トランプが国家非常事態宣言-本当にアメリカは非常事態なのだろうか?


トランプが国家非常事態宣言を発令するようです

 トランプ氏、壁建設で国家非常事態宣言へ 野党は猛反発:朝日新聞デジタルによれば、トランプは国家非常事態宣言を発令することを明らかにしたようです。ここの言い回しが微妙なので、まずは引用して解釈してみましょう。

 トランプ大統領が進めるメキシコ国境での壁の建設費をめぐり、米ホワイトハウスは14日、トランプ氏が大統領権限で不法移民問題に関する国家非常事態宣言出すことを明らかにした

ふと文字筆者編集

 発令するぞ! と明らかにしただけで、まだ発令していないということでしょう。「出した」ではなく「出すことを明らかにした」のですから。

 つまり2つの可能性があることが伺えます。1つは本当に出すために、宣言したという場合。もう1つはトランプ得意の脅しや駆け引き材料として、今回の行動をした場合。実際は発令も視野に入れて、駆け引き材料として出しているのでは? と私は思っております。要するに、2つの可能性が混在しているのではないでしょうか?

国家非常事態宣言とはなにか?

 アメリカにおける国家非常事態宣言とは、過去にはほとんど戦争絡みで出されたようです。国家非常事態宣言は基本的に、その国家のトップによる特別法を、議会に諮らずに発令できる権限だということです。

 今回の場合は、メキシコとの壁の建設を軍に命じるために出された、とする見解が一般的です。うろ覚えですが、通常の大統領権限では軍は半年しか動かせず、その後には議会の承認が必要になるのです。しかし、非常事態宣言を出せば議会に諮らずに、メキシコの壁建設終了まで動かせるということなのでしょう。

 また報道によればメキシコの壁建設の、予算の付替えを考えているのでは? との報道もあります。これも大統領立法の特別法で対処するのでしょう。

アメリカは非常事態なのだろうか?

 メキシコからの不法移民は、オバマ時代からの国境強化で減少しているという研究があります。10年間で米国不法移民の数は大幅に減少 | アメリカ ウオッチ Yuko’s Blogによれば、この2007年~2017年でメキシコからの不法移民の、大幅に減少しているとのことです。

 この原因を上記の記事では、オバマ政権時代に移民把握を中央集権的に構築し、効率化したことで不法移民の減少につながっている、と分析しております。

 私は基本的に、どの国家においても移民拡大はあまりよろしいものではない、と思います。特に日本であれば大反対です。しかし――アメリカは国家非常事態宣言を出すほどの危機なのか? と問われれば、過去の傾向から疑問に思わざるをえません。

 一方でトランプ大統領は、過去に何度もメキシコの壁建設で、議会に苦渋を飲まされてきました。トランプの中核の支持層とは移民反対派であり、なんとしてもトランプはメキシコとの壁の建設をしたいところでしょう。

 しかし、アメリカ議会では一応、メキシコの壁6000億円の予算は通らなかったものの、メキシコ沿いフェンス1500億円の予算は――4分の1だとしても――通っているのです。流石に非常事態と解釈するのは難しいと考えています。

強いリーダーを求める時代の、リーダーたちの苦悩

 大きな文脈でアメリカや世界を捉えてみると、2008年のリーマン・ショックにも関わらず、相変わらずグローバル資本やグローバル企業が幅を利かせ、コーポラティズム的な動きは止まらず、ロビイストが政治にはびこり、庶民が置き去りにされる政治が続いているように思います。

 フランス革命前夜の、ナチス・ドイツ台頭前の――議会が何も決められないと表現された時代では、強いリーダーが民衆から求められました。それがナポレオンであり、ヒトラーであり、ムッソリーニだったのです。

 おおよそ民衆がそのような強いリーダーを求める時代というのは、失業率が高かったり、貧困と格差にあえいでいたりする時代とも言えます。安倍総理がことさら失業率の改善を強調するのは、もしかしたら国民が、強いリーダーを求めることを恐れているのかも知れません。

 世界ではいわゆる極右と呼ばれる政党、ナショナリズムな政党が各地で台頭してきたのも、この表れでしょう。これらの現象は、行き過ぎたグローバリズムにこそ原因があります。

 トランプ、プーチン、習近平などは上述した時代と同様の、強いリーダーを民衆から求められているのかも知れません。シュペングラーの言う、皇帝の時代が迫ってきているという予感がいたします。

 200年ほど前に世界は民主主義を再発見し、民主主義は歯止めのない資本主義によってグローバル資本の介入を許し、グローバリズムと格差が拡大し、それによって民主主義が滅びるとするのならば、なんと皮肉なことでしょう!

 民主主義を貴重に思うのならば、ナショナリズムや共同体をこそ大事にして、グローバリズムにかじを切ってはいけなかったのでしょう。

 ポストトゥルースや、今回のトランプ大統領の非常事態宣言が、大きな文脈で一体何を語っているのか? ぜひとも皆様も考えてみてくださいませ。

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阿吽

>おおよそ民衆がそのような強いリーダーを求める時代というのは、失業率が高かったり、貧困と格差にあえいでいたりする時代とも言えます。安倍総理がことさら失業率の改善を強調するのは、もしかしたら国民が、強いリーダーを求めることを恐れているのかも知れません。

 いや、もしかしましたらここは・・、安倍総理は失業率の改善そのものを、強いリーダーの象徴みたいなものとして無意識に意識している可能性もある、かも・・・・?

>トランプ、プーチン、習近平などは上述した時代と同様の、強いリーダーを民衆から求められているのかも知れません。シュペングラーの言う、皇帝の時代が迫ってきているという予感がいたします。200年ほど前に世界は民主主義を再発見し、民主主義は歯止めのない資本主義によってグローバル資本の介入を許し、グローバリズムと格差が拡大し、それによって民主主義が滅びるとするのならば、なんと皮肉なことでしょう!

 それこそ・・、古代ギリシャで誕生した古代の民主主義が、衆愚政治やアレキサンダーの帝国によって滅んでからこっち、民主主義と言うものがアメリカ独立戦争、フランス革命等で改めて脚光をあびるまで、おおよそ2000年以上にもわたって失われてしまったように・・、近代民主主義も、古代民主制同様、現代の新たな帝国に飲み込まれて、また、2000年ぐらい失われることにでもなるんでしょうか・・・・。

それこそ、銀河英雄伝説の世界みたいに・・・・。

民主主義なんてものは、長い人類史における近現代に咲いた、一種のあだ花とでもいうのでしょうか・・?

民主主義・・、システム的には流血無しで政権交代を行えるシステムとしては、なかなかに優秀かとは思うのですが・・・・。(流血(内乱)無しで政権交代をおこなえるぶん、国体(国家国民そのもの)への負担を最低限におさえることが可能になりますし・・)


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