正恩・少し負け、トランプ負け・・くらいのものでしょうか。

というよりも・・、基本的なことを言うと・・、第一回米朝会談でろくに成果を上げられなかったんですから、基本的にはそもそもトランプは負けなんですよね。

 いやしかしおもしろいのは・・、ネット右翼の言説では、今回の米朝首脳会談はトランプの勝ちだそうです。(なんだろう、制裁解除ができなかったからキムの負け・・、もしくはキムが悔しがっていたからキムの負け、トランプの勝利ってなもんでしょうか・・?(いや、だからなんでトランプが勝ちになるのとヤンさん他、皆さん思われるでしょうけど・・、ネット右翼の中では勝ちらしいです。ネット右翼の中では。))

さらに興味深いなと思ったのは・・、その中でも、生粋の本物の嫌悪韓国の人物がいるのですが・・、その人物がパヨク扱いされているということです。

生粋のガチモンの嫌悪韓国の人は、金正恩の時間稼ぎがなっている段階で、キムの勝ちだろうと言うのです。

・・で、それをネット右翼が非難すると・・・・。

個人的にはおもしろいですね・・。生粋の、本物の嫌悪韓国がネット右翼からニセモノ扱いされ・・、それとは逆に、ネット右翼が本物となっているのです、そのサイトのコメント欄では・・。(私がたまに見に行く韓国人ブロガーさんのブログのコメント欄のことですけどね)

 ネット右翼界隈でも・・、現状・・、本物は忌避され、偽物が幅を利かす・・・、これはほんとに、なかなか興味深いものだなと思いました。

阿吽

野暮なのは承知ですけど・・、下の句を1つ・・、

 ネトウヨとは 現実逃避と 見つけたり

 妄想の中の 敵と戦う

失礼致しました。m(__)m